勇者撲滅3
趣味のトリックショットもコロナウイルスのせいで自粛中。
お陰で、もう一つの趣味である小説のアイディアがバンバン浮かんでしまいました。
一つ目が終わってから掲載しようと思いましたが、増えすぎて来たので、同時に掲載する事にしました。
一月に数回しかパソコンにログインしないので、コメントを頂いてもタイムリーにお返事できないかもしれませんが、頑張りますので応援お願いします♪
この世界は、大きく分けて5つの大陸が存在するらしい。
俺達が転移したセントハイムが一番大きな大陸で、北には、エリクシールと呼ばれる巨大国家があり東南東には、エキセンブルグという巨大国家があるそうだ。
セントハイムから西に海を渡るとクロフォードという巨大国家さらに西に移動すればアンファングと呼ばれる巨大国家があるクロフォード大陸がある。
アンファングから西に海を渡るとアングリアと呼ばれる巨大国家がある大陸があり
さらにアングリアから海を渡って遥か南にはガイラス帝国と呼ばれるこの世界に二つしかない超巨大国家がある。
そのガイラス帝国から東南東に巨大国家イースがある。
この大陸がイージス大陸と呼ばれるそうだ。
テンプレではあるが、獣人族やドワーフなどがいないのかと質問するとセントハイムから遥か南にある最後の大陸を収めているのが獣人族との事だった。
国の名前はベスティア・
人口も何もかも不明との事だ。
互いに不可侵を守っているので、争いごとがない反面、互いに人の出入りが極端に少ないので、殆ど情報が入って来ないと教えてくれた。
ラノベでは、獣人と一緒に生活していたり奴隷とする風潮がテンプレだったが、実際には、独立国家となっている。
これも話を聞けば当然だと思った。
そもそも人間とは、皮膚の色が違うだけで不快を感じる弱い生き物なのだ。
獣耳や尻尾が生えている人間がいたら大半の人は、なじむ事が出来ないのだろう。
一度は本物の獣人とやらを見てみたいものだ。
そして、40日程過ぎた頃に勇者一行によるテロ行為が当然の様に起こった。
これに対してセントハイムの王国騎士団や傭兵それに冒険者達が前面に立ち迎撃を開始。
最初、実力が拮抗していたかの様に見えたが、圧倒的な数の優位で見事、勇者一行を退けたのだった。
この時の戦いをエルザに言われて傍観する事となり相手の能力を見破る鑑定魔道具で王宮の展望台から眺める事となった。
すると・・・200名程の襲撃に対して勇者3名に大賢者3名しか含まれていなかったらしい。
エルザが言うには、今回の襲撃は比較的被害が少なかったとの事だった。
話を聞くと納得だったが、勇者達にも強さのランクが当然あり、この度の襲撃も下位の勇者だったそうだ。
それでも勇者達が腹いせとばかりに王都に向けて凶悪な魔法を放つ姿を何度も目撃した俺達は未だ魔法と縁のない生活を送っていたので、頭上に降り注ぐ爆炎や稲妻、氷柱や竜巻を見て正直驚きを隠せなかった。
「魔法って・・・こんなに凄いの?」
「こんなに威力があるのか・・・それを平気で・・・」
「エルザさんの言っていた事が・・・分かった気がする・・・。」
巻き起こる爆炎の数々。
城壁から張り巡らせている防御結界により王国の中にいれば聞いていた通り安全であった。
激しく降り注ぐ魔法が王都の頭上で防御結界に弾かれる様子を呆然と眺めた。
話を聞くと今回の襲撃に来た勇者達は、レベルが低い方だとの話しだ。
このセントハイムを囲む結界は、上級以上の魔法を防ぐ為だけに作られているらしく弱い魔法だと素通りしてしまうらしい。
その為、結界に当たった魔法の威力である程度の実力が分かる様になっているらしくアッサリと今回の襲撃は勇者ランク25位前後と教えてくれた。
勇者にもランクがあるのかと思ったが、勇者と言っても力量には大きな差があると教えてくれた。
俺達のいる第一層は弱い魔法は届く事がないので、全くの無傷であったが、それでも、第三層のボトム地区はかなりの被害を受けたようだ。
エルザが言うには、巨大国家となったセントハイムの国を完全に覆うには巨大な魔石の数が足りないのだとか・・・
第一層は、結界を三層構造にしてあるが、第二層は二つ、第三層に至っては一つの結界しか張る事が出来ないとの話だった。
それでも、第三層の重要拠点や民家には部分的に二重結界を施している場所もあるので、最悪の結果だけは防げるらしい。
そして、その光景を見た俺達は、エルザの言葉を信じる事にした。
最初は、人権を無視した強引な投獄に見えた。
だが、あれ程の魔法を躊躇しないで同じ人間に向け放ってくる事を見れば“テロリスト”・・・この言葉がピッタリとはまり、納得したのだった。
「俺も本当だったら・・・あっち側だったんだよな・・・。」
そう呟くユージの言葉は誰の耳にも届かなかない。
そして、俺達三人は、通常の国民と比べてもかなり優遇された状況である事に感謝し、この世界で何が出来るのかを考えるようになっていった。
そうして、マイとミレイの2人と別れ、自分の家へと戻るとメイドのラナが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませご主人様。」
「ただいまラナ♪ う~ん・・・ラナは美人なんだから・・・もう少し愛想を良くした方が素敵だと思うんだけどなぁ~」
「別に美人ではありませんが、ご主人様が言われるのでしたら畏まりました。・・・ニコッ♪」
キリっとした表情から優しげな笑顔に一瞬で変わる。
『う~ん・・・そうなんだけど・・・作り笑顔って分かるのも・・・まぁ~ユックリ変わってくれれば良いか・・・』
「申し訳ございません。 心証を害してしまわれましたか? ご主人様のご希望に添えるよう努力いたします。」
「仕方がないよな・・・でも・・・出来れば俺と話す時位は、優しく微笑んで会話してくれると嬉しいかな♪」
「畏まりました。ご指導頂き有難うございました。」
「堅っ! ラナは真面目だね~・・・」
このセントハイム・・・否、この世界には、奴隷制度が当然の様に存在する。
メイドのラナも奴隷だ・・・.。
何故この様な若さの素敵な女性が奴隷に身を落としたのか聞きたいところだが、それを聞いても何をして良いか分からない。
今は、偶然助かったこの命を使ってどの様な人生を謳歌するのか真剣に考えていた・・・。
「それにしても・・・あの時渡した・・・字が汚かった事が理由だよな・・・それしか・・・俺が無事だった理由が説明できない・・・。字が汚くって良かった~♪」
そう・・・
神谷ユージは、本当であれば、勇者になりたいと神に希望を出したのだ。
では、何故助かったのか・・・。
それを説明する為には、少し時間を遡る必要がある・・・。
前世の地球で28歳の神谷ユウジは、某有名企業で毎月200時間以上の残業と「休日って労働って意味なのかぁ~?」と本気で考える程、休日出勤をしなければならない馬車馬のように働かされる社畜だった。
本人は夢と目的があったので、社畜とは思っていなかったようだが・・・ユウジの事を認めない社員達からは社畜と陰口をたたかれているようだ。
用事があろうが、高熱に魘され様が、仕事が終わらなければ本人が帰ろうとはしなかった。
給料は、良いものの一般的には社畜と呼ばれるそれだ。
週休二日制で、年間休日125日、平均残業10時間との触れ込みで就職を決めたのだが、社員となった今、騙された事に気付くも普段ちゃらんぽらんな性格なのに仕事だけは、責任感が強く決して仕事を放棄する事は無かった。
一年、二年と月日が流れると共に同期の仲間だけではなく先輩社員達も、どんどん辞めていった。
当然の様に増えていく仕事量にいつしか休日も働かないと間に合わなくなっていく。
「ユウジさん♪ お疲れ様です♪ 今日くらいは遊びに行きませんか?」
事務の女の子たちが声を掛けてくる。
「今日はパス♪ まだまだ仕事が片付きそうもないよ♪」
「ちぇ~ じゃ~来週は遊んでくださいね♪」
「あぁ♪ そうだね♪ 来週は襲ってやるからセクシーな服で来いよぉ~♪」
「やだぁ~ゆうじさんのエッチ~♪へんた~い♪」
「はいはい♪ 変態で結構♪ 良く言われるから問題なし♪」
「ユウジ~♪ 今度デートしてよ~♪」
「OK!OK!美香ちゃんも俺がムラムラする格好をしてくれたら喜んで♪」
「もぅ~ユウジたら~♪ だったら・・・凄い服装してあ・げ・る♪」
「デヘヘ♪ 今度もたっぷり可愛がってあげるからな♪」
「イヤァ~ン♪」
「神谷さんお疲れ様です。私の力不足で手伝い出来ず申し訳ありません。」
「堅い!拳骨せんべい位堅いよ!? ルナ君♪!」
「申し訳ございません。私はこの様な話し方しかできませんので・・・堅いですか?」
「まぁ~もっとフレンドリーに話した方が良いと思うよ? 髪形もそうかな♪ 本当ならもっと綺麗なんだから勿体ないよね♪」
「べ・・・別に綺麗では・・・」
「いやいや・・・ルナ君は綺麗だと思うよ♪」
「ポッ・・・」
「今度デートする事があったら俺がルナ君をコーディネートしてあげるよ♪」
「本当に私とデートして下さるんですか?」
「ん? 当然♪ ルナ君なら喜んで♪」
「はい♪ お願い致します♪」
「あぁ~!ルナってば~!何良い雰囲気になっているの~抜け駆け禁止なんだからねぇ~!」
「べ・・・別に・・・良い雰囲気などでは・・・」
「分かった、分かった♪ 今度マヤのおっぱいを揉んでやるからそう怒るなよ♪」
「へんた~い♪ そんな事!嬉しくないもん!」
「そんな事を言ってもベッドに入れば喜ぶくせに♪」
「もぅ~そう言うのは2人っきりの時に行ってよ~!」
「はいはい♪ さて、俺は仕事に戻るから気を付けて帰るんだぞ? お疲れ様♪」
「は~い♪ 申し訳ありませんが、お先に失礼させて頂きま~す♪」
去って行く女子社員から取り掛かっている仕事に目を向ける。
「頭痛てぇ~な~・・・」
この日も原因不明の高熱で、ふら付き乍らも仕事に当たっていた。
「時間を作る為に・・・ちょっと無理し過ぎたかな・・・俺にもう少し能力があればなぁ~。」
当たりをキョロキョロ見回して誰もいない事を確認すると何やら瞑想の様なポーズを取り始めた。
「スゥ~・・・はぁ~・・・」
するとユウジの身体の周囲がボワァ~っと鈍く光り始めた。
「これで、もう暫く持つと良いんだけど・・・よし! 気合を入れ直して!」
いざ仕事に集中しようとしたらまたしても声を掛けられた。
「神谷~お先に~♪ 今日の残業も天辺越えか?・・・って、聞くまでもないか・・・適当にやらないと過労死するぞ?」
一人の男性社員が心配して声を掛けてくれるが、そう言われても誰も手伝ってくれるわけではない。
「だな・・・。俺の人生は長くないな!」
自信満々に馬鹿な事を言う。
「怖いこと言うなよ! 神谷が言うとシャレにならん! まぁ・・・適当にやれる訳ないかぁ~・・・でも、本当に程々にしないと倒れるぞ? 手伝えなくてワリーな・・・ じゃ~お先~♪」
一人、また一人といなくなり深夜の零時を超えた時には一人残されたオフィス。
一人で4台のパソコンを操作しながらモクモクと仕事をこなしていく。
「ふぅ~・・・やっと終わった・・・。
いくら退職した社員達と一緒にやっていたからって言っても・・・流石に10人分以上の仕事量は、一人でやる量じゃないよな~・・・。」
時計を見ると既に時計の長針が深夜3時を指していた。
次々と辞めていく仲間と同じプロジェクトをしていたから・・・とか、デザインを一緒に勧めていたから…とか、育成していた社員が辞めたから等、様々な理由で神谷ユージが関与していた業務を全て丸投げする上司は、定時で会社を出ていた。
「自分で決めた目標があるからと言っても・・・流石に無理し過ぎか・・・」
頭を押さえてふら付き乍らも帰り支度を始める。
時間が足らず文字を書く時は、書きなぐる癖が付いてしまった。
正確には、時間短縮の為に身に付けた速記と呼ばれる技術なのだが、普通の場合でも癖が付いてしまいツイツイ急いで書いてしまう。
速記程、分かり辛くはないが、それでも読めれば良い・・・。そんな感じの汚い文字。
小学一年生以下の子供よりも酷い悪筆にしか見えない。
パソコンばかり使っている上に、速記で書く癖がついてしまった事で、漢字をスッカリ忘れてしまい。
今では、漢字よりもひらがなが大半を占めている。
こちらも良ければ呼んでくださいね♪
■「新世界!俺のハチャメチャ放浪記! 記憶喪失の転生者」もアップしましたので宜しければご一読ください
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月曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。
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