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勇者撲滅20

そもそも今回の合格ラインは、基本一人に対しての基準なのだ。

パーティーで受けるという事は、全員が同じ力量同志であれば個別に昇格試験を受ければ良いのだ。

しかし、個人の力量では足らない事が多いからこそパーティーを組む。


そうなると必然的にリーダー一人を昇格させる為に動くようになる。

良くてももう一人合格すれば良い方だろう。

その為に時間制限を設けているのだ。


そうでなければ、単独より大人数で受験する方が、難易度が格段に下がる事は言うまでもない。

パーティーを組むのは、決してメリットばかりではない。

力の弱い者、足の遅い者、体力のない者、肉弾戦が出来ない者、魔法が使えない者など様々だ。


さらに、報酬は山分けなのだから、装備を壊してしまえばいつまで経っても稼ぐ事が出来ない。

そして、一人が傷ついたり、疲労で動けなくなればパーティー全体の足が止まってしまう。


それが、分かっていたからこそユージは単独冒険者を選んだのだ。

リスクはある。

魔法が使えないユージにとって魔物が大量に出るとなると体力が尽きた時が、命が尽きる時。

それ以外にも身動きが取れない状況に陥ればそれは、即、命の危険。


それでも、基本ステータスが高い事を教えて貰ったユージは、単独冒険者を選んだのだった。

最初は、魔法もいずれ仕える様になるし・・・と楽観的な考えもあったようだが・・・。


そうこうしている内にユージは9階層へと足を踏み入れたようだ。






「それにしても・・・やっぱり魔石の質が良いよな・・・何でだろう? それと・・・マナが濃いからか?・・・経験値が凄くねぇ?・・・ふぅ~ さすがに少し疲れて来たな・・・なる程ね・・・これがダンジョンか~♪」


外の世界であれば、魔物が湧いて出て来るような現象は起きない。

逆に言えば、警戒を怠らなければ、シッカリと休む事が可能なのだが、ダンジョンはそうはいかない。


周りの魔物を全て片付けたから休憩しようとすると次から次へと魔物が襲い掛かって来るのだ。

ラルク達は、驚いて映像を見ていたが、何の事はない。

休憩する事が難しいと判断したユージは、最短でクリアする事を決めただけだった。


身体を見れば、鎧で守られていない部分に僅かだが血が滲んでいる。

ポーションなどで、治療はしているから問題はないようだが、怪我が直せるポーションでは、体力は回復しない。

走りながら迫りくる敵を切り付けている最中にもビジネスが頭を過る。


「ラノベでもそうだったけど・・・やっぱりポーションて・・・不便だな・・・。味は・・・まぁ・・・一昔前の青汁の様なものだから問題ないけど・・・問題は・・・量だな・・・。」


そう・・・ポーションの量は、一回分約150cc程度と言ったところだろうか・・・。

こんな連続戦闘が続くとなると定期的に飲み続ける事になる。

先程、ユージが呟いた“流石に少し疲れて来た”とは、ポーションを既に5本も飲んでしまった事で、お腹がチャプチャプしていた。


皆さんも経験がないだろうか・・・水分を摂り過ぎた後に全力で走ると脇腹が痛くなる・・・アレだ!

流石に腹が膨れて脇腹が痛み出した。

なので、休憩したいのだが、魔物が次々襲い掛かって来る。


だから全速力で走るのだが、そうすると突発的な攻撃をどうしても躱し切れない時がある。

そのせいで、またしてもポーションを飲む羽目になってしまい。

負の連鎖が続いていたのだ。


「やれやれ・・・やっぱり魔法が使えるのは・・・羨ましいな・・・。けど・・・次のビジネスは、やっぱりこれだな♪」

そう・・・ユージはポーションとは“飲むもの“との発想に疑問を感じていた。


例えば、ローポーションがそうだ。

以前、冒険者ギルドで恰好を付けてポーションを購入した時から不思議に思っていた。


「ちょっとした切り傷や打ち身程度の回復であれば飲まなくとも治りそうな気がするんだけど・・・何で飲まないとダメなんだ? これ・・・何となく金の匂いがしてきたな♪」

あの時、既にそんな事を考えていたのだった。


しかもローポーションは、物によって効果が弱い者まで混ざっている事があり、その場合は、効果が表れるのに数時間も掛かる場合があるそうだ。

「だったらシップやバンドエイドで良くねぇ~?」

そんな事を考える事は、当然に思える。


前世の地球で読んだラノベにもポーションとは飲むもの・・・まぁ上級ポーションやチートの過ぎた話だと掛けるだけで治る話もあったが、どうやらこの世界にはそこまでの物は今のところ存在しない。


「チートが過ぎて気が付かないんだろうなぁ~・・・普通に生活する人達の目線になれば・・・ビッグビジネスになる物が山ほどありそうだけど・・・どう見ても大雑把と言うか・・・大きい機械と言うか・・・そんな感じの物しか発展していない様に見えるな・・・。」


そして、9フロアも終わりが見えた頃だった。

少し離れた場所で戦っている冒険者の姿が目に入った。

当然だろうダンジョンなのだから・・・。


フロアにもよるだろうが、少なくとも同じフロアに10組以上の冒険者たちがいるのだろう。

乱雑する木々や岩山によって遠くまでは見渡せないが、偶に上空に煙が立ち昇っているのを見かける。

さらに、ここに来る間にも実際何人かの冒険者たちの姿は目に入っていたのだが、この冒険者は、今までと少し勝手が違った気がした。


ユックリと歩み寄ると冒険者ではなく冒険者達であった。

違和感の正体・・・それは、最後の一人であろう冒険者の少年が持っている剣が既に折れていたからだった。

戦っている魔物は、ユージもここに来るまでに何度か倒したオークソルジャーと呼ばれるオークの上位種であった。


ハルバードと呼ばれる独特の武器を構え今にも打ち下ろそうとしていた。

「クソッたれぇ~!」

憎悪に満ちた目をオークソルジャーに向けてはいるが、身体中には無数の傷がある。

折れた長剣をもう片方の手を添えて頭上に構え防ごうとしたが、オークソルジャーの凶悪な一撃は、最後の希望さえも粉々に打ち砕いてしまった。


「だ・・・ダメだ・・・みんな・・・スマン・・・。」

そう言って目を閉じて死の瞬間を待つが、それは訪れない・・・

ガキィ~ン!と何かの金属がぶつかる音が鳴り響き、少年が恐る恐る目を開ける。


目の前には、龍刀でオークソルジャーのハルバードを下から上に弾き上げすかさず開いた胴目掛けて横一線に薙ぎ払う姿があった。

キン!っと音が鳴ると共にズズズっと横滑りする様にオークの身体が崩れていく。


「す・・・すげぇ~・・・」

目を見開いてその光景を見ていると目に映った男が声を掛ける。


「大丈夫か? いらん手助けだったら悪かったな・・・。身の危険が及んでいると判断したから助けさせてもらったけど・・・問題なかったかい?」


「あぁ・・・問題ない・・・あんた・・・強いな・・・B級冒険者か?」

「いや?D級だぞ?ん~否・・・昇格試験中だから・・・正確には、もうじきCランク冒険者だな♪」

「マジか? 俺だってD級何だぞ?」


そんな事を話しかけてくるが

「悪いが、そんな話をしているほど時間はないぞ?」

「あ・・・あぁ・・・そう言えば試験中だって言ってたもんな・・・悪い。

助かった感謝する。 この礼は必ずする。」


ガサゴソと自分の袋を漁るユージの姿を見て少年が不思議そうな目を向ける。

「どうした?」

「はぁ~?何を言ってんだお前・・・時間がないと言っただろうが!?」


そう言い放つといくつかの瓶と袋を手に持って少年の傍らで倒れている2人の冒険者へと近づいていく。

「まだ微かに息があるな・・・こっちの方が重傷だな。」


そう呟くと大柄な少年に手に持っているポーションを傷口に振りかけ心臓マッサージをし始める。

「よし・・・呼吸が戻ったな・・・」


そして、もう一本を大柄な少年の口に注ぎだした。

「飲め」

そう言い放つともう一人の魔法使いであろう女の子にも同じ様に対処し始めた。


「あんた・・・何を・・・?」

「はぁ~?見て分かんないか? お前馬鹿なのか?」


そう言われてカチ~ンっと来たが、助けてもらった上に、治療までして貰っているのだ。

文句など言えるはずが無かった。


「どうだ? 意識はあるか?」

そう言って魔法使いの女の子を地面に横たわらせる。


その瞬間、他の魔物が襲い掛かってきた。

「やれやれ・・・ダンジョンって本当に面倒な場所だな・・・。」

スクッと立ち上がると3匹のオークを一蹴する。


「す・・・すげぇ~・・・」

さっきの少年が、目をパチクリさせながら驚いていた。


「わ・・・私・・・た・・・助かったの・・・?」

「カンナ!?・・・大丈夫か!? この人が助けてくれたんだ・・・。」

「そ・・・そうなんだ・・・あの・・・」


「喋るな・・・今は、休んでいろ。」

「カハッ!ゲホゲホ・・・あれ? ここは・・・? 俺・・・死んだと思ったんだけど・・・そっか・・・アキラが助けてくれたのか・・・」


恰幅の良い身体をムクっと持ち上げるとタケシと呼ばれた少年に向け「サンキュー」と口にした。

「違うんだタケシ・・・俺じゃない・・・その人が助けてくれたんだ・・・。」

そう言ってユージに向けて指を指す。


「お前も喋らないで休んでおけ。 チッ!本当に次から次へと・・・お前は、これでも飲んでおけ!」

そう言ってもう一本のポーションをアキラと呼ばれた少年にポイッっと投げ渡すと龍刀を抜き一足飛びに何もないと思った場所に向け一閃する。


ワンテンポ遅れてブワッと足元の草が揺れ動くと跳躍したブラックウルフを両断していた。

「何?この人・・・強~い♪」

「凄い!」

横たわらせた二人もポーションが聞いて来たのか先程よりも顔色が良くなっている様に見えた。


「本当に次から次へと・・・キリがないな・・・どうだ?気分は?傷は治ったかも知れないけど・・・流れ出た血は、ミドルポーションでは元に戻らないからな・・・」

「「もう・・・大丈夫です」」

「あぁ・・・俺も・・・大丈夫だ・・・改めて礼を言わせてくれ・・・」

そこまで言ったアキラの言葉を


「そんな事は、取り敢えず後にしろ! 先ずは、この階層を抜ける方が先だろうが!」

怒気を含んだ声で、そう言われ3人共ビクッとするが、自分達が間違えている事に気が付く。


「わ・・・わりぃ~そうだな・・・先ずは、ここを抜ける事が先だな・・・。」

「取り敢えずは、俺について来い!」

そう言って前を進むユージの後に付いて動き出す。



「よし・・・9階層の段差だ! お前等はどうするんだ? まだ進むのか?」

真横に目を向けるとセーフティエリアと思える結界が目に映った。


「いや・・・今日は、ここまでだ。引き際を誤ったばかりだからな・・・。」

「ふぅ~ん・・・それは分かっていたのか・・・なら気を付けて戻れよ♪」


「「「このお礼は、後日必ず返します!」」」

「別に良いよ♪ お前達も転生者なんだろう?」


「って事は・・・お前もか?」

「そうだよ♪」


「そうか・・・俺は一年半前にこの世界に来たんだ・・・」

リーダーのアキラがそう話すと


「私は、一年前に転移してきました。」

カンナと呼ばれた16歳位の少女が緊張した顔で話を続けた。


「お・・・俺も一年前に転移しました・・・。」

大柄なタケシと呼ばれた大男が恐縮しながら話しかけて来た。


「別に丁寧に話さなくっても構わないぞ?お前達も見た目こそ15~16歳って感じだけど・・・実際の年は違うんだろう?」


「いや・・・俺達は同い年だけど、前世でも今頃16歳なので同じだよ。」

「そうなのか? 前世で友達同士だったりするのか? でも・・・転移してきたタイミングが違うんだよな?」


こちらも良ければ呼んでくださいね♪

■「新世界!俺のハチャメチャ放浪記! 記憶喪失の転生者」もアップしましたので宜しければご一読ください

https://ncode.syosetu.com/n0781fy/

月曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。


■「小さな小さな 大冒険!!」もアップしましたので宜しければご一読ください

https://ncode.syosetu.com/n6880gm/

月曜日と木曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。

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