ひとつぶまま粒数えれば
暮伊豆様の作品
とおのみち
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のオマージュです。数え歌っておもしろいですよね。作るのが。
一夜限りの色と欲 闇夜に蕩ける閨話
ひとつぶまま粒落としたら
箸で拾って口にする
飯代日髪日化粧 かかる銭
自分の食い扶持ち稼ぐ日々
二面顔持つ女
笑って引き寄せ 声掛けて
格子の向こうに 紅煙管
ついと差し出す羅宇の先
ふたつ返事で男が掛かる
じゃかじゃかじゃかじゃか
すずかけの
手首が回るバチの音
あにさんわっちにしなさんせ
珊瑚に翡翠の簪と
鼈甲 ギヤマン笄に
縫い取り牡丹の打ち掛けと
おしろい頬紅 光る紅
蜜を溜め込むその身体
閨に誘う甘い声
しめらせ丸める
御簾御紙
薄紅の爪の色
指さきつまんで仕込む時
夜露含ませしっとりと
弁天様に供えてる
極楽浄土のひと時を
手練手管で創り出す
囁く声が密やかに
男に甘い夢を魅せている
お歯黒どぶの河岸店の
鉄砲女郎は線香を
お客に売りつけ時を売る
ここでは綺羅な夢浄土も
何処にも少しも無いけれど
射つつやる事
河岸も楼でも同じ事
ろくでなしでも金有れば
大店楼閣、この店は
お大尽様と称される
取られる酒の肴の台の物
偽り天女を演じてる
声を出すのは
睦言吐くときその時だけと
高貴な花魁
客の前では飯食わぬ
座敷にチャリンチャリ
そおらそら
小判を撒いてるお大尽
それに群がる太鼓持ち
わっちは要らぬとそっぽ向く
お座敷遊びはトンチキちん
質草ばかりの端女郎
簪着物に笄に 櫛に鏡に帯布団
七つ道具も銭に変え
間夫を通わし金はなし
わっちをつうれて くだしゃんせ
涙ながらに誑かす
己の自由が欲しいから
年季を待たずに
賭けに出る
八幡様の御守りに
こんな時だけ神頼み
奴とわっちの無事願う
付け焼き刃で神様 拝んでみても
あらたかな 霊験何処にも
あらしません
苦界逃げ出す端女郎
色恋闇夜の嘘の花
咲かせてみるのは
命がけ
かわらけ みっつみっつの酒注ぎ
ここのつ盃 契を交わした女と男
裸足で走る大通り
襦袢絡げて白い脚
手に手を取っての嘘の赤
夫婦が逃げる 逃げ惑う
縦横無尽に
通りを駆けて息切らす
路地裏何処までも
シャンシャン棒引き追いかけて
捕まえ行き先 布団部屋
男は筵に巻かれると
荒縄ぐるぐる締められて
ぐるりと周りを取り囲む
お歯黒どぶに沈むだけ
ドボンとぶくぶく沈むだけ
翌朝坊様 店へとやってきて
南無阿弥陀仏と唱えてた。
秘密の書簡
作者:暮伊豆様
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↑これも数え歌なのですよ(^o^)/