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勇者撲滅23

どこで調べたのかその内私の家に直接プレゼントが届くようになった。

君が悪いから引っ越しすると一週間もしないでプレゼントが届いた。


怖いからマネージャーが必ず家まで送り届けてくるけどその内携帯電話に悪戯電話が掛かって来るようになった。

なので、電話番号さえも帰る事になった。


少しして悪戯電話も嫌がらせの様なプレゼントも届かなくなってホッとしていたら今度は、色々な場所で後を付けられるような感じがした。


休みの度に誰かに見られている。

怖い・・・

気が強いって思われるけど・・・本当は信じられる男性に守って貰いたい。


私の事を「ふしだらな女」とか「尻の軽い女」など言う人も多いけど・・・私は、尊敬に値する男性を見つけたいだけなのに・・・


何でも腹を割って話せ、何でも相談できて、何でも出来る人・・・

私の事を誰よりも理解してくれて、私の才能を引っ張り出してくれるような人・・・


芸能界の友達に相談すると

「そんな人いないよ~♪」とか

「夢見過ぎだよ~♪」と話にならなかった。


私は未だに不思議なんだけど・・・

「一生に一度の自分の人生なんだよ?」

生涯を共にしたいと思えない人と結婚なんて考えられない・・・。


妥協するのが結婚だと言うなら結婚しない方が増し。

我慢するのは構わない・・・その我慢に意味があるなら・・・。


私を驚かせて欲しい・・・。

私にガッカリさせないで欲しい・・・。

どんなに私が頑張っても私を掌で操れる位凄い人が良い・・・

私より高みにいて欲しい・・・私が頑張っても届かない程に・・・。



だから・・・いつか出会えるかも知れないその人にガッカリして貰いたくない。

だから私は・・・今を頑張ろう・・・。

そう思って臨んだある映画で、私の身に恐怖と絶望が襲った。


死んで転生した今でも思い出すと身体が震える。

怖い・・・助けて・・・。

私だってか弱い女の子なんだよ・・・。


思い出すと未だに眠れない・・・。

一人でいると怖くて仕方がない。

私のメイドも女性だから少なからずホッとしているけど・・・それでも怖いの・・・。



そして、私の人勢最後の撮影・・・。

雨が降り撮影が延期となったので、ホテルで休む事になり私は一人で、自分の部屋に戻った。

当然部屋の前までマネージャーが付いて来てくれた。


室内にあるシャワーを浴びてベッドで寛いでいたらウトウトして気が付いたら・・・



知らない男が私に馬乗りに跨っていた。

ガムテープで口を塞がれ両手を後ろで縛られ・・・

首筋に包丁を当てられて・・・。



何が起こったのか・・・意味が分からない・・・。

「夢・・・なの?」

モゴモゴと口が塞がれているので声にならない。


縛られた腕の痛みが現実である事を私に教えてくれた。

男は血走った眼で私を見つめていた。


怖い・・・

自分の足がガクガク震えている事が分かった。


そして、その男が冷ややかな声で

「静かにしていろ・・・大人しくすれば殺しはしない・・・もし騒いだら・・・分かっているな・・・。」

そう言いながら首に包丁を当てたので、私は静かにコクリと頷いた。


「俺が・・・誰だか分かるか?」

私の記憶にない・・・。

なので、頭を横に振ると


「この尻軽女が・・・誰がお前を女にしてやったと思ってやがる・・・この俺様だろうが~! それをケツの軽いお前は、次から次へと男を漁りやがって! フゥ~フゥ~フゥ~」


昔の記憶にある一人の男の子の顔が浮かび上がった

「やっと気が付きやがったか・・・俺が何度もやり直したいって言っても蔑むような眼で・・・憐れむような眼で俺を見やがって・・・けど・・・俺は分かっているからな♪ お前が本当に好きなのは俺だって事。」


ストーカー・・・

しかも・・・かなり危険なストーカーだ・・・。

怖くて目を見開いていると


「そうだよな・・・俺が好きで好きでしょうがないんだろう? 俺のプレゼントは気に入ってくれたか? 携帯は壊れたんだったら俺に教えないとダメだろう? ・・・あぁ・・・そうだよね♪ こんなものをしてたら喋れないよね♪」


そう言って私の口を覆っていたガムテープをビリビリと剥がし始めた。

「大声は出すなよ♪ 分かっていると思うけど・・・直ぐに俺だって気が付かなかったのは許してあげるね♪ 俺も随分成長したからね♪ 随分ワイルドになったろう♪」


そう言って胸に手を入れる

「いや! や・・・やめて!」

「分かってるって・・・誰がお前を女にしたと思ってるんだよ・・・ここが好きなんだもんな・・・」


恐怖と気色悪さが交互に襲ってくる。

「いや!」

身体を捻って強引に抜け出すと急いで扉へと向かう。


「ダメダメ・・・いけない子だね♪」

そう言うと野菜でも切るかの様な気軽さで私の足を包丁で刺した。


「ウグゥゥゥ~!」

ボタボタと自分の太ももから流れる血

「ほら~逃げようなんてするから~!痛い思いをするんだよ? マイ! こっちにおいで♪ 治療しよう♪」


「いや・・・いや・・・いや~~!!」

「おまえ・・・本当に愚かな女だな・・・大声を出すなって言ったよな!」

バキッ!


「グゥ・・・!」

私の顔面を拳で殴ってきた。

自分の鼻からボタボタと血が落ちる。


「ほら~今度は鼻血を出して~・・・はしたない女だな~♪」

「いやだ・・・いや~!!誰か・・・誰か助けて~!!!」


グシャ!!

後ろで縛られて腕を無理やり上に持ち上げられ肩を外された。

「ギャァァァァ~!!!」


「だから・・・煩く・・・するなって言ってんだよ! このバカ女~!!」

ドガッ!ボゴッ! ひたすら肉塊を蹴る音が鳴り続けた。


「ゲホッ! カズヤ・・・やめて・・・」

「辞めてじゃないだろうが・・・・カズヤ様おやめ下さいお願い致しますだろう?」


何なの・・・この人・・・イカレてる・・・怖い・・・誰か・・・誰か助けて・・・。


「ほら!言えよ! だったら!カズヤ様愛していますでも良いんだぞ♪ ウヒヒヒヒ♪ ヒ~ヒッヒッヒッヒ♪」

嫌だ・・・こんなバカな男に媚びへつらうなんて・・・だけど・・・怖い。

その時だった・・・。


コンコンコン!

私の声が聞こえたらしく誰かが外からノックする音が聞こえた。

「マイさん!大丈夫ですか!開けて下さい!」


「マネージャー! 助けて!部屋にストーカーが!」

ドアノブに近づこうとした時だった・・・。


「このアマ・・・いい加減にしろよ!」

頭を鷲掴みにされドアノブに叩き付けられた。


「ギャァァァァ~!」

歯が何本も折れた。尋常じゃない量の血が口から零れ落ちる。

『この人・・・イカレてる・・・怖い・・・誰か・・・』

「大丈夫ですか!マイさん!今フロントに言って鍵を貰ってきます!」


「いや~ いやだ~ 」

恐らく顎も砕かれたからかシッカリと発音できていない。

煌びやかな世界の女優の姿はそこにはない・・・。


「なんだ?・・・お前・・・本当にマイか? 汚ねぇ~顔しやがって・・・分かった・・・お前・・・偽物だな! 本物のマイはどこだ! おい!クソブス! 気持ちわりぃ~な・・・もう良いや♪」

そう言うと私の腕に包丁を突き刺した。


「いや・・・いやぁ~!! 誰かぁ~・・・誰かぁ~」

「煩いんだよ!クソ女!」

地獄・・・憎しみが籠ったその包丁は、何度も何度も私を刺した。

そして、薄れゆく景色の最後に自分の首を掻き切る男の姿があった。




死んだ直後、“神”を名乗る女性が現れこの世界に転生させてくれた。

職業を書くように言われたけど私には女優以外の道が分からなかった。


そして、転生したら全く意味の分からない話ばかり・・・。

記憶は、残っているから怖いけど・・・ここは地球とは違う世界・・・。

一から頑張ってみようと考えたけど・・・頭の整理が落ち着かない。


転生してから毎晩の様に前世の死の瞬間を夢に見た。

夜中に叫び声をあげて魘されている私を奴隷メイドの“アルカ”が心配してくれたけど私の恐怖は薄まる事は無かった。


正直何も手に付かない。

ミレイもユージも同じような物なのかも・・・。

幸いにもお城から給金として毎月、50万エーカ貰えるので生活には困らない。


暫くボォ~っと生活をしているとある時ユージが笑わせてくれた。



「分かった・・・教えるけど・・・笑うなよ。」

そう言って教えてくれたのはこの世界のジョブについて・・・


笑うなよって神剣な顔で言ってきたけど職業で笑うって意味が分からないからキョトンとしていると


「分かった・・・俺の職業は・・・“ゆうじ”だ。」


そう言われて何を自分の名前を言っているの?

私達が聞いているのは、職業の事なんだけど・・・


そう思ったらついつい癖で語尾がきつくなってしまった。

「何言ってんのよ!私達が聞いているのは名前じゃなくて職業でしょうが!」

「そうだよ~ユージ君!ここまで話を引っ張っておいてそれは、男らしくないよ~!」


ミレイも同じ気持ちだったみたい

そうしたら「ややっこしいな・・・ステータスON!」


そう言ってユージが自分のステータスを私達に見せてくれた。


「ブッ・・・ブフッ・・・プッ・・・ププッ・・・」

「プッ・・・ププッ・・・グプッ・・・ブフッ・・・」


職業“ゆうじ”って何!

ヒィ~♪お腹が痛い~♪ や・・・やばい・・・睨んでる・・・顔を背けるも笑いが堪えられず肩が動いてしまう。


「あぁ~・・・笑いたければ笑え!」

そう言ってくれたので、我慢の限界だったので遠慮なく・・・

「ブフ~♪ヒィ~お腹が~・・・しょ・・・職業・・・ヒィ~“ゆうじ”って!キャァ~ハッハッハ~♪」

「ア~ハッハッハッハ~♪ お腹が・・・お腹が~・・・ヒィ~・・・空気が~空気が~・・・ヒィ~♪」


数分後・・・

「はぁ~・・・笑ったわ・・・ここまで笑わせて貰ったの・・・生れてはじめてかも・・・。」

「プッ♪ わ・・・私も・・・プッ♪」


腹筋が痛い・・・多分これ・・・筋肉痛になるな・・・

「お腹痛い~・・・ユージ!貴方!お笑いの才能があるわ!」

「いらん!そんな才能!」


おぉ!ツッコミの才能もお持ちですか♪


それで話を聞いたら文字が汚かったせいで神様の機械がご認識してって・・・

自分の人生が掛かっているんだから少しは慎重に書けば良かったのに・・・

そう思ったけど・・・そのお陰でユージは犯罪者扱いを受けなかったんだから人生って面白いわ♪


その後も漢字で良い意味がないか話し合って気が付いたら人の為に一生懸命にユージの職業の事を考えている私がいた・・・。


どうやらユージは冒険者に憧れていたみたい。

話を聞いたら前世で世界のあちこちを見て回ったって教えてくれた。


私の知らない事ばかりだった。

ユージが教えてくれることは、私が男にガッカリしていた事に少し似ている様に思えた。


日本と言う安全な国の中ではなく、想像もしなかった過酷な環境の国々の話。

サバイバルをしないと生きていけない国。

平気で人の命を奪う国。


私も撮影であちこちの国々に言ったけど、そんなところだとは知りもしなかった。

ショックだった。

ガツ~ン!と頭に衝撃が走った。


まるで、ユージに

「お前も見てくれしか見ていないんだ!」

そう言われた気がした。


実際私が興味津々で質問すると

「マイは女優だったんだろう? だったら仕方がないよ♪ これは、俺が俺である為に自ら望んで厳しい世界を見に行っただけだから・・・普通の人は知らなくても良いんじゃないのかな・・・」


そう呟いたユージの顔が、私の知らない男性の顔だった。

悲哀・・・哀愁・・・そんな感じの表情・・・。

恥ずかしくなった・・・。

狭い世界で分かっていた様な気になっていた自分に・・・。



こちらも良ければ呼んでくださいね♪

■「新世界!俺のハチャメチャ放浪記! 記憶喪失の転生者」もアップしましたので宜しければご一読ください

https://ncode.syosetu.com/n0781fy/

月曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。


■「小さな小さな 大冒険!!」もアップしましたので宜しければご一読ください

https://ncode.syosetu.com/n6880gm/

月曜日と木曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。

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