訓練開始
さあさあ、みんなの鑑定が終わったけどもまた一人変な奴がいる、顔を見た瞬間にスキルの読心術が勝手に発動したようだが考えていることがオカシイ…。
(まさか光の勇者がいるとは…ステータスも高いみたいだな…魔王様に報告しなければ)
城の食堂に案内されたが、そこにいた料理人の青年がこんな事を考えていた、そうかこいつスパイか、ヨシ!スキル発動!鑑定!
…しまったな、やり方分からねえ。アレ?さっき読心術が発動してたけどどうなってるんだ?分からない…。
「ん〜?」
どうしよう…ようわからん…他のスキルの詳細も分かってないし…てか、メシ不味い…いや不味くは無いんだが味が薄い…。
「味、薄いな」
突然肩を叩かれ、話しかけられた、後ろを振り返ると明人がいた。
「もう蓮斗達とはいいのか?」
「ああ、もういいんだ…それよりも喧嘩屋って称号があったな」
笑いながら明人が言う
「中3の時に荒れてたもんな俺ら」
「初めは殴りあってたけどな」
「お前は鉄パイプだったろ化け物武士」
「素手で鉄パイプ殴ってへし折ったのはだれだったかな?お前本当に人間かこの野郎」
笑いながら話しているが、かなり血みどろの思い出だからなぁ…。
「それよりな…お前の固有スキルが一つしか無いのが納得いかないんだよな」
相変わらず勘が鋭いぜ我が親友よ…。
「そんなもんだろ…充分この世界ではチートらしいしさ」
「いや〜、でも納得いかねえな…今、お前とは15勝17敗だからな俺と互角のお前が俺より能力が劣ってるのはおかしい」
はは!コイツは何を言っているんだ互角だと?劣ってるだと?隠してるが、俺のステータスもスキルもヤバイぞ、それに同じ条件でも負けないし…。
「劣ってる?寝言は寝て言え、ハンデがあったとしても負けねえよ」
「んだとコラ、3カ月ぶりに後でやるか?」
「やめろ…折角隠してた本性がクラスの奴らにバレるだろ、なんのために目立たないでいたと思ってたんだよ」
「その割には正体不明!謎の仮面なんて言われて不良狩りなんてしてるくせに」
…こいつ、知ってたのかよ。
「知ってたのかよお前…」
「実は目撃してた」
「マジかよ…」
やばいめっちゃ恥ずかしい、何のために顔を仮面で隠してたんだよ俺…、しかも顔隠してるのに普通にバレてるし、
まぁ、目的は不良に顔を見られないようにするためだがなぁ、俺の苦労の意味は…。
「カツアゲされた奴見つけて、話を聞いて取った奴ら探してたら灰色のフード着けてる不審な奴を見つけてな、そしたらそいつが探してた奴らの所にそいつが行ってだな、仲間かと思ったらフードを外してだな」
んん…どれのことか分からん……。
「そしたら、黒白の仮面を着けていたんだよ」
「まて、何故俺だと分かった?」
「動きとと体型」
「……」
しまった、コイツは武と技を見分けることができるんだ、もっと周りに注意しとけばな…。
「あと、金属バットをリンゴの芯みたいにする馬鹿力の持ち主をお前以外知らない」
納得した、そして思い出した、不意打ちしてきた奴の金属バットを握り潰した時があったな…。
「忘れろ、もしくは死んでくれ」
「断る、まあまあ恥ずかしがるなよ」
後で闇討ちしてやろうかコイツ、もうちょい周りに注意しておけば…、チキショウ!
「……なんの話、晃?明人?」
「うひっ!」
ヤベ、変な声出た…、恥ずかしいことばっかかよ!
って、違う!この声は…。
「美咲…いつからいた?」
「今来た、いつもと違っていろんな表情出してたから気になってさ」
良かった俺の…イヤ、俺らか?まあ黒歴史(現在進行形)がばれずに済んだ。
「ねえ、なんの話してたの?」
おい、やめろ、首をかしげるな首を!可愛いから、普段のボーイッシュな雰囲気とギャップでめちゃくちゃ可愛いからやめろまじで!
「いや、ステータスの事について話してたんだよ、固有スキルが俺と違って一つしかないから落ち込んでるんだよ」
よし!ナイスだ明人しかし、俺を煽った罪は重い、あとで殺す。
「ふーん、わたしも一つだけどね」
「お前は魔法剣士みたいだったよなぁ、檣香に続き、魔法全属性使えたし」
「まあ一部を除いて一長一短だろ、この世界ではチートらしいけど」
「そうだな」
コイツ等に俺のステータスを教えたらどうなるんだろう?
まあ、スキルの使い方も知らんからなぁ、まずはそこからだよな、スキル早く使ってみたいな。
「おい、貴様ら移動だ!」
あいつは確かアルベルフだったか?相変わらず偉そうだな、鑑定して見たいがやり方わからんしな…、まあ使い方教えてくれるかもしれんからさっさと行くか
****************************************
「今よりこの演習場にて訓練を行う!指導はコイツがする!」
そうアルベルフが言うと身長が2m近くある黒髪の大男が現れた、顔は男らしく、顎にヒゲが生えていて、背中には銀色の鞘に入った大剣を背負っている、30歳ぐらいだろうか?…あ、隣にいる明人が武士の顔になってる、たしかに尋常じゃないほどの闘気は伝わってくるが、正直言って俺も闘いたい。
明人が殺気っぽいのを出し始めたので俺もそれとなく殺気を送ってみる、そうすると大男はニヤリと笑い俺と明人の顔を見る、そして
「ほー、中々面白い奴も居るな、まあ合格は四人…いや五人か、まあいい、俺の名前はギトラ、雇われの冒険者だ、しばらくはお前らの教官だからよろしくな」
辺りから、訓練とか嫌だーとか聞こえてくるが、隣の奴は喜んでるし、訓練ならスキルの使い方教えてくれるかもだから、真面目に受けるか。
「よし、今から俺と模擬戦だ!」
…マジか、早速戦えるのか……いやヤバイ、俺のステータスだとヤバイ、ステータスオール???の俺が戦うのはいろいろ問題がある、詳しくわからないから危険だ下手したら目立つ…どうしよう…どうにか目立たないようにできないかな……。
[所有ステータス以下のステータスに偽装してる場合、最大値がそのステータスになります]
マジか、ってまたきたよこの声、なんなんこの声?
[固有スキル、神々の知識の効果です、スキル所有者のあらゆる疑問に答えます]
ん?じゃあさっきのスキルの使い方は?
[先ほどまでは神格と肉体の同調化を安定化させるために、リソースの9割をそちらに回してたため会話不可でした]
なるほど、分からん、でも凄いスキルってことは分かった。
「俺からやります」
蓮斗が名乗り出た、あいつがやるのか…まあ一様転移者の中で一番強いから見てみたいって気持ちはあるが…明人が一番最初取られて不機嫌になってるんだよなぁ。
「んん?不合格の奴か…、まあいいか」
その言葉に蓮斗が反応して、顔をしかめる。
「不合格?どう言う事ですか?」
「あ〜、気にすんなぁこっちの話だ」
「…まあいいです、武器はどうすれば?」
「訓練用の武器があるからそれを使え、言っとくが武器は本物だぞ
「そんなことしたら怪我を…」
「大丈夫だ、俺は鞘から剣を抜かないからな」
「しかし、そしたらあなたが怪我を…」
「おいおい、いくら転移者だとしてもLV1の相手、それも戦いの素人相手に怪我しねえよ…ほれっ!」
そしてギトラは近くにあった長剣を投げて
「かかってこい」
そう言い放ったが
「だ、だけども…」
蓮斗は動揺して動かないのを見かねたのかギトラが背中の剣の柄を握り、勢いよく振り下ろした。
「ッ!?」
それに反応して蓮斗が右に飛んだ
「何するんですか!」
しかしギトラはそんな叫びなど気にもせずもう一度大剣を振り下ろす。
「ぐ!てやぁぁ!」
蓮斗が反撃を開始して戦いが始まった