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転移したけど王様が胡散臭い



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徐々に視界が明るくなっていく、周りを見渡すとクラスメイト達がいて騒いでいる。


「なんだよここ!」 「どうなってるのこれ!?」 「何処なんだよここは!」


みんな冷静じゃないようだ、俺はアグゼルに話を聞いたから落ち着いてるが…うるさくて誰が誰だか分かりにくい。

反応で他のイレギュラーがわかると思ったんだがな。


石造りの堅牢な建物内に俺たちはいた。ここは異世界の聖堂なのだろうか?


講壇には厚い書物が広げられ、奥の石像は彼らが崇拝する女神を模ったものと思われる。


見上げると艶やかな色使いをされたバラ窓がいくつも見られ、燭台や椅子、床に至るまで様々な意匠がこらされていた。


しかしながら、これらをゆっくり鑑賞することを許してくれる雰囲気ではない。周囲には真紅のローブを身に纏い、おそらくは使い古されたであろう身長ほどの杖を携えた者が少なくとも5人はいた。


動揺するクラスメイト達の合間を掻き分け、詳しく状況を確認する。出口であろう大きな扉には、全身なら鎧を着込んだ騎士らしき人物が、扉を守る様に立っていた。


「おい!何なんだよこれ!説明しやがれ!」


クラスメイトの一人が赤いローブをきた男の一人に掴みかかり、体を揺さぶり赤いローブの男が困ったような反応をしている。


そうすると後ろにあった大きな扉が勢いよく開く、ドンッという音とともに白く輝く鎧に赤いマントをきた男が声を上げる。


「おおっ成功したのか!」

男の登場に反応して、ローブの男を掴んでた奴は男に近づき鎧の男に大声で叫ぶ。


「おいっ!どういうことか説明しろ!ふざけた格好してんじゃねえぞ!」


しかし鎧の男は…


「ぬっ…まさかこんな野蛮人が召喚されるとは…まぁいい、貴様ら私についてこい!」


鎧の男は問いかけを無視し、命令口調で叫ぶ。


「おいっ!ふざけん…」

言い切る前に鎧の男は腹に拳を勢いよく突き出した。

ドゴォッと鈍い音と同時に宙を浮いてクラスメイトの男が吹き飛んでくる。

全員の前に落ちてくると同時に、叫び声が上がった。

「キャアアアアアアア!」


そして動揺と恐怖の声がポツポツと出てくる。

「おい…なんだよこれ…?」 「なんで!?どうして!?」 「嘘だろ…撮影かなんかだろなんだろ…」

しかし鎧の男はい気にもせず、

「いいからついて来い!このアルベルフ様をあまり怒らせるな!」

薄い金髪を弄り叫ぶ、皆恐怖しながらついて行き始めた。


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しばらくついていくと大きな扉の前に着き、アルベルフはその扉を開ける。

そこには十数名の鎧を着て槍を持った兵士らしき者達と、大きな二つの椅子に冠を被った40~50歳ほどの男女がいた。


「エルクス王!アルベルフ、ただいま異世界人をお連れしました!」アルベルフが跪きながらそう言った。

「うむ顔を上げよ」そう男が言うとアルベルフは「はっ」と言い顔を上げた。


「うむ…儂を前にして跪かぬとは、とんだ礼儀知らずだな」と男が言いクラスメイトが反論しかけた時、一人が声を上げた。


「申し訳ございません!我々は急にここに飛ばされたので、少々動揺しております!どうか、お名乗りいただけないでしょうか!」

そう言ったのは、白霧蓮斗しろぎりれんとクラス1の人気者の男と言われてる。

こんな時でも冷静だが…にしてもコミュ力高いなぁ、欲しくなるよ。


「ふんっ、まあいいだろう、特別に許してやろう。」

「ありがとうございます!」

あのおっさん偉そうだな…。


「我等が王に感謝せよ!」

アルベルフが言ったが、クラスの皆んなは不満そうな様子だ、もし蓮斗があそこで声を上げなければ、誰かが声を上げて怒っていただろう。

現にキレそうな奴も居るので、下手に刺激すると碌な事になりそうに無い。


「では特別に名乗ってやろう、我が名はエルクス王国、第36代目国王、エルクスである」

エルクス王国の国王のエルクスね、覚えやすくていいな。


「では、なぜ貴様らがここに来たのか教えてやろう」

いよいよ話すようだな、まあ何となく知ってるんだがな、さてどんなふうに説明するのか。


「この国はこの世界でもっとも偉大であり、強大な国であり、平和な日々を過ごしていた。しかし、残虐で非道で下賤な魔族たちがその平和を打ち壊したのだ!」

おいおい魔族酷い言われようだな。


「魔族はこの国より南にある魔の領域より現れ、我が国の大事な国民を襲ったのである!」

まじかよ、魔族最低だな…それが本当ならな。

「そして、魔族共の進撃は続き!多くの市民や兵士が犠牲になったのだ!そしてこの国は、魔族による攻撃の所為で、食糧不足や資源の減少に陥っているのだ!」


……は?ちょっと待ってくれ。


「そしてこの国を滅ぼそうとする魔族!それを支配する魔の領域の魔の国アジダル!その国の王である最厄の王、魔王エレヴェン!あの者のせいでこの国は今危機に瀕しておるのだ!そのため我等は古来より伝わる伝説の魔術【召喚魔法】を使い異世界より現れ、世界を救うと言われる、勇者の召喚を決意した!そして召喚された貴様らには魔王を討ってもらう!そして、我が国の英雄となって欲しい!」


そしてクラスメイトのみんながいろんな反応をする、喜ぶ奴もいたら泣く奴もいる。しかし、晃は…。


は?なに言ってんだあのおっさん、と納得いかない様子だった。


まず魔族に襲われてるって話だがまあこれ自体は本当だとしよう。しかし…いくら何でも胡散臭過ぎるだろ。


食糧不足だと?ありえんだろう、なぜならさっきここに来るまでで、偉そうなおっさん二人組が、


「昨日の食事会は楽しかったですなぁ」「ええ、王直属の料理人が作った数々のご馳走、大変美味でした」

って話してんだよ!少なくとも国の上の方々は食うのに困ってはいないんだろう。


多分みんな気が動転してたし、声もあまり大きくなかったから聞こえてたのは俺だけだど思うが…しかしみんな気づけよ、この王様や隣の女王様の姿、化粧は濃いし、恰幅そうな見た目してるだろ…。


キラキラした王冠やらでかい宝石のついた指輪やら、金ピカの腕輪つけてんだろ!周りに高そうな壷やら剣やら盾やら色々あんだろ!この世界に国が一つだけということもないだろうし、他の国に売れば資源補給できるだろ!


もっと他にも色々あるし、指摘してたらキリがないぞこれ…いやこれダメだろこの国ヤバイだろ、利用する気満々じゃねえかよ!


そんなひとりツッコミをしてると。


「みんな!」と何かを思い付いたのか蓮斗が叫んだ。

「俺はこの国を救ってやりたいと思っている!俺と同じ意見のやつはいないか!」

えっマジかよこれ演技だよな!?あんなバレバレの茶番劇に騙されてないよな?

「へっしょうがねえな」「この国の人可哀想です」「そんなひどい奴等なのか、魔族…許せない!」


いやだめだこれ騙されてるよ全員、まあ百歩譲って魔族が襲ってきてるとするが、それが魔族から仕掛けたのかも少し分かってないし…戦争でどちらに義があるかなんて俺ら分かんないだろ。しかしこんなに賛同してる奴がいるとみんな流されるままになるな。

「よしっ、みんな一緒に魔王を倒そう!」「オー!」


いやぁダメだなこれ、もうダメだ。急にこんな所に無理矢理連れてこられて、説明を求めたらぶっ飛ばされ…偉そうな態度を取られる。そんで国を救って欲しい!英雄になってくれ!ってか…酷い飴と鞭だな。


しっかしどうするかコレ、みんなに言おうにもコミュ力0の俺の説得なんか効かないだろうし、どちらにしろここで言うわけにもいかない…蓮斗にコッソリ言うのが一番良さそうだけど、見張られるだろうからどっちにしろ難しいしその後のこともなぁ〜。


色々考えていると大臣っぽい人が水晶玉を持って来る。


「これは鑑定玉、触った者の能力や職業を見れます、今から皆さんに触って貰います」

その言葉にみんな大歓喜、チートとか想像してるんだろうな。

「じゃあ俺から」

蓮斗が立候補した。

鑑定玉を蓮斗が触ると、映画のスクリーンに映し出されるような大きな画像が空中に映し出された。

『白霧蓮斗』 《ジョブ》勇者 Lv 1

HP 1200 MP900

攻撃力 600

防御力 500

俊敏力 500

魔力 600

魔防力 500

《固有スキル》 神聖魔法ホーリーマジック 魔力覚醒マジックオーラ 聖剣召喚ホーリソード

《スキル》剣術Lv8 魔法適正Lv5 光魔法Lv7 身体強化LV5 魔法剣Lv7 魔力操作Lv6 高速詠唱Lv3

《称号》 勇者に選ばれしもの 光の勇者 創造神の加護 リーダー


「お、おお、なんと」大臣っぽい人は唖然としている。


「どれくらいなんですか?」

「一般の男性でステータス一つで10程度です…魔力などは別ですが、しかも固有スキル3つ持ちの勇者となると、歴代のどの勇者よりも高いかもしれません」


そう大臣っぽい人が言うとクラスのみんなが、「おお!さすが蓮斗!」「やっばチートじゃん!」

などと騒ぎ出した。そして我先にと順番を奪い合い始めた。

そしてそれと同時に頭の中に[固有スキル 『神々の知識(ラプラス)』が解放されました。]と声が響いた。

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