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勇者撲滅18

「ダッハッハッハッハ♪お風呂に入ったから油断したな♪」

「もう・・・ユージ様はズルいです・・・。」

ブクブクと沈み込みながら豪快に笑うユージ様をチラチラと見た時に理解しました。


朝、駅で色々な人が私の事を見ていた事を・・・

あれって・・・私に興味があったと言う事なんだ・・・。


はぁ~ユージ様にはかなわないやぁ~なんか私の事なんて全てお見通しみたい・・・。

でも・・・それさえも・・・嬉しい・・・。


それにしても・・・ユージ様って・・・改めて見ると・・・その・・・何て申しますか・・・・

ガッチリしていて筋肉があると申しますか・・・綺麗な身体と申しますか・・・。


「どうした? 頬を赤くして・・・湯に当たったか? 湯上せたならそろそろ風呂を出るか♪」

「ヒャァァ~ ヒャイ!でででで・出ます!」

危ない!昔私を変な目で見た貴族を思い出しました・・・。

シッカリしなさい私!


慌てて立ち去ろうとしたら本当にのぼせたのか勢いよく立ち上がったらふら付いてしまいました。

「オッと♪ 大丈夫かラナ? ユックリ立ち上がらないと危ないぞ?」


そう言ってユージ様が抱きしめて下さいました。

「は・・・はひぃ! あ・・・ありがとうございます」


お互いタオルを巻いていると言っても・・・

裸で抱き合うなんて・・・ウットリ・・・幸せ~・・・って違~う!

きゃぁぁぁぁ~私の変~態~!


ユージ様が気を使って下さったので、先にお風呂から出て自分の身支度を終えるとユージ様を呼びに露天風呂に戻るとユージ様が眠っていました。


「ゆ・・・」

ユージ様っと声を掛けようとしたのですが、何か勿体なくって・・・お近くに行きその顔をマジマジと見つめてしまいました。


幸せ♪ もうユージ様のお顔を見れるだけで、幸せと思うなんて・・・私・・・どうしちゃったんだろう・・・。

良く見ると体のあちこちに傷がある事に気が付いた・・・。

嫌だな・・・これ以上・・・傷ついて貰いたくない・・・。


「んん・・・あ・・・あれ? もしかして寝ていたか?」

「ヒャァァ~」

び・・・ビックリしましたが・・・残念!ユージ様が起きてしまいました・・・。


そして、温泉から出ると

「ラナ!温泉の後はコレだ!」

そう言ってユージ様が瓶に入った牛乳を購入して下さいました。


「牛乳ですか?」

「そうだ♪ この牛乳を腰に手を当てて・・・一気に飲む! ふぃ~旨い♪ ラナもやって見ろ♪」

「はい♪ こ・・・こうですか・・・コクコクコク・・・ふわぁ~・・・お・・・美味しい~♪」


「だろう♪ 何故か温泉の後は牛乳が旨いんだよ♪」

「はい♪ 本当に美味しいです♪ それと腰に手を当てるのには何か意味があるのですか?」


「ある! 料理を食べる時にもマナーがある! これはそれと一緒だ!」

「なるほど~そうだったのですね♪」

この事は、後でマイ様とミレイ様が教えてくださったのですが、私は未だにこのポーズで飲んでしまいます♪


その後、温泉旅館を出るとそのまま展望台と呼ばれる場所に向かいました。

そこから眺めた景色は・・・


「うわぁぁぁ~・・・何て綺麗なの~♪・・・」

空には辺り一面の星空・・・手を伸ばせば届いてしまうのではないかと思う程・・・

周囲を見渡せば辺り一面、街の明かりが零れ美しい街並みが広がっていた。


「良かった♪ どうやら気に入って貰えたようだね♪ この場所も間違いなくヒットするな♪」

「もしかして・・・この場所って・・・ユージ様が作られたのですか?」

「ハハハ♪ バレちゃった?」


「本当に凄いです♪ こんなに綺麗だから元からあったのかと思いました♪」

素直に驚いていたら・・・こんなものではありませんでした。


その時、ヒュゥゥゥゥ~っと、どこからか上空に向け何かが上がっていくと


ド~ンっと盛大な音が聞こえると共に空一面に大きな光が浮かび上がった。

その迫力と美しさに・・・

「うわぁ~♪ す・・・凄く綺麗~♪・・・ユージ様・・・こ・・・これって・・・まさか?」


「ピ~ンポ~ン♪ 正~解~♪ ラナ誕生日おめでとう♪ これは、打ち上げ花火って言う火薬を使った火の芸術だよ♪ どうだい? 気に入ってくれたか?」


この花火を打ち上げる許可を貰うのは本当に大変だっただろうなぁ~。

そもそも国の上空に火薬を打ち上げるのだから・・・


後でユージ様から教えて頂いたのですが、以前、花火の文化がない事を知ってからは、新しいビジネスの一つに加えるべく作業に入らせていたそうです。

商業ギルドを通して上流階級の貴族たちにも話を進めて貰っていたのだとか


そして、先日やっと許可が下りた事で、100発の打ち上げ花火を試験的に行う事となっていたので

ならば!と急遽、私の為に、日程を今日にしてくれたそうです。


次から次へと夜空に大輪の花が咲く。

「はぁ~キレ~♪ こんなに綺麗なもの・・・」


出会ったばかりの私の為に?

何故こんなに良くして頂けるのですか?


毎日、良くして貰っているのに・・・

誕生日など誰からも祝ってもらった事なんて・・・

何でこんなにも私の誕生日を祝ってくれるのですか?


奴隷契約を解除しただけじゃなく

奴隷根性が身に染みた私の心と命を解き放ってくれただけじゃなく・・・


卑屈だった私を認めてくれただけじゃなく・・・

こんな私でも自信を持って良いと教えてくれ・・・


そう思ったら・・・今まで感じた喜びの感情を何倍にもした何とも言えない感情が沸き上がった。

それは・・・歓喜と言うらしい・・・。

私の身体や頭、命に至るまで全部が喜んでいる・・・そう思える喜びが全身を襲った。


今ハッキリと・・・分かりました・・・

胸が熱い・・・キュンキュンする・・・。


ユージ様の事を見つめる目が熱を帯びる・・・。

私は・・・私は・・・恐れ多くも・・・ご主人様が・・・

ユージ様の事が・・・好きなんだ・・・。


信じられない・・・

私が・・・人を好きになるなんて・・・


「いつもありがとう♪ラナ・・・18歳のお誕生日おめでとう♪」

そう言ってユージ様が後ろから私の事を優しく抱きしめてくれた。


治まれ私のドキドキ!

ユージ様に聞こえいちゃう・・・


もうユージ様・・・かっこよすぎです・・・

貴方といるとドキドキが収まりません・・・。

「ユージ様・・・私・・・今・・・幸せです♪ 本当に・・・幸せ・・・本当に・・・ありがどうございばす~」


もう・・・号泣でした。

もう自分でも良く分かんない感情でした。


私は泣き虫だったんだ・・・ユージ様と知り合わなかったら知らなかった。

私って感情豊かだったんだ・・・これも知らなかった。

この人だ・・・私の今までは、この人に出会う為にあったんだ・・・。


私は・・・ユージ様を愛しているんだ・・・。

好き・・・胸が張り裂けそう・・・。


でも・・・私なんかが・・・

口が裂けても・・・言えない・・・。


鼻水が足れ、ワンワンと大声で泣きじゃくってしまいました。

もう・・・子供の泣き方だと思います。

そんな私をユージ様は優しく抱きしめてくれた。


「ラナ♪ 自信を持て♪ お前は俺の自慢だ♪」

「ばい・・・」


「ラナ♪ 自分をもっと好きになれ! そうすればもっと素敵な女性になれる♪」

「ばい・・・」

もう・・・はいって言いたいのに鼻が詰まってちゃんと返事が出来ない・・・。


「ラナ♪ 感謝する事が出来る人は、周りから感謝される人間になれるんだ・・・今なら分るか?」

「ばい・・・」


「ラナ♪ 自分を好きになれるか?」

「ばい・・・」

そうか♪と言いながら眩しい笑顔を私に向けてくれている。


「ラナ♪ これからも俺に付いてきてくれるか?」

もう・・・私の心のダムが決壊しました。


「ユージ様~付いていきます!一生・・・一生貴方に着いて行きます~うえぇぇぇ~ん えぇ~ん ヒック・・・嬉じ~よ~びえぇぇぇ~ん」


この時の事は、死んでも忘れない・・・。

頭ではなく・・・

身体でもなく・・・

私の命に刻み込まれた・・・

だから・・・永遠に忘れない・・・


――――――――――――――――――――――――――――――――――――





そんなビッグイベントを終えると日常が戻って行く。

その後、冒険者として日々のクエストを次々とクリアしていき空いた時間を自分の会社に注ぎ込む。

今では、スッカリと可愛らしい仕草が身に付いたラナに癒されながら充実した日々を過ごす。



ビジネスは絶好調だ。

この世界は、知識さえあれば隙間産業が山ほど見つかる。


当然、市場調査した上で間違いないと判断したビジネスのみ先行して立ち上げているが、出すもの全てがヒットするので、今や、商業ギルドがいくらでもお金を貸してくれる。


特に商業ギルドのマスターには、本当に感謝している。

片言の話し方をする変な口癖の持ち主だが、人脈は凄まじい。


冒険者としても絶好調だ。

それとガースの店で手に入れた武器と防具は、凄まじい性能だった。



キン!

ブシュゥゥ~ッ!

「ふぅぅ~こいつは・・・凄いな♪」

今までだったら、余程のクリティカルでもない限り一撃で倒せなかった魔物迄も簡単に倒す事が出来た。


「それに・・・この鎧・・・本当に火の魔法をレジストするんだな・・・。それと・・・防御力が桁違いだ♪ ガースに感謝だな♪ 本当にいい買い物したぜ・・・。」


ユージの周りには、オーガと呼ばれる鬼の魔物やオークの上位種であるオークソルジャーが何十体も倒れていて、その全ての魔物を見ると一太刀しか傷跡が見当たらない。


「さて・・・相変わらず魔法は使えなかったし・・・ソロソロ変えるか・・・。」

そうなのだ・・・ユージは今まで魔法の練習を欠かした事が無い。

才能が無いと分かってはいるのだが、偶然でも良いから魔法を唱えてみたいっと諦める事が出来なかった。


「よっと♪ はぁ~♪やっぱり便利だよなぁ~収納魔道具って・・・」

そう言いながらあちらこちらに倒れている魔物を自分の持っているマジックバッグと呼ばれる魔道具に収納していった。


「うっ!・・・流石に・・・倒し過ぎたかも・・・」

最後の一体だったオークを収納しようとしたら腕の一部だけがバッグに入らないようだ。


「グロッ! この絵!グロイわ!」

オークのゴッツい腕がバックから生えている様な感じで気分が悪い。


50~60体もの魔物を収納したのだから当然である。

ユージは、ビジネスが大成功を収めた事で、念願であったマジックバッグを購入する事が出来た。


価格によって収納出来る大きさが異なるマジックバッグは、一番小さい物でも金貨20枚もする。

魔物が一体収納出来る大きさであれば金貨50枚。

10匹位入るものとなると金貨300枚は下らない。


だが、今後の事も考えて一番大きなマジックバッグを購入したかったので、今まで我慢していたのだが、今となっては、金銭的に余裕があったので、Cランクの昇格試験前に購入する事にしたのだった。


金貨2000枚とかなり高額だったが、お陰でドラゴンでさえも余裕で収納出来るサイズのマジックバッグを購入したのだった。


その為、収納する瞬間が楽しくて必要以上に魔物を狩ってしまったと言う訳だった。

しかも1週間以上も・・・

ビジネスでも稼いでいるが、冒険者としても随分と稼げるようになった。

他の冒険者たちと比較すると10倍以上は稼いでいる事は間違いない。


自分のレベル上げも兼ねているが、この一週間でもかなりレベルが上がったようだ。

そうして、とうとうCランク冒険者の昇格試験の日がやってきたのだった。




こちらも良ければ呼んでくださいね♪

■「新世界!俺のハチャメチャ放浪記! 記憶喪失の転生者」もアップしましたので宜しければご一読ください

https://ncode.syosetu.com/n0781fy/

月曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。


■「小さな小さな 大冒険!!」もアップしましたので宜しければご一読ください

https://ncode.syosetu.com/n6880gm/

月曜日と木曜日の朝7時に更新します。来年1月分まで予約してあります。

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[一言] 魔物を買って ❌    狩って ⭕️
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