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異世界転生してコーヒー無かったら普通世界の果てまで探しに行くよね?  作者: えびはら
学院編一年生の部:隠された封印
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四十話 蠢く者

「――ああ、エルドリッチは流石に手強い。場所を見つけるだけでここまで苦労するとは思ってもみなかった」


 えええ?

 ちょっと、俺、今すごいこと聞いちゃってない?

 え、マジでグレンヴィルの封印解こうとしてるやつなの、これ?


「――もう一度ワイバーンを襲撃させる。明日の表彰式のタイミングだ。エルドリッチ含め教師たちが全員集まるからな」


 うおっ、マジか。

 また来んのか、ワイバーン!それも明日!


「――何か隠されていそうな場所を探索する。……お前は図書館だ。()()()()()()()()()()()()()()()()


 は?

 なんだと、図書館!?

 それに、()()()()()()()()()()()()、ってどういう意味だ?


「――ッ!」


 ん!?刺すような痛みが左手に走った。

 左手の甲に円が現れていた。時計回りにどんどん消えていく。


 くそ、ステイペナルティか!長居しすぎた。

 こんなことで失格になってもしょうがない、ここから離れないと!


 俺は場所を移動してなんとかステイペナルティを逃れた。

 左腕に刻まれた、残り人数を示す線は一本しかない。つまり、俺とあと一人。多分ルイスだ。


 ふう、そろそろ勝負を決めないといけないか。

 だけど、ルイスも身を隠すために何らかの魔法を使っているだろう。見つけるのは大変だし、先に見つけられたらもっと大変だ。今まではかなり大胆に動いたが、ここからは慎重にいかないとな。


「……」


 ルイス(仮)との一対一の対決が始まってからだいぶ経ったが、まだ姿すら見ていない。

 試合エリアはもうかなり狭くなっている。

 今の魔法で強化された俺の聴覚なら全域をカバーできる程度の広さしかないはずだが、それらしい音は聞こえてこない。消音の魔法を使ってるのかもしれない。


 さあ、どうしたものか。思ったその瞬間。


「――うおっ!?」


 俺の脇を赤い閃光が掠めた。

 攻撃呪文!?どこからだ?


 俺は防御の呪文を唱えながら魔法が飛んできた方向を確認するが、何も見えない!

 くそ、狙撃されてるな。


 とりあえず物陰に隠れよう。今魔法が飛んできた方へ慌てて行っても誰もいないだろう。


 俺はひとまず物陰に身を隠して一息ついた。

 ふう。しかし、あんまりずっといてもステイペナルティを食らっちまう。

 ルイスの野郎はこのまま狙撃し続けようとするだろう。近距離で遭遇できるとは期待しないほうがいいな。こっちも狙撃するつもりでいくか。


 というわけで俺はコソコソ隠れながら、ルイスが狙撃してきそうなところに目を凝らして探している。

 見晴らしのいいところ。ちょっと周りよりも高くなっているほうがいいだろう。

 さて、そんなところは――おっと。


 いるな。

 影に紛れてぼんやりとしか見えないが、人間の輪郭だ。

 ここからなら撃てそうか。よし、食らえ。


「――≪ウフェンデ(叩きつけよ) フルティティル(強く)≫」


 俺の放った魔法は影に掠ったようだ。

 そして影が慌てて逃げていく、よっしゃ!でも倒せていないな。


 俺の攻撃を皮切りに、本格的に狙撃戦が始まった。

 建物や柱の陰、雪の中、そして樹上など、俺たちはいろんなところに隠れてお互いの姿も見えないまま撃ち合ったが、何しろ距離があるし、どこにいるのかさえ定かじゃないからそうそう当たらない。戦いはちょっと嫌になるくらい長引いていた。


 だが、グダグダと続けているうちに戦いの性質が変わってきた。

 さっきからもうずっと試合エリアは縮小していない。どうやら限界まで縮小したらしいが、確かにかなり狭くなっている。

 となると、狙撃ポイントというのは流石に限られてくる。

 長い長い戦いの中で俺たちの狙撃ポイントは固まりだしていた。さっきまでルイスがそこにいたことが分かる痕跡が見つかることも頻発している。

 向こうもそれに気づいている。俺がルイスを見つけて攻撃する頻度も、ルイスが俺を見つけて攻撃する頻度も明らかに増加していた。


 このままだとどちらかが致命的な一発をもらうのも時間の問題か。

 そして願わくばそれは向こうであって欲しいもんだ、俺じゃなくて。


 ならここで一計を案じよう。

 俺は自分が被っているのと同じような白い毛皮を生成し、狙撃ポイントの数箇所に配置。早い話が囮だ。


 さて、引っかかってくれるといいんだが。――!


 赤い閃光。しかし俺の方ではなく、明後日の方へ飛んでいく。

 すぐに発射された方を確認すると、見つけた!杖を持つ人影だ。まあまあ距離はあるが、これくらいならもう慣れてる。


「――≪ウフェンデ(叩きつけよ) フルティティル(強く) ヴィロキティル(速く)≫!!」


 ≪ヴィロキティル(速く)≫の呪文で飛翔速度を強化された攻撃呪文が一瞬で人影を撃ち抜いた。

 かなり遠いが人影のバリアーが砕け散ったのが見える。そして同時に左腕に刻まれた線の長さが半分になった。


 俺の勝ちだ。


「見事な戦いだったぞ、クライヴ君!前半のベルブックとの撃破競争、そして後半の狙撃戦!――」


 バトルロイヤルを終えた俺は早速大臣に絡まれたが、俺は試合中に聞いてしまったあの謎の勢力の会話のことで頭がいっぱいだった。


 マジでグレンヴィルの封印探してるの?

 しかも明日またワイバーンが来るって?


 誰か先生に言ったほうがいいのか?でも証拠なんて何もないよな。俺が聞きました、って言ってもなあ。

 つか、本当に来んのか?自分が聞いたこととはいえ、そう簡単に信じられるかっ!


 ……明日、明日か。マジで来たらどうしよう。

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