勇者撲滅4
趣味のトリックショットもコロナウイルスのせいで自粛中。
お陰で、もう一つの趣味である小説のアイディアがバンバン浮かんでしまいました。
一つ目が終わってから掲載しようと思いましたが、増えすぎて来たので、同時に掲載する事にしました。
一月に数回しかパソコンにログインしないので、コメントを頂いてもタイムリーにお返事できないかもしれませんが、頑張りますので応援お願いします♪
正確には、偶に漢字を書いても字が違うと文句を言われ書き直せと時間がないのにふざけた事を言ってくる無能な上司に嫌気がさし嫌がらせの様にひらがなを書いたのが始まりだ。
上司に読める文字を掛け!と何度言われようが、直す暇などない。
正確に言えば、本来字が汚い訳ではない・・・寧ろ上手と言って良い。
ただ、時間が圧倒的に足らない為、殴り書きをしたに過ぎなかった。
神谷ユージは、仕事が出来ない社員なわけではない・・・否、逆に10人分以上の仕事量をいくら残業しようが、毎月終わらせている事を考えれば他の社員の何倍もの能力があると言っても過言ではないだろう。
入社して6年半の間に、この会社での数々の記録と結果を叩き出しているので、給与や賞与は、他の社員の数倍になっていた。
残業も尋常じゃない時間だった為、ユウジの年収は2000万円を大きく超えていた。
預金も既に5000万円程溜り、目標としていた6000万円が溜まったら自分で会社を興す予定であった。
では、何故ここまでの残業をしなければならなくなってしまったのか?
それは、チームが機能していない今、一人で全ての業務を行うには、物理的に時間が足らないだけなのだ。
入社して2年目からは、毎年の昇格の話が出るが、無能な上司が、神谷ユウジを平社員として馬車馬の如く利用する方が自分にとって得と考え、人事部長に時期尚早と伝え話をなかったものとされてしまった。
この上司は、ユウジがこの会社に入った頃。偶々配属された課にいた主任だったのだが、入社早々に桁違いの結果を出すユージの功績を全て自分の物としていたのだ。
その為、現在では、営業本部長の地位まで上り詰めており、今では、ユウジと部署が違うにも拘らず何故かユウジの出世の邪魔をし続けていた。
この話を最初に知った時は、辞めようかと考えたが、自分の仕事量が凄まじい事は十分理解していた。
辞めた場合、その仕事量が、他の社員に流れるのだから、会社が回らなくなる事が容易に想像できた。
それに無謀な仕事量を一人でこなすのも理由があった。
周りの社員達も神谷ユウジのお陰で、普通の社員として業務に当たれている事を理解していたものの手伝おうにも仕事が難しく、責任の重くのしかかる業務であった為、応援するだけに留まっていた。
本来、一人の社員が会社を辞めようと会社が倒産する事など有り得ないのだが、現在、神谷ユウジが携わっている業務の大半が、専門的な知識が必要なものだったり、様々な人脈と仲良くなるコミュニケーション力が突出して必要であったり、業務全般の知識に長けている者でないと務まらないものであった。
ユウジとて、最初から専門的な知識があったわけではない
興味があるものは、自分の睡眠時間を削ってでも知りたい衝動に駆られてしまうのだ。
人に聞けるものは人に聞き、自分で学ぶ必要があるものは専門書を読み漁って勉強する
本来であれば有り得ない仕事量。
営業だけでなく市場調査や情報収集、さらには、販売戦略やそれに伴うプレゼン。
そして、海外商品の輸入業務や販売店へのマーケティング。
極めつけは、様々な分野の新商品開発と新たな分野の分析まで行っていた。
元は、そう言った専門知識があった社員10人がかりで、残業して終わらせる量を一人で行っているのだから神谷ユウジが会社を退職した場合は、会社が傾く事は避けられない事も明白であった。
実際、今いる社員で、この量の仕事を行うには、20人以上いても終わらない可能性が高かった。
それが、分かっているだけに神谷ユウジは、自分を犠牲にしてでも仕事を頑張っていたのだった。
周りからの印象は
「普通の人と考え方が違う・・・」だとか
「異常」であったり・・・「変態」など・・・中には、「人外」とも言われていた。
平然と有り得ない量の業務をこなす姿を見て常に「変態」や「異常」と揶揄されていた。
一般社員が一日かかる仕事などであれば、30分と掛からず終わらせるのだから、周りから見ればユウジが何をしているのかさえも分からないのだ。
そんな異常な量の業務を完璧に熟し、さらに最高の結果も叩き出しているのだ。
人外と言われるのも当然であった。
それだけ忙しいにも拘わらず、どんな時間帯であろうと悩み相談があれば快く話を聞くし、遊びに誘われれば、睡眠時間を削ってでも遊ぶ。
女性には事欠かないのか毎週欠かさずデートはしていた。
酷い時には1週間で4時間しか睡眠をとらない事もある。
職場も自宅もパソコンのモニターは常に4画面だ。
同時並行で処理しなければ終わらない事ばかり。
テレビやニュースも録画して全てを4倍速で見る癖が付いた。
速記と同じで速読もマスターした事で、300ページ位の小説であれば、20分と掛からず読み終えてしまう。
なので、毎日何かしらの小説や書物は必ず読む癖がついている。
しかも、徹底的な効率化を図る事が得意なのか普通の人には理解できない不可能と思えるような事を当たり前の様に行う。
普通の人生の何倍・・・何十倍もの経験値を得ようと生き急いでいるようにも見える。
中には、その才能をやっかむ者や妬む者、嫌がらせする者も少なくなかった。
しかし、その類稀なる才能に溺れる事無く常に最高のパフォーマンスを身に付ける努力を忘れなかった。
それは、今は亡き父の教えでもあった。
「まだまだだな・・・」
それがいつしか口癖になっていく。
そして、仕事が終わり会社の外に出ると自分の車で帰っていった。
「何か・・・常に眠いな・・・。」
高速に乗って家まで30分。
家に戻って風呂に入って、服を畳んだり、掃除したりと気が付けば、毎日早朝5時位になってしまい慌てて1時間程仮眠をとる。
5分でも10分でも良いから毎日欠かさずお気に入りの小説を読んでから眠るのが日課となっていた。
ところが、昨日でお気に入りの小説を読み終えてしまい今日は、熱が高く頭が割れるように痛かったので、いつもより30分も早く眠りについた。
そして、気が付くと辺り一面真っ白な世界が広がっていた。
暫く呆然としていると
「夢だな・・・。」
深く考えずにそう考えた時、話しかけてくる一人の男性がどこからともなく現れた。
「いやぁ~大変だったね~♪ それにしても・・・よくあれだけの仕事をこなせるもんだよ~♪」
何だコイツ?真っ白な景色に突然現れた男・・・よく見れば背中に翼が見える。
一瞬、神様か?との考えが、頭を過ったが、その男の身に付けている服装を見て
「やっぱり・・・夢だな・・・。」
と呟いた。
すると目の前の軽薄そうな少年が声を荒げる・・・
「いやいや!こう見えても僕って神様だからね!」
「はぁ~・・・」
夢の中くらいは、幸せな夢を見たかったと深い溜息を吐く。
「なるほど~♪君!夢だと思っているんだね♪ ホレ♪」
そう言うとユージの目の前の空間に自分の姿が映し出されていた。
その映像を見ると布団に入り横たわっているが、苦しそうに目を凝らしている。
拡大されていく自分の胸を見ると上下していない事に気が付いた。
「ん? これって・・・なに?」
「これは、現在の君の姿だよ~♪ 君!熱が高かっただろう?42度以上の高熱があるにも拘わらず無理して仕事した事による過労死ってやつだね♪ 体力が落ちている時に質の悪いウィルスに感染したようだね♪」
自称“神”と名乗る少年が、どこから出したのか仏壇のお鈴をチーンと鳴らして何やら呟いている。
「うそっ!?」
「ホント♪」
「マジで!?」
「マジで♪」
「俺死んだの!?」
「君死んだの♪」
「マジで!?」
「マジで♪」
「本当に!?」
「しつこい!」
「そっか~死んじゃったかぁ~・・・」
「軽っ! まぁ~正確には死ぬ寸前だけどね♪」
「そっか~・・・まぁ…天涯孤独だったし・・・誰も悲しむ人もいないけど・・・あれ? 意外といるかな? 否・・・女の子たちはメチャクチャ悲しみそうだな・・・あと・・・会社・・・どうなっちゃうのかな~・・・」
「君の会社は、君が死んだ事で、業務全般が止まってしまって残った社員も無理難題を押し付けられて退職者が続出し負の連鎖が抑えきれず3ヶ月後に倒産する事になるね♪」
「マジで!?」
「マジで♪」
「そんな事も分かるのか!?」
「そんな程度なら簡単に分かるの♪」
「そっか~本当に神様なんだな・・・。」
「そう・・・神様なの♪」
「何か・・・面倒くさがってない?」
「面倒くさがってない!」
ジト目で髪を見つめるとそそくさと目線をずらされた。
「・・・それで・・・俺ってば、この後どうなっちゃうの?」
「そう!それを話したかったんだよね♪ 簡単に言っちゃうと~♪ 神谷ユウジ君!君の地球上での行いは、賞賛に値する者だった♪ 違う会社に就職が決まってさえいれば、素晴らしい結果を後世に残せた逸材だ!」
「いや~褒め過ぎでしょう~それは~・・・否!それ程の・・・事はあるな!?」
謙遜するのかと思いきや思い当たる節が多過ぎたようだ。
「それで! 本来なら、このまま宇宙の命と一つになって役目を終える事も出来るんだけど・・・志半ばで亡くなってしまった事や他人を思いやる心を評価して・・・君が望むのであれば、特別に転生者として魔法文明がある異世界で生まれ変わらせてあげても構わない・・・そう考えているんだけど・・・どうかな?」
「特別に?」
「そう・・・特別にだ♪ 君ぐらいの結果を残した魂であれば、さっきも言ったけど本来の命の姿である一なる生命“宇宙”そのものに戻るんだよ♪ 全ての理から外れる事が出来るんだけど・・・君って・・・人間が好きだもんね? だから特別に違う形で用意するけど・・・どうする?」
目の前の神が突拍子もない事を言いだした・・・
『テンプレだな・・・何で地球人としてじゃなく異世界なんだ・・・?』
「今さっき言ったけど、この地球での役目を終えたから本来なら理から外れるんだよ♪
だから、地球での転生をさせる事が出来なくなったって事だね♪」
「そう言えば、さっきから俺の考えが聞こえてたっけ・・・何にしても・・・そっか・・・地球では生まれ変わる事が出来ないのか~」
「・・・あれ? 異世界転生に興味があるかと思ったんだけど・・・」
ユウジの予想外のリアクションに自称神が首を傾げていると・・・
「転生させて貰います♪ 来たなコレ! テンプレっしょ♪ そんで、何のチート能力を頂けるんですか? 今回の転生は、どんな仕組みなんですか? 出来れば詳しくお願いします!」
「あ~うん・・・だよね・・・やっぱり食いつくよね・・・。」
実は、神谷ユージが生前、寝る前に必ず読んでいた小説とは、異世界転生物のラノベであった。
毎日1時間の睡眠で見る夢位は、冒険に溢れた楽しい夢を見たいと必ず読み続けていたのだ。
「当然でしょう!だって異世界でしょ!?」
「おぉ!何かこの頃、ここを訪れる若者ってみんな異世界が好物だよね♪まぁ~話が速くて助かるよ♪」
「来たなコレ! あるもんだね~本当に! それで!俺に特別な何かをして貰えるんですよね!」
「そう♪ オッと♪ その前にこの話をしておかないとね♪
もし一つだけ願いが叶うって言ったら君は転生後にどんな人生を送りたいんだい?」
「一つだけ?」
「そう♪一つだけ♪」
「どんな人生かぁ~」
そう問われ自分の過去を思い出す。
「どんな事があったとしても最後だけはハッピーエンドが良いな♪」
「なるほど・・・ハッピーエンドね♪・・・ハッピーエンド? 変わっているね・・・君?」
「ん?そうか?」
「うん。大体の人は勇者になって面白おかしく大冒険がしたい・・・とか!大商人になって大金持ちになりたい♪とか!超人になってモテモテな人生を送りたい♪って考える人間ばっかりかと思っていたよ♪」
「なるほど~それも面白そうだけど・・・でも・・・やっぱりハッピーエンドが良いな♪ それに、自分の人生は、自分で切り開かないと面白くないじゃん♪ 未来が決まってたら面白くないし・・・かと言っても最後位は・・・ハッピーエンドが良いな・・・」
こちらも良ければ呼んでくださいね♪
■「新世界!俺のハチャメチャ放浪記! 記憶喪失の転生者」もアップしましたので宜しければご一読ください
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