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パパとママとわたし#2

 朝ごはんを食べたら、パパは山へお仕事に行く。ママはおうちのお掃除や洗濯をする。それが終ったらおうちのそばにある畑の手入れだ。

「ミア、ママお洗濯に行ってくるから、いい子にしていて」

洗濯物と洗濯板それに石鹸を入れた木の桶を持ってママは心配そうに言う。

「みぁ、いいこ」こくんと頷くと、「なるべく早く終わらせてくるからね」と、外に出ていった。

ちょっと前まではわたしが寝ている隙に出掛けてたみたいなんだけど、さすがに2才になると起きてる時間がぐんと長くなってミアに合わせてたら家事がいつまでも進められないんだって。

大丈夫、わたしはいい子だから待っていられるよ。

でも、置いていかれた初日は扉がしまって3秒で大泣きしちゃって、困った顔のママが5秒で戻ってきてくれた。

今はもう大丈夫だよ。

 

まだおうちの中とその周りしか見たことはないけれど、ここはセラスティア様が言ってた通り昔話にでてくる外国みたいなかんじだ。

開けてある窓からママが歩いていく足音が聞こえる。窓はガラスは嵌まってなくて、ただの木の鎧戸がついてるだけだからそれを閉めちゃうと部屋はたちまち薄暗くなってしまう。今は夏だから開けっ放しでいいけど、冬になったらどうするのかな?開けっ放しでも日本みたいに蚊は入ってこない。この世界にいないのかミア達が住んでるところにいないのかはわからないけど、それはすごく嬉しい。


ママが帰ってくるまで退屈だから、おうちの中をぐーるぐるする。

おうちはワンルーム、全部で一部屋。幼児にもわかりやすい親切設計だ。

まずはキッチンエリア。流し台と水瓶がある。セラスティア様が“剣と魔法”の世界よ。って言ってたけど、ミアはまだ剣も魔法も見たことがない。でも、ここが電気も水道もガスもないおうちだっていうのはわかった。だからママはお外に洗濯に行く。ちなみにこの家には井戸もなくて歩いて5分ほどの小川まで毎日水汲みや洗濯に通わなくてはいけない。茶色くどっしりとした水瓶はわたしの背よりも大きい。

早く水汲みのお手伝いできるようにならないとね。

 水瓶の横には石で作った半円の囲炉裏みたいなのがある。ママはここでいつもスープを煮てる。今はミアが触ったら危ないからって火は消されてる。

半円のまっすぐな方は壁で、そこの壁だけ漆喰のようなものが塗られている。囲炉裏の横には棚。土台はレンガみたいで上は木の棚が付いてる。下がレンガじゃなければ学習机そっくりだよ。引き出しには木のスプーンや金属製のフォーク。机だったら椅子が入るところに木箱が置いてあって、人参やお芋が入れてある。上の棚には小さいお鍋や布巾や食器。食器はほとんどが木製だ。あと籠に入ったパンもある。

学習机が壁と垂直になっているから、少しだけ横移動。学習机が間仕切りのような役割になっている。

机の裏へ回ればお着替えコーナー。ここには服を入れるタンスがある。

親子三人分の服が小さなタンスに収まってる。施設にいたみりあの方がたくさん服を持っていた。高級品ではないけれど季節毎の服が新品で用意された。たまに成長期に入っちゃったお姉さんのお下がりが回って来たりしたけどきれいな状態の物ばかりだった。そのおかげで数は揃っていた。だから、服がボロいとか、いつも同じ服を着ている。とかで引け目を感じることはなかったな。


パパとママはいつも継ぎのある服を着ている。パパはいつも長袖の生成り色のシャツに焦げ茶色のズボン。ママは薄茶色の踝まであるワンピース。わたしのワンピースも薄茶色の生地でできてるけど、布地が足りなかったと思われるところは色んな布でできている。ちょこっとだけ赤いお花柄だったり、蜜柑色だったり。布地が足りなくても子供らしい服にしてくれたのがわかるママの手作りだ。


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