エルフとわたし#28
大銅貨1枚=100円
小銀貨1枚=1000円
大銀貨1枚=10000円
と、考えていただければと思います。
ミアはお腹がいっぱいになっちゃったけど、大人はまだ何にも食べていない。「食べないの?」って聞いたら食べてたら護衛にならないから、宿に帰ったら食べるんだって。ピュイトは護衛じゃないから食べてもいいんじゃない?って言ったら、この後、久しぶりに王都の教会へ顔を出してそこで食事をする予定なんだって。「ですから私達には構わず好きなようにしていいですよ」だって。
「食事はもういいなら、次はあちらへ行ってみましょう」と、アトラスさんが指差した通りへ歩き出す。
こっちの通りは露店じゃなくて商店街みたいにちゃんとしたお店が通りまで庇を張って品物を並べている。古着屋さんや布地屋さん、あとガラクタみたいなのを売ってたり、お鍋や食器を売ってるお店もある。
色とりどりの布地屋さんの前で足を止める。
全体的に単色の布地が多い。
後は、チェックやストライプや花柄。
使われている色が多くなるほど、値段も高くなっていってる。
細かい花模様の布地に付けられた、木の札に書かれた値段にびっくりする。
「わっ、高い」
布地に付けられた木の札には“1m/大銀貨3枚”と書いてある。
じぃじにもらったお金でも2mも買えない。
目を丸くして見ていたらお店の人に笑われた。
「はははっ、そりゃそうだよ細かい模様は熟練の職人でも仕上げるのに時間がかかるからねぇ。お嬢ちゃんみたいな美人によく似合うだろうから大きくなったら是非買いに来ておくれ」柔らかなカスタード色の地色にローズピンクの濃淡の花模様がキレイな布地を撫でながらおじさんが言う。
機械で作ってないなら高くなるのも納得だ。
いつか作ってあげると約束したママのスカートはどんな生地で作ってあげようかな。
ピンクは恥ずかしがっちゃうかな。
青色の花柄なら落ち着いててママの瞳の色とも相性がいいかな。
ママが元気になったら、絶対にミアの作ったスカートを履いてもらうんだ。
そんなことを思いながら布地を眺めていたら「お嬢ちゃんに買えそうなのは、あっちにあるよ」とおじさんがお店の端っこの机を指差した。
机の上には籠に入った端切れがたくさん。
それに細かく仕切られた木の箱に金属や石や貝殻で作られたボタンがたくさん。
その隣には黒いベロアみたいな布の上に並べられた陶器でできたブローチがたくさん並べてあった。
お花や鳥やちょうちょの形でどれもつやつやでカラフルに色付けされている。
今見た布に織られていたお花に似た濃いローズピンクのブローチをそっと摘まんでみる。
触るのに少し躊躇したけど、ミアでも買えるってお店のおじさん言ってたし、きっと大丈夫。
ちらりと値段の木札を見れば1つ小銀貨2枚と書かれている。
さっき食べたパンは大銅貨3枚。スープは5枚。
小銀貨一枚は大銅貨10枚分だって習った。
このブローチはスープ4杯分。
そこまで高くないってわかる。
ローズピンクのお花はかわいいけど、もう少しお姉さん向けかな?
青い小鳥のもせっかくの小鳥さんがミントグリーンのワンピースの上だと目立たなくて勿体ない。
次に白いマーガレットみたいなお花のブローチを左胸に当ててみる。
花びらに細かく筋が入れてあって、真ん中の黄色いところもちゃんとつぶつぶってしてる。
ミントグリーンに白と黄色がパッと映える。
うん、これが一番このワンピースに合ってる!
ぴったりなのが見つかって満足したから、そっとブローチをベロアの上に戻した。
「待て、それが気に入ったのであろう?なぜ戻す?」
「え?見てただけだよ?買わないよ?」
久しぶりにカワイイ物を見られた。
みりあが行ったことのある、雑貨屋さんやファンシーショップとは置いてあるものが全然違うけど、やっぱりカワイイ物を見るのは楽しい。
みりあが買い物する時は100円ショップばっかりだったけどね。
「あんなにうれしそうに服に当てていたのに買わぬとは、ミアは意外とケチなのだな」
リデルがちょっとひどいことを言う。
「ケチじゃないもん」
ぷぅっとほっぺを膨らませながら抗議する。
「だってミアが持ってるお金はじぃじから預かったお金でミアのじゃないもん。……それに、頑張って習ってもエルフの国でママのお薬が作れるようにならなかったら、そのお金で買えるだけママのお薬を買って帰らなきゃ。ミアのブローチよりママのお薬が必要でしょ?」
首を傾げてリデルを見上げて「そうでしょ?」と同意を求めるとリデルも大人も少し驚いた顔をした。
「なんと言うか……ミア様は本当に7才ですか?」リデルの横に立っていたアトラスさんが少し困った顔で手を差し出してきた。
「7才だと思うよ?」
もしかしたら心と頭の中はみりあの意識もあるから10才かもしれないけど。ミアはパパとママに甘えて育ったからみりあよりもよっぽど子どもらしく育ったと思うな。
こうして大人に手を差し出されても、自然に繋げるし。
みりあだったらドキドキしちゃってどうしていいかわからなくなるところだ。
アトラスさんの手をそっと握りながら、にっこりと笑って「次!次はあっちのお店見たい!」と子どもらしくおねだりして、しばらく王都の市場を楽しんだ。
いつの間にか文字数が20万字をこえていました。
あったことを書けばいい日記でさえこんなに書いたことはありません。
ブクマ、評価、いいねをしてくださった皆様のおかげで続けられています。
これからもミアちゃんの見守りよろしくお願いします!




