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転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


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エルフとわたし#25

ベッドに寝転んでふかふかを楽しんでいたら、コンコンと扉をノックをされた。

「はーい」と返事をすればグリフェルダさんが入ってくる。

「お部屋はいかがですか?」

「明るいし、ふかふかだし最高です!」と答えるとぱぁっと笑顔になってくれた。

「気に入って頂けてよかったです。この後、街歩きをされる予定と伺いましたのでお伝えに。隊長の準備があと10分ほどかかるとのことなので、その間に皆様もご準備を。留守中も部屋の前には隊員を立たせますので、身軽な格好でお出でください」と伝えて帰っていった。


やった!

お外を歩ける!

王都ってことは、あっちの東京と一緒ってことでしょ!?

きっと珍しい物が見られるよねっ。


準備って何があるかな。

今着てるこのミントグリーンのワンピースが一張羅だから着替える必要もないし、カバンの中身を軽くしていくぐらい?

ベッドの上にカバンから出した、寝間着や櫛を並べる。

必要なのはハンカチと……お金、いるかな?

革袋に入った、じぃじから持たされたお金。

「ねぇ、ピュイト、隊員さんが見張っててくれるなら、お金はお部屋に置いていっても大丈夫?」

「大丈夫だと思いますが……買い物をするのでは?欲しい物があるかもしれませんよ?」

「じぃじから預かった大切なお金だし、この先何があるかわからないからまだ使わない。お店は珍しいから見るだけでいいの」

「……では、少し持っていっては?もしかしたら何かで使うかもしれませんし」

「そっか、街でも何があるかわからないもんね。わかった、そうする!」

革袋から一枚だけ抜き出した。

鈍く光る大銀貨。

大陸の形を模した楕円形をしていて、真ん中に魔素山を表す三角形の凹みがある。

けど、どうしよう。革袋はこれ1つしかないけど、残りのお金が入ってるし、剥き出しのままポケットに入れるのは失くしそうで怖い。

「お願いピュイトが預かってて」

手のひらに乗せたコインを差し出す。

「スリや引ったくりがいますから、そうしましょう」と快く預かってくれた。

なら、カバンいらないや。

荷物をカバンに詰め直して、ハンカチだけポケットに入れる。

念のため髪を梳かして、自分とピュイトにクリーンをかけた。


グリフェルダさんが迎えに来てくれてロビーに集合した。

「なんだいつもと変わらないではないか」リデルがミアを上から下まで見て、むすっとした。「急には大きくならないよ?」と首を傾げたら「そうではないっ、いつもと同じ野暮ったい格好だと言ったのだ」とため息をつかれた。

あ、そっちか。

見ればリデルもアトラスさんもいつもよりいい服に着替えている。

ピュイトはいつも神父服だし、気がつくのが遅れちゃった。

……でもミアこれが一張羅だよ。

田舎者と歩いてるって思われたくないのかな。あれでしょ?リデルぐらいの男の子はお母さんの横を歩くのも嫌がる年ごろなんでしょ?


「わかった、ミアお部屋で待ってるよ!」

「は?なぜそうなる!?」

「リデルまで田舎から出てきたって思われちゃうもんね、買い物の予定もないし、ミアお部屋にいるね?」

この前アトラスさんからもらったお菓子の残りでも食べて待っていよう。

「あ……」

ピュイトにも「お部屋に戻ってるね」と伝えようとしたら、アトラスさんにがしっと両肩を掴まれた。

「わ、(わたくし)は、ぜひっぜひっっミア様と街歩きがしとうございますっっ!」

あ、アトラスさん顔が近い……。

いつもは穏やかなチョコレート色の瞳が至近距離で「行くよね?行くよね?」と訴えてくる。

「ミアも一緒でいいの?」

「もちろんでございますともっ」

「えと、じゃあお願いします……」

ミアが行くって言ったら、その場にいた全員がはぁっと溜め息をついた。


ミアとピュイトとリデルとアトラスさん、シェファフルトさん、グリフェルダさん、揃って宿から外へ出る。

他の隊員さんも付いてきているらしいんだけど、付かず離れずの距離のところにいるらしい。


「じゃあ、出発ーっ!」

アトラスさんの隣で手を繋ぐ。

「なぜ、アトラスとミアが手を繋いでいるのだ!?」

「え、だってアトラスさん、ミアと街歩きがしたいって言ってくれたよ?ダメだった?」

「だ、ダメではないが……っ」

もぅ、素直じゃないなぁ。

「アトラスさんと手を繋ぎたいなら、もう片方が空いてるよ?ね、アトラスさん!」

強がりリデルと手を繋いであげて?と、アトラスさんを見れば何故だか困った笑い顔だ。

リデルはぐぬぬって顔をしてる。

さては、アトラスさんを盗られた気分になってるな?

しょうがないなぁ、アトラスさんには悪いけどリデルと手を繋いでもらおうかな。

繋いでる手を離そうとしたら、アトラスさんが「リデル様にはミア様が転ばぬように反対側の手を繋いでいただきたく……」とリデルの手をミアの空いてる手にくっつけた。

「うむ、そうだなっ、転んで怪我でもしたら大変だからなっ、繋いでやろう」アトラスさんの言葉にリデルはぎゅっとミアの手を握った。


仲間外れが嫌だって、素直に言わないのがリデルだよねぇ。










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