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転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


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エルフとわたし#26

ミア達が入ってきた街の出入口に向かって歩いていく。

だんだん人が増えて賑やかになっていく。


みりあのイメージでは街の中心部の方が賑やかで外側は住宅地とかがあるんだけど、ここは違う。何でだろう?

ピュイトに聞いたら中心部には貴族やお金持ちの為のおうちやお店があって、外側に庶民向けのおうちやお店。

街の外から運ばれた荷物は役人さんが出入口でチェックするから、順番待ちの間にお腹を満たせる屋台や、すぐに商談や販売ができるように近くにお店が作られていってそれがどんどん発展していって、今みたいになってるんだって。

「なぜ荷物のチェックをするかわかりますか?」ピュイトが先生の顔になって聞いてくる。

「えっと、危ない物を持ち込まれないため?」確か空港とかで危険物チェックするもんね。

「それもあります。ですが一番の理由は税金です。近隣の農家からの野菜などは別ですが、よその国から運ばれたような高級品にはその場で税金が課せられるのですよ」

ピュイトの話にアトラスさん達はうんうんと頷いているから、これはエルフの国でも共通なのかな。

それもテレビで見たことあるよ。ブランド品の偽物とかを見分けるプロがいるんだよ。

持ってきても没収されちゃうんだから、持ってこなきゃいいのにね。


「じゃあ、あとは“検疫”だね」

確か日本から暑い国に行くのには何本も注射をしてからじゃなきゃ行けないんだよ。反対に日本に入るのにもそういう病気じゃない人しか入れないんだって。あと種とか虫とか動物もダメなのがあるって没収した物を映しながら、ナレーションの人が言ってた。


「“けんえき”とは何だ?」リデルが首を傾げてる。

「ミアも詳しくは知らないけど、持ち込ませたくない種や虫や動物がいないかチェックしたり、その国にない病気を持ってる人は治るまで入っちゃダメっていうことだよ」

そう教えてあげたら、大人達の足がピタリと止まった。


「なるほど……武器や違法な品ばかりを気にしていたが、……そうか病気か……」シェファフルトさんが呟く。

「虫や動物もでございます、我らは植物を育てることに長けておりますが、食害を招くようなそれらを持ち込む卑劣な輩がいないとは言い切れません」とグリフェルダさんも思案顔だ。


「ねぇ、歩かないの?ミア早くお店のあるところ行きたい」

繋いだ手を揺すったら「考えるのは後にせよ」とリデルが言ってくれてみんな歩きだした。


「うわぁあ、お店がいっぱい!」

あるところまできたら、道の両側に露店がずらっと並んでいる。活気があるっていうのかな。

売る人の掛け声があちらこちらから聞こえる。

観光地の朝市みたい。

屋台風もあれば、布の屋根を張って簡易的なお店みたいなのもある。

ざっと見た感じ、ここらへんは八百屋さんが多いみたい。

村でも見たことある野菜もあれば、紫とオレンジ色が斑になってるハロウィンカラーのカボチャがあったり白くて大根っぽいのに細かい毛がびっしり生えてる謎野菜があったりしておもしろい。

歩きながらアトラスさんに聞くと「あのカボチャはスープにすると美味しい」とか「あの毛は火で炙るとポロポロとれる」とか教えてくれる。その度にリデルと一緒に「「へぇー」」と感心する。

乾燥豆専門店もある。

店先に麻袋のまま中身が見えるように並べてあって、おはじきみたいにつやつやなのや、1個がミアの握りこぶしぐらいある大きなお豆もある。

その中の一つに目がいった。

碁石みたいな形で、なんと片面ずつ色が違う。

それも白と黒。

「これ、触ってみてもいい?」

お店の人に声をかけたら「あぁ、いいよ」と言ってもらえたので、1つ摘まんで手のひらに乗せてみる。

500円玉ぐらいの大きさのそれは、懐かしいゲームを思い出させた。

「そちらが気になるのですか?」アトラスさんが不思議そう。

「村では見たことなかったよ」

「そうですか、これは固い割に茹でるとすぐ火が通るので急いでいる時や野営に向いている豆なのですよ」

「へぇー」

「気になるなら買っていけばよい。どうせ野営の食料もいるのだ。グリフェルダ任せた」

「承知しました」

グリフェルダさんがちらりと今来た道を振り返ると、隊員さんがどこからともなく現れて「手配いたします」と頭を下げた。

なんかドラマみたい。


もっと進むと食べ物の屋台ばかりが集まっていた。

たくさんあって数えきれないぐらい。

大きなお鍋で煮込んだスープや、串に刺して売っているお肉。薄焼きパンや蒸してあるお芋にチーズをかけてあるのもある。果物をカットして売ってたり、何かはわからないけど行列のできてるお店もある。

色んな美味しそうな匂い。

お耳とお鼻がピクピクする。

それを見たピュイトが「何か食べますか?」と聞いてくれる。

「ううん、いい」慌てて首を振る。

「おや、“食いしん坊”なミア様が珍しいですな」

「まだお腹空いてないから……」言い終わらないうちにミアのお腹がキュルル……と鳴った。

周りがうるさいから聞こえなかったよね?

「あっち、今度はあっち行きたい!」

八百屋さんとは反対の通りを指差して歩き出そうとしたら、手を引っ張られる。

「まて、我慢などしなくてよいではないか。そのように大きな音で腹を鳴らしておいて」


もぅ、エルフには本当にデリカシーがないっ!










今年も残すところあと半日あまりとなりました。

投稿を始めた頃はすぐに「おもしろくないからやめちまえ」的な感想がくるんじゃないかとビクビクしていましたが、皆様暖かくブクマ・評価・いいね・感想をして下さり本当にうれしい一年となりました。

ありがとうございます!!

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