勇者撲滅22
「どう言う事だ?」
「・・・封印の祠にいたはずの究極龍が最後の解呪をする前にどこかに消えたそうだ・・・」
「「「消えた?」」」
「ああ・・・現在、仲間たちが各国に散らばって捜査している。
多少時間が掛かるが見つかるのも時間の問題だろう・・・」
その場にいる者達がゴクリと鍔を飲む
「その為にキングテイマーの持ち主を探しだすって事?」
「そいう事だ・・・」
「それは、流石に無理じゃないの?」
「あぁ・・・奴一人では無理だ・・・その為には、あと一人・・・レベルの高いキングテイマー・・・もしくは、高レベルのテンプテーションの能力者が必要だ! 2人そろえば必ず古の龍・・・アルティメットドラゴンを操り、あの忌々しい国を襲わせる事が出来るだろう・・・。」
「なるほど~♪」
「確かにアルティメットドラゴンをティムする事が出来れば投獄されている何百人もの仲間を救う事が出来るかも知れんな・・・。」
「流石だ!リューヤ!」
「その為にも一度、俺達の国に戻って作戦を組みなおす。」
「分かったわリューヤ♪」
「了解でござる!」
「俺も納得だ!」
「だが、襲撃の為に各国に潜んでいる奴らはどうする?」
「奴らには、通信魔道具を渡してある。
だからセントハイム大陸の連絡役にオニヅカ達には別ルートを取って貰う事にした。」
「そう言えばキョーヤの身体は大丈夫なの?」
「あぁ・・・ 今は大丈夫だろう・・・」
「それなら良いけど・・・」
「オニヅカか!あいつらのチームも8人はいるから大丈夫だな!」
「でも・・・8人一緒に動いたら目立つんじゃない?」
「心配ないでござるよ! オニヅカだって分かっているでござるよ!」
「当然、二つに分かれて動くに決まっているだろうが!オニヅカさんを馬鹿にすんな!」
「別に馬鹿になんかしてないし~!」
「あぁ。俺も心配していない。アイツらには遠回りさせてしまうがエリクシール方面のルートで俺達の国に戻って来て貰う予定だ。
そうすれば、移動の途中で潜伏している仲間と連絡が取れるだろうからな・・・。」
「なる程・・・イキナリ収集って言われたから急いで来たけど・・・そんな話になっていたとはな・・・」
「そうでござるな・・・」
「アングリアとガイラスやイースに行っている仲間は流石に呼び戻すには時間が掛かるからな・・・そのままキングテイマーを探してもらう・・・」
「って事は、俺達もか?」
「そうだな出来ればそうしたいところだ・・・まぁ・・・クロフォードで隠密に動けるのであれば・・・だがな。
俺達の動きを掴まれる訳にはいかない・・・慎重に動くが恐らく一旦国に戻ってからになるだろうな・・・」
「じゃ~オニヅカ達とはクロフォード方面で会えるのかな? でも時間的には私達の方が早いから無理か~ 」
「あぁ・・・流石にクロフォードで合流する事は無理だな・・・。それと奴らに見つかってしまった場合は可能であれば、魔導列車を潰して奴らの増援手段を防ぎたいな」
「魔導列車かぁ~アレは厄介だぞ? かえって下位のナンバーズにやらせた方が簡単だ!」
「あくまでも可能であればだ!無理であればレールや地面を壊せば良い・・・出来るだけ被害を与えれば、オニヅカ達も無事に帰って来れるはずだ・・・。」
「なる程・・・追っ手を撒くためと追撃を防ぐため・・・さらに別動隊を無事に帰還させる目的か!」
「そうだ・・・。」
「分かったぜ! 後は・・・セントハイムに潜伏している奴らが転生者のリストを持って来れば完璧だな!」
「まぁ・・・今は後回しだな・・・それよりも・・・」
「分かってるって♪ キングテイマーかテンプテーションのスキル持ちを探すんだろう♪」
「そうだ・・・。だが・・・万が一にも失敗は許されないからな・・・出来れば2人は欲しい・・・。」
「レアスキル持ち2人か・・・」
「それも・・・いつもの念の為ってやつだろう♪」
「フッ♪ そう言う事だ・・・。」
「よっしゃー!久しぶりに我が家へ帰るとするか!」
「1年ぶり?2年ぶりだっけ?」
「子供達も大きくなっただろうな。」
「じゃ~リューヤの作戦通りに!」
そうして、暫くの間、勇者達によるセントハイムの襲撃は収まった様に見えたのだった・・・。
「ただいま~♪」
「お帰りなさいませ♪ユージ様♪」
フワッと花が咲き乱れる様な錯覚を受ける。
優しい笑顔をユージに向けラナが走り寄ってきた。
「あら?ユージ様にしては・・・その・・・失礼ながら・・・珍しくお疲れのご様子ですね?」
「あちゃ~分かっちゃった? おかしいなぁ~? いつもと変わらない様にしてたんだけどなぁ~?」
「ウフフ♪ ラナはユージ様の事なら何でも分かるんですよ♪」
「そっか♪ じゃ~これからは、ラナに隠し事はしない様にしないとね♪」
「はい♪」
いつも通りのラナの手作り料理を食べ風呂に入ると疲れが出たのかぐっすりと朝まで眠ってしまった。
朝目を覚ました時にユージは思った。
「いつ以来だろう・・・こんなにグッスリと眠ったのは・・・」
頭を傾げて考え込むも思い出せない。
今世では、平均睡眠時間が3時間程なので、今世ではない。
前世の記憶として思い出すが、社会人となってからは、一度もあり得ない。
ならば、高校生の時かと考えるも遊びとバイトに明け暮れ記憶にない。
だったら中学生の頃か?っと考えるも部活に勉強とさらには、中学生ながらに早朝バイトをしていたので、これも違う。
小学生か?と考え始めた時
前世の家族がユージを置いて死んだ事を思い出す。
「オッと! そんな事はどうでも良かったな♪
こんなにもグッスリ眠れたのもラナのお陰だな♪」
そして、身支度を整えるとラナを連れて冒険者ギルド本部へと足を運ぶ。
結果はもちろん合格。
これにより念願の一つだったお金の預金が出来るようになった。
「おめでとうございますユージ様♪」
「サンキューラナ♪」
荒くれ者が集まるギルドのイメージは、本部にはない。
ここ以外の冒険者ギルドであれば、荒くれ者のイメージがあるが、この場所は、どちらかというと空港のロビーの様な雰囲気だ。
ラナの様な美人を連れて歩けば、冷やかされそうなものだが、ここでは、羨望の眼差しを受けたのだった。
「ククッ♪」
「どうされたんですか?ユージ様♪」
「ん~ラナは、いつ見ても美人だなぁ~っと思ってね♪」
その言葉にプシュ~っと頭から湯気を噴き出す。
「あの~その~・・・はい♪ ユージ様にそう言って頂けると嬉しいです♪」
頬を染めながらしっかりとユージの目を見て応え返す。
以前のラナでは見られなかった光景だ。
そうして、Cランク冒険者としての日々が始まり今まで以上に行動範囲の広がったユージが精力的にクエストを受けた事は、想像に容易い。
SiDE:マイ
始めの印象は・・・一人で落ち込んでいたから・・・“変な人”だった。
それから同じ転生者同士って事で、3日と開けず会うようになった。
異世界の知識なんか全くなかったからユージの存在に正直、私もミレイも助蹴れられた。
こう見えても私は前世で、かなり知名度の高い芸常人だったと思う。
4歳で子役としてデビューして依頼、その後も何本もの映画で主演女優として数々のヒットを飛ばした。
15歳からは歌手としても成功を収めた。
数々のヒット曲を世に出した事で、私に付いた字名は“平成の歌姫“や”平成の舞姫“だった。
18歳の頃になると異性から言い寄られる事も少なくなかった。
当然の様に何人かのトップアイドルを含む多忙な有名人達と付き合ったけど殆どの人が上辺ばかり気にしてつまらない男が多かった。
22歳の頃に本気で惚れた人が出来たから幸せだった。
2年の交際を経ていよいよ結婚!と思ったら浮気癖のある事が発覚した。
私以外に2人の女の事も付き合っていたみたい。
正直、才能豊かな人だったので、許そうと思っていたら私の方が遊びで本命は別の女だった・・・。
つくづく私は男を見る目が無いんだな~っと本気だと思った男性だったにも拘わらず感情が覚めて行った。
日頃、私と仲良くしている様な友達たちも
『いい気味だわ♪』と陰口が耳に入るようになった。
それからしばらくすると私の前に再び現れた浮気男がが“やり直したい”と土下座して私に謝罪に来たけど既に興味が無くなっていた。だから、
「私の前から消えてくれる?目障りだわ!」
と言ってやった。
今思えば、あんな男のどこに惚れる要素があったんだろう?
最初の頃は、キラキラと光るものがあると思ったし、優しく行動力があり、何よりカッコ良かった。
でも、2年以上もの時間があったにも拘わらず何か成長したのだろうか?
アイドルグループとして名前は売れているけど・・・本当に上辺ばかりを着飾っている人だと思った。
何と例えるのが良いのかな・・・
例えば・・・食品サンプルかな?
見てくれは精巧に作られているんだけど
味が無い。
匂いが無い。
触っただけで偽物だと分かる・・・そんな感じかな?
最初は、素晴らしい食品サンプルだったから感動したけど・・・ずぅ~っと傍にあるとそれ以上には決してならない事が分かってしまう。
私が今まで付き合ってきた人達は少なからず同じ様な男ばっかりだった気がする。
私と言う光が近くにあるせいで、周りからも自分自身が光っていると錯覚してしまうのかも知れない。
別れた男が、その後に今まで以上に売れたと聞いた事が無い。
それどころか知らない内に芸能界から姿を消していく。
だから付き合っている時は、必ず周りに見せびらかす様に自慢する男が多かった。
今なら分る・・・
あの人たちは、私を見ていない。
私の肩書を見ていたに違いない。
もしくは、私の身体目当て・・・。
男って・・・こんなものなの?
インタービューで私が「頑張っている姿を見るのが好き♪」と答えればやたらと努力を私に見せつけ
「スポーツマンが好き♪」って言えば、運動神経をアピール。
「やっぱりイケメンの方が良いですよね♪」って答えれば、顔自慢。
「頭が切れる人が良いです♪」そう言えば、自分が賢い事を自慢する。
23歳の頃に青年実業家として世間を賑わせていた人からアタックされ付き合ってみた。
私が、変なのかもしれないけど最高のパートナーを見つけたい。
もし、そんな人が見つかるんだったら愛人でも構わないとさえ思ってた。
この人は、今までの人と違って輝いて見えた。
会社が自分の子供みたいっと爽やかな笑顔で言われてドキッとした。
「この人なのかな?」そう思ったの・・・けど・・・
三ヶ月もしない内に化けの皮が剥がれた。
釣った魚にエサはやらないタイプ・・・何それ?
今まで付き合っていた男たちと結局変わらなかった。
私の演技を見ても
「流石♪誰よりも輝いていたよ♪」
「やっぱり格が違うよね♪」
私の歌を聞いても
「やっぱり上手いよなぁ♪」
「天才だね君は♪」
誰も影で私が努力していく事など知りもしない。
上辺だけの私を見て腹の探り合い。
本音で話す人などもういないと思った。
私は、男に対して軽蔑するようになった。
別に女が好きなわけじゃないからね?
今でも男性は好きよ?
でも単純に魅力的な男性が近くにいない・・・
なので、言い寄って来る男は後を絶たなかったけど、片っ端から振ってやった。
そして、私が24歳の時・・・・私は、初めて恐怖と言う言葉を知った・・・。
始めは、一つのどこにでもあるファンレターだった。
この手のファンは、物凄くアピールする人がいる。
コンサートには必ず来るし、舞台があれば必ず見に来てくれる。
ファンは大事にするのは、この業界の常。
握手会にもサイン会にも必ず参加するその人が、昔付き合っていたアイドルだとは思いもしなかった。
こちらも良ければ呼んでくださいね♪
■「新世界!俺のハチャメチャ放浪記! 記憶喪失の転生者」もアップしましたので宜しければご一読ください
https://ncode.syosetu.com/n0781fy/
月曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。
■「小さな小さな 大冒険!!」もアップしましたので宜しければご一読ください
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月曜日と木曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。




