勇者撲滅41
SIDE:セントハイム
「ユージは、今頃どうしているかな?」
「フフ♪ユージは心配ないでしょう? もうかなり強かったし・・・トールも心配性だね♪」
「ハハ♪ 何かな・・・同じ転移者だから・・・年は関係ないと分かっているんだがな・・・。」
「クスクスクス♪ 何か分かる気がする・・・自分の子供・・・そんな感じなんじゃないの♪」
「いや・・・まぁ~そうだな・・・って!何で分かるんだよ!? もしかして・・・お前もか!」
「フフ♪ そりゃ~私だった女だからね♪ 寧ろあんたよりそう思っていても不思議じゃないでしょう?」
「ハハ♪ お互いに丸くなったって事かな?」
「フフ♪かもね♪」
「だが、アイツは強くなったよなぁ~♪」
「うん!それは思った! オーガキングの討伐の時だってCランクだったんだからね!」
「だな・・・本来Cランクの冒険者なんかに倒せる魔物じゃなかった・・・武器が強いとか関係ない魔物だった・・・それでも・・・」
「分かるわ♪ 私も同じ・・・最後・・・ユージならって思ったもの・・・不思議よね」
「まぁ~魔法の才能は良く分かんないけどな♪」
「そこも不思議だわ・・・。だってあの子魔力値だけは凄く高いもの・・・」
「だな♪でも、そのお陰であの技が使える様になったんだから・・・メチャクチャ喜んでいたもんな♪」
「クスクスクス♪ 本当に子供みたいだったわ♪ あんなに嬉しそうな顔が出来るんだもんね♪」
「だけど・・・今はさらに強くなったようだな・・・」
「そうね・・・手紙にも書いてあったけど・・・ワイバーンロードを討伐って・・・既に私達と同じ位の強さかも知れないわよ?」
「俺も思った・・・間違いなくSランクの実力があるな・・・」
「不思議よね?私達だって職業が“英雄”なのよ?基本ステータスだって普通の3倍からスタートしているいのに・・・レベルが80台の頃にSランクの魔物を倒せた記憶なんかないもの・・・」
「そうなんだよな~あれからユージがどれだけ魔物を倒してレベルが上がったと言っても・・・まだ俺達の半分以下位だと思うんだけどなぁ~?」
「あんた今レベルいくつになったの?」
「お前とあまり変わんないと思うぞ? 流石に俺達のレベルとなるとそう簡単には上がらないからな・・・」
「そうよね・・・ドラゴンの討伐だったら話は違うけど・・・」
「まぁ~何にしても・・・だからこそマイちゃん達が焦っているんだろうけどな♪」
「そうね♪ でも・・・今やミレイちゃんもマイちゃんも凄いもんね♪」
「あぁ・・・あの二人の職業がまさか戦闘向きだったとは、ちょっと驚きだったけどね♪」
「フフ♪ そりゃ~分からないわよ♪ 何せ職業が“シェフ”に“スター”ですもの♪ まさかシェフの包丁捌きが戦闘にも発揮されるなんてね♪・・・考えもしなかったわよ♪」
「全くだ♪ まさか戦闘スキルの“サバキ”魔物の弱点を看破する能力と体術の“サバキ”の二つで発揮されるとは恐れ入ったよ♪」
「本当よね♪ それにマイちゃんの“スター”も凄かったわよね♪・・・もまさか“魅了の魔眼”と“魅惑の歌声”が戦闘スキルになるなんて・・・アレにも驚いたわよ!」
「あぁ・・・流石にちょっとビビったよ♪・・・それにしても・・・最初は、タドタドしかったのにな♪ 今や2人共レベル55を超えているんだろう?」
「そうね・・・先週の魔法の特訓の時、聞いたらそう言っていたから・・・」
「いやはや・・・俺達も昔はそうだったんだろうなぁ~・・・前世の知識かぁ~・・・ちょっと懐かしく感じるものだな♪」
「そうね♪ 今となっては少ししか思い出せないけど・・・それでも大事な事だけは覚えているもの・・・」
2人がしみじみと思いに耽っていると離れた所から誰かが駆け寄ってきた。
「「トールさ~ん♪ ユーコさ~ん♪」」
「よう♪マイちゃんとミレイちゃん♪」
「何を喋っていたんですか?」
「いやぁ~君達も随分と強くなったなぁ~って話をしていたんだよ♪」
「2人共随分強くなったなぁ~って思ってね♪」
「それもトールさんとユーコさんのお陰ですけどね♪」
「そうだ!それより君たちにも当然ユージから手紙は届いたんだろう?」
「はい♪少し前に手紙が届いたんですよ♪」
「私のところも届きました♪」
「何て書いてあったんだい?」
「私のは~今任されている農業の話ですね♪
どうやら、あっちでお米の品種改良に成功したようですよ♪」
「おぉぉぉぉ~!!!さすがユージ! いやぁ~楽しみだなぁ~♪」
「それは、楽しみね♪」
「それと~飲食店の店舗拡大の流れについて指示があったのと~・・・そ・・・それ位でした!」
何故か顔を赤らめて話を切った様に見える。
「「ふぅ~ん♪ そっか~♪」」
「何ですか!その顔はぁ~!本当ですよ!本当なんだってばぁ~!」
「何にも言ってないだろうが♪」
「そうよねぇ~♪
ミレイは真っ赤になった顔をトール達に見られない様に俯いてしまった。
「マイちゃんの方はどうなの?」
「はい!?わ・私の方ですか?私の方も似たようなものですね♪ テレビ局についてが主な内容ですかね♪」
「おぉ!この世界にテレビか!前にも聞いたけど・・・それは楽しみだなぁ~♪」
「そうね!完成したらマイちゃんの芸能プロダクションとプロデューサー業に期待だわ♪」
「ハハ♪ 頑張らないと・・・まぁ~お2人に鍛えて頂いたおかげで体力も力も付いたから以前より疲れ無くなって来たのは助かりましたよ~♪」
「うん!私もそう♪ 前だったら絶対不可能だった! 本当に感謝しています♪」
そう言ってミレイも話に混ざり始めた。
「その他にも何か凄まじいビジネスが決まったそうだけど・・・それは、帰って来てからの楽しみにしておくか♪」
「そうね♪ あれから3ヶ月か~さらに強くなったんでしょうね~ユージは♪」
「あぁ~それなら手紙に自慢垂らしく書いてありました!」
「まぁ~それも戻ってからの楽しみにしておくか♪」
「それ以外には、マイちゃんの手紙に書いてなかったのかい?」
「ほ・・・他ですか?」
何かを思い出すかのようにするものの・・・
「はっ! 書いていません!全然!これっポッチも!」
「そうか・・・そんなに全力否定しなくても大丈夫だぞ?」
「へぇ~何にも書いてないかぁ~ふぅ~ん♪ミレイちゃんもねぇ~ そっか~♪」
「本当ですよ!本当なんだからぁ~!」
「私だって本当ですからねぇ~!」
何故顔を赤らめて全力否定しているのか・・・
まず・・・マイに送られてきた手紙を少し覗いてみよう・・・
■Letter:マイ
「ホントにもぁ~!何であんな簡単な事も出来ないのかしら!」
プンプンと怒りを撒き散らして歩いているマイが何かを思い出したかのように独り言ちる
「一回で覚えられないのかしら!ついて来られないなら本当に邪魔なんだけど!
昔っからそうなのよね! 誰でも良いから私の想像を超えてくれないかしら・・・
あぁ~嫌だ!本当に馬鹿ばっかりで!」
イライラしながらも家に辿り着くとポストに一つの手紙が届いている事に気が付きポストから取り出すと宛名を見た途端、先程までのイライラが消え、一瞬で嬉しそうな顔になる。
「お帰りなさいませマイ様♪」
「ただいまアルカ♪ ちょっと集中したい事があるから食事もお風呂も後にするわ♪」
この頃、イライラしている姿しか見ていなかったアルカだったが、久しぶりにマイの機嫌が良い事にホッと胸をなでおろしたのであった。
自分の部屋のドアノブに何かしらの文字が書いてあるカードをぶら下げると部屋に鍵をかけて幸せそうにベッドに横渡る。
「ユージからの手紙だ♪」
嬉しそうに持ち上げると机に置いてあるペーパーナイフで開封する。
「全く!もっと手紙を寄越しなさいよ!」
そう言いつつも嬉しいのだろう・・・
その顔は、喜びに包まれている。
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マイ元気か?
俺は元気だ♪
こっちのビジネスは大成功だよ♪
それと!
俺はこっちで凄まじい強さも身に付けてしまったかも知れない♪
帰ったら俺の強さに惚れない様に♪
冗談はさておき・・・
テレビ局の運営を任せてしまった俺に今頃、悪態をついているだろうね♪
まぁ~頑張ってくれたまえ♪
なんて・・・嘘~♪
マイの事だから手を抜かず頑張り過ぎていないか少し心配だ。
では、あまり無理せず頑張ってください♪
ユージより♪
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「短っ!・・・馬鹿~!手紙が短すぎるのよ! 強さの自慢話なんかいらないわよ~! もっと書きなさいよ~! 私だって・・・本当は、寂しいんだからね・・・もぅ~早く帰って来ないかなぁ~ ユージに会いたいな・・・早く会いたい・・・帰って来たら・・・私の事をハグして頭を撫でる位は許してあげない事もないんだから!・・・あれ?封筒にもう1枚手紙が入ってる?」
そう言って封筒の底に畳まれている2枚目の手紙を読むとマイの顔が赤く染まって行く。
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
いやぁ~手紙が短いと起こるかと思ったから2枚目も書く事にしたよ♪
今頃、俺がいないから寂しくて毎晩枕を濡らしていると思う♪
戻ったら抱きしめて頭を撫でて上げるからな♪
・・・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――■
そこまで読むと手紙を伏せて赤く染まった顔で声を漏らす。
「ひゃぁぁぁぁ~・・・なななな・何で? べ・・・別に寂しくないし!」
そして、続きを読み始める。
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ん?寂しくないだって?
本当は、寂しいくせに~マイちゃんたら相変わらずツンデレなんだからぁ~♪
俺が戻ったらデレてくれて構わないからね♪
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――■
またしても手紙を伏せて・・・
「きゃぁぁぁ~!何で手紙と会話が成立しているのよ~!? そ・・・それに!ツンデレじゃないし!馬鹿なんじゃないの!」
誰がいる訳でもないのに手紙に向かって話しかけてしまう。
そして、恐る恐る手紙の継ぐ気を読む。
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
因みに俺は馬鹿ではありません!
『ひぃぃぃ~ 心を讀まれてる!?』
俺は大馬鹿です♪
『ブッ♪ 何よそれ~♪』
だけど・・・馬鹿は俺も嫌いだ♪
馬鹿は、中途半端な人間が取る行動が多いと俺は思っている。
中途半端な馬鹿になる位なら俺は大馬鹿になった方が良いと思っている。
やるならトコトン追求した方が人生を楽しめると思わないか?
中途半端な知識や力は時として自分を愚かな行動に移してしまうと俺は思う。
マイは、知識も美貌も持っているかもしれないが、くれぐれも馬鹿な行動だけはしないでね♪
信用や信頼は一瞬で失うもの・・・今、マイが行おうとしているビジネスは信頼亡くして成り立たない
本当に難しく、そして本当にやりがいのある仕事だと思う。
兎に角!マイは相手の能力が低いと馬鹿にしてしまう事があるからダメだぞ?
例え今はいなくとも自分より優れている者は必ず存在するものだ・・・
例えば、それは、今は生まれていないだけの事かも知れない。
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自分の事を心配してくれていると同時に教え導く様な文面・・・
思わず読んでいた手紙を伏せてしまう。
「中途半端な馬鹿か~・・・確かに・・・それは、私の事かも・・・
やだな・・・ユージは馬鹿が嫌いなんだもんね・・・
・・・愚かな行動かぁ~今にして思えば・・・私が愚かだったのかも・・・
いや・・・私が愚かだったからこそあんな事になったんだわ・・・」
心に刺さる一言だな・・・
「馬鹿になる位なら・・・大馬鹿な方が良いか~・・・フフ♪」
だけど・・・今ならまだ間に合う!
「信用と信頼か~・・・そうよ・・・そうよね!良く考えたら・・・みんな未経験なのに良く頑張っているわ・・・それに出会ったばかりの人達なんだもの♪ はぁ~私はやっぱり馬鹿だなぁ~そんな事にも気が付かないなんて・・・何を焦っていたんだろう・・・」
その顔からは憑き物が落ちたかのように晴れ晴れとした顔になっていた。
「もぉ~!馬鹿ユージ! 私の事なんてお見通しなんだわ・・・
はぁ~敵わないやぁ~・・・もう・・・早く帰ってきなさいよぉ~!・・・ユージに会いたい・・・」
そう呟きながら清々しい顔で手紙の最後を讀み始めた
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マイならこの手紙を読んで分かってくれると信じている♪
まぁ~何だ・・・説教時見てしまったけど・・・俺は、マイを見ていると勿体ないと思っちゃうんだよね♪
マイの才能は、素晴らしい♪ 本当に尊敬している・・・だから・・・
1日も早くマイに会える事を楽しみにしている♪
では・・・
マイの最愛の男より・・・なんちゃって~♪
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そこで手紙は終わっていたのだが、嬉しそうに手紙に書かれた一節を眺めるマイ。
「ふ~ん♪ 私に会うのが楽しみなんだぁ~ふ~ん♪ そっかぁ~♪」
『それと・・・最後の・・・きゃぁぁぁぁ♪ もう~馬鹿なんだから~♪』
大きな独り言だった為、誰かが家に忍び込んでいるのかと心配したマイのメイドである“アルカ”が“立ち入り禁止“と書かれたカードをドアノブに懸けられていたので、ノックする事も出来ず佇んでいると部屋から主人であるマイの幸せそうな声が木霊するのであった。
そして、次の日から周りの人達が騒めくほど人の変わったマイの陣頭指揮によってユージと共に勧めていたビジネスが大きな結果を出す事になる。




