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転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


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エルフとわたし#20

眠れなくて光石ランプの灯りをぼんやり見つめているとおうちの事を思い出す。

パパとママももうベッドに入ったかな?ママもうウェルツティン先生のお薬もらったかな?今日のごはんはたくさん食べられたかな?


じわっと涙が溢れて、枕へと吸い込まれる。


みりあなんてパパとママの顔さえ知らなかった。ミアはたった1日側を離れただけなのに、どうしてこんなにも寂しくなっちゃうのかな。

ミアはみりあより弱虫になっちゃった……。

堪えきれなくて、壁を向いてぐずぐずと泣いていたらギシリと音がして「眠れませんか?」とピュイトが体を起こす気配がした。

「っ、すぐねる゛っ」と返事をしたけど鼻声で泣いてることはわかっちゃったみたい。そっとミアのベッドへ腰かけてぎこちなく頭を撫でてくれる。

「寂しいですか?」なんて聞くから寂しい気持ちがもっと堪えきれなくなって本格的に泣くはめになった。

「……ピュイト、一緒に来てくれてありがとう。ミア一人でエルフの国へ行くの本当は不安だったの。ピュイトが付いて来てくれてすごくすごく心強い」

ミアが愛し子だからだけど、ミアが困らないように色んな事教えてくれて、心配してくれて、本当は辛い思い出があるから帰りたくないエルフの国にまで一緒に来てくれて、どうお礼をしていいかわかんないよ。

「子供は大人に甘えておけばいいんです」

ピュイトはすごくすごく優しい声でそう言ってくれた。


目を閉じるとパパとママが「ミアおやすみ」と言ってくれる。

ミアが眠ってしまうまで、温かい手が頭を撫で続けてくれたのが朧気にわかった。




「おはようございます、朝ですよ、起きてください」

んー、あれぇ、なんでほっぺにちゅうしてくれないのかなぁ?いつものすりすりは?

ぽやぁっと目を開けたら、ピュイトのお顔。朝陽が銀髪をきらきらと輝かせている。すごぉい、きれぇ。

「寝惚けています?早く起きないと朝食無しで出発になりますよ?」

そう言われてやっと目が覚めた。

もうおうちじゃないんだった!

ガバッと体を起こすと、ピュイトはもう着替えをすませてる。

「す、すぐ支度するっ」

昨日ハンガーに掛けておいた新しいワンピースに袖を通す。

夏らしいミントグリーン。

鏡がないのが残念。

パパとママにも見せたかったなぁ。

カバンから櫛を出して、髪を梳かす。

背中の真ん中まで伸ばしたサラサラの髪には寝癖なんてつかない。

と、思う。見られないから触った感じだけの判断だ。

やっぱり鏡欲しいなぁ。

「ねぇねぇ、髪の毛の後ろ、もしゃもしゃになってたりしない?」

いつもはママに梳かしてもらってたけど、これからは誰かに見てもらわないとわかんないや。

「えぇ、大丈夫。いつも通りになってますよ」

ピュイトは自分のトランクの荷造りをすませて、いつでも出発出来るようだ。

ミアも寝間着と櫛をカバンにしまって、斜めがけをした。

最後にベッドの側に置いていた林檎の樹さんを抱える。

「できたよっ」


お部屋の扉を開けると、隊員さんが2人立っていた。

「おはようございます?」

「おはようございます、愛し子様」

この人達はずーっと起きてたのかな?

ピュイトも「おはようございます」と軽く挨拶をしている。


階段を下りながら「別に危ないことなんてないから、隊員さんも寝ればいいのにね?」って言ったら「好きにさせておけばいいのです」だって。

一階へ下りたら、グリフェルダさんが「丁度お迎えに行こうと思っていたところです」とひよこ色の髪をふわふわさせて近寄ってきた。

グリフェルダさんの髪は柔らかそうだけど、寝癖でもしゃもしゃになったりしないのかな?


昨日と同じ場所で朝ごはん。

パンと小さなチーズと茹で玉子!

「玉子!」

思わず歓声を上げたら「お好きですかな?」と先に席に着いていたシェファフルトさんに笑われた。

小皿に入れたお塩ももらう。

「えへへ、玉子好き。じぃじのおうちでもミアが好きだからって飼ってくれたの」

日本では毎日食べるのが当たり前だった卵だけれど、こっちではそうじゃなかった。

じぃじが飼ってくれた鶏さんも毎日は卵を産まなくて、産んだ卵は全部ミアに出された。さすがにあんまりにも申し訳なくて「みんなでじゅんばんにたべよ?」って言ったら、ミア→じぃじ→ミア→パパ→ミア→ママの順番で出されるようになった。

「でもね、それって順番っていうのかなぁ?」剥き終わった茹で玉子にお塩をちょんちょんしながらシェファフルトさんに話してあげる。

「ハハハ、良いのでは?ミア様はご家族に愛されていらっしゃる」

シェファフルトさんも玉子を剥き終わったみたい。

うふふ、後はかぷってするだけ。


「食い意地の張った山猿だな」

嫌な声がして、ふっと顔を上げると同時に目の前にシェファフルトさんの手があった。

パシッと音がして、反射的に目を瞑る。

「リデル様っ!何という事をするのですっ!!」

そぉっと目を開けると、テーブルに白くて丸い物を置いてシェファフルトさんがあの嫌なヤツに向かって素早く歩いていく。

茹で玉子!?これ、アイツがミアに向かって投げたの!?当たったら痛いやつ!生卵だったら痛くないけど、それはそれでイヤなやつ!

グリフェルダさんはシェファフルトさんに付いていかず、ミアの横へ立った。

ピュイトも椅子から立ち上がって「あれが例のアイツですか……?」と驚いている。


「アトラスがどうしてもと言うから来てはみたが、そんな山猿と同席などできぬ」


や、山猿ってミアのこと!?

何でそんなヒドイこと言われなくっちゃいけないの!?

キッと睨み付けると、向こうもミアを睨んでた。




今回のお話で100話になりました。

なかなかな量で自分でもビックリです。

どうりで最近「あの時の台詞どうだったかな?」とか確認するのに時間がかかると思いましたw


まだまだミアの旅は始まったばかりです。

これからも作者と一緒に見守っていただけるとうれしいです。

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