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異世界転生してコーヒー無かったら普通世界の果てまで探しに行くよね?  作者: えびはら
学院編二年生の部:妖精の話し手
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七十三話 聞き取り調査

 二年生になってから二週間と少しが経ち、夏休みモードから徐々に切り替わってきた。


 授業はフツーに楽勝だが、フェアリー・トーカーの修行は完全に滞っていた。

 メイガン先生からのヒントは、「たぶん魔法使いなら誰にでも備わってる特別な感覚」だけだ。

 別に責めるわけじゃ無いが。そもそも、図書館の蔵書ですら情報量が少なすぎる。「妖精とは意思を持った魔力である」とか、「なんか妖精と交信できる人がいるらしいよ」くらいのことしか情報がない。


 というわけで、俺ができたのは、知り合いの全員に「なんか見るとか、聞くとか、嗅ぐとかじゃなくて、言葉で説明できないような特別な感覚ってある?」と聞いて回ることだった。


 ベル曰く。「ええ?特別な感覚?うーん。カンとか、そういうものじゃないんだよね?」


 マリー曰く。「えっと、特に、心当たりは……」


 司書さん曰く。「さあ……。そのようなものは本の中でも見たことがありませんわ」


 ルームメイトのダリル曰く。「食べ物を見たときに、なんとなく美味しいかそうじゃないかわかるよ!え?違う?」


 同じくルームメイトのルーク曰く。「ウッドボクシングの試合を見れば何かを感じるさ!リオも今度の公式戦を見にきたらどうだ?」


 ボーヴォラークのご令嬢曰く。「存じ上げませんわね。そもそも妖精が実在していることが驚きですわ」


 アレン・マクヴァティ曰く。「特別な感覚ぅ?夏休みの間に何かにかぶれたのかい?」


 ルイス・ベルブック曰く。「知らないね」


 新学年始まって三日目に早速遭遇したウィロス大臣曰く。「もちろん全くわからん!私の部下にもいない!もし君がフェアリー・トーカーになったのならぜひとも――」


 ……はい、空振り!


 先生たちにも聞いてみた。


 魔法言語のラズール先生曰く。「ううむ。妖精が魔法言語を解するならそこに何か――しかし、声も文字も持たぬものが言語を理解できるかのう」


 魔法実践のラッドフィード先生曰く。「何かを直感することはよくあるが……それはただの経験の蓄積だな」


 魔法物質とその性質のロッド・スクローザ先生曰く。「ヒラメキが舞い降りるのを待つしかない!」


 魔法幾何学のバーリス曰く。「そのような訳の解らぬ物を追い求めるより数学的技能を発展させるべきだと思うが。宿題を増量しておこう」


 歴史のクロウ先生――正確には黒板の文字曰く。“寝ているときにあまり難しいことを考えさせないでくれ”


 魔法理論のエインズウェル先生曰く。「フェアリー・トーカーですか。少なくとも、私が知る魔法使いではメイガン先生ただ一人です。なんにせよ、校長ですら習得していないものであることは確かです」


 今年から新しく始まった錬金術の授業の担当、ダリア・スクローザ先生曰く。「妖精ってのは魔力の塊なんでしょぉ?だったら視覚聴覚嗅覚味覚触覚――人間のやり方とは全く違うやり方で世界を認識してると考えたほうがいいわねえ」


 改めて聞いてみた、メイガン先生曰く。「そうですね。知覚の一種、だと思います」


 ……以上の聞き取り調査の結果から、どうやら知覚の一種らしいぞ、ということだけはわかった。が、ダリア先生のいう通り、妖精は魔力の塊で、大抵の動物にくっついている感覚器官というものが全くない。

 つまり、そうじゃない何かでものを認識してることになるが、ならなんだよ、って話だ。


 はあ。

 くそ、まるでわからん。


 まあいいや、今日は今年最初の決闘クラブの活動日だ。

 活動場所の第三演習場では、去年と同じように各派閥の貴族が一塊になって睨み合い、その空気にビビった一年生が隅で縮こまっている。俺はもう慣れたが。


「久しぶり」


 ん?

 声をかけてきたのは、ミス想起発動、シャーロット・オークスだった。

 オークスとは、魔法競技会の後に決闘クラブに突然参加し始めてからはよく戦っていたな。


「おお、久しぶり。……」


 そういえばオークスにはまだ聞いてなかったな。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


「なに?」


「ええと。視覚とか、聴覚とか、人間が普段感じる感覚以外の感覚というか、知覚みたいなものってあったりする?」


「……さあ?」


 うひー。やっぱオークスでもわからないか。


「そうか。……ああ、ありがと」


「?……そろそろ始まるみたい」


 おっと。

 オークスの言葉の通り、バーリスとラッドフィード先生が来ていた。


 決闘クラブの活動は、やはり去年と同様にバーリスによる決闘についての軽い説明と、先生二人の模擬決闘から始まった。

 模擬決闘は今年もラッドフィード先生の勝利に終わり、そして俺たちが決闘をする番になった。


 さて、どうしようかな。ちょうどオークスが隣にいるし、こいつと――


「――お姉ちゃん!どの人がクライヴですか!」


 な、なんだ?


 俺たちの、つかオークスの元に誰か、女の子が駆け寄ってきた。

 少し紫がかってる赤い色の髪は、オークスと同じだ。


「隣にいる人がそう」


 オークスがそう言うと、謎の女の子はびゅん、とこちらを向いた。


「あなたが!……クライヴ!あなたに決闘を申し込む!返答やいかに!?」


 おおお?

 女の子はビシッと指を指しながら高らかにのたまった。


「自己紹介」


「あっ!……わたしはディアナ・オークス!リオ・クライヴ、あなたのことはお姉ちゃんから聞いています!さあ、わたしと決闘してください!」

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