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異世界転生してコーヒー無かったら普通世界の果てまで探しに行くよね?  作者: えびはら
学院編一年生の部:隠された封印
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二十二話 中間試験その二

 衝撃の歴史の試験から一夜が明け、ツバメ寮の一年の間ではその時の話でもちきりだった。

 どうやら、何らかの不正行為を行なったであろう生徒は部屋に引きこもってしまったらしく、友達と思しき何人かの生徒が必死になって引っ張り出そうとしているところを見た。


 まあ、気にしてもしょうがない。

 今日も試験を頑張るのみだ。


 一限目は“言語技能”だ。

 言語技能のエイラ・メイガン先生はなんというかゆるふわで、いつも授業では教室がちょっと弛緩した雰囲気になるのだが、今日の教室は引き締まっていた。

 メイガン先生の「カンニングはだめですよぉ」という甘いささやき声のような注意喚起に表情を和らげた生徒は誰もいなかった。

 朝には、もし言語技能で不正行為をしたら、どんな罰が待ち受けているか、という話で一年生は盛り上がった。窓から放り出される、宙づりにされる、個室でお仕置きを受ける、などなど。

 中には不埒な妄想を働いているらしいやつもいたが、まあ実際のところ全員がビビっているようだった。

 試験そのものは楽勝だった。

 多少レベルが高いとはいえ十二歳に出される国語の試験を解けないようでは文系は名乗れない。

 そして、一切の不正行為はなく試験は終わった。


 二限目の“魔法物質とその性質”も問題なかった。

 工学だの薬学だのの基礎となる、つったって所詮暗記科目だしな。文系の得意分野だ。

 相変わらずスクローザ教授はイかれてたが。「君たちにサービスだ!“叫びウツボ”の性質を教えてあげよう!」とか言って、試験開始の合図で“叫びウツボ”の、キエェェェェェーッ!!という奇声が教室中に響き渡った。そのあと大問一の問一で“叫びウツボの性質を答えよ”という問題が出た時は流石に笑った。これがやりたかっただけだろ!


 三限目は“魔法実践”の試験だった。

 試験内容は実技試験で、四人でひと組になっていろんな課題をこなした。

 正直、俺一人こなせるような内容だったが、それだと他の人がかわいそうなのであまりでしゃばらないように意識した。

 その結果減点があることも考えたが、別にいっか、と思って試験を終えた。

 しかし、帰るときにラッドフィード先生に「安心しろ、ちゃんと満点をつけてある」と声をかけられた。やったぜ。


 試験最終日は二科目だがどちらも重い。俺には問題にならないと思うが。


 一限目の“初等魔法言語文法”は、多分満点を取れただろう。

 俺の得意科目ということもあるが、ちょっと問題の難易度が低かった気がする。ま、好々爺、って感じだもんな、ラズール先生。易しい問題出しそうな雰囲気がある。


 そして最後、“魔法理論基礎”はやはり手強かった。

 一つ一つの問題の難易度は“初級魔法幾何学”の大問三ほどじゃなかったが問題量がやばいタイプで、これ解答だけで教科書代わりになるんじゃないの?ってくらい網羅してあった。割と焦ったかも。見直す時間もほとんど取れなかったし。


 が、ともかくこれで試験は無事終了だ。

 具体的な点数は帰ってこないとわからないが、全体的に素晴らしい出来だったと言えるだろう。これくらいで手こずってちゃ話にならないから喜んでもしょうがないけど。


「ふう、やっと終わったね。どうだった?」


 ベルが話しかけてきた。


「ああ、よくできたと思うよ。そっちは?」


「うん。言語技能はちょっぴり自信ないけど、他はよくできたと思う。……今日はこれからどうするの?」


 そう。

 今日は試験をやって終わりなので、午後がまるまる空いている。

 それは一昨日とかも同じだが、今日は次の日に試験がない、という大きな違いがあるからな。周りを見渡してもみんな開放感に溢れた表情をしている。まあ、明日から普通に授業だけど……。


「図書館だけど」


「ええ?試験終わりなのにかい、すごいね」


「趣味みたいなもんだからな。ベルも来るか?」


「いや、僕はこれからお茶会があってね……。楽しめそうにないけど」


「派閥がらみか、そっちも相変わらずだな。……じゃ!」


 図書館はいつになく閑散としていた。やはり、試験終わりには羽を伸ばしたくなるということか。

 ここ何日かは試験に対策する生徒でごった返していたから、普段以上に静かに感じる。


「……どうも」


「ああ。……どうも」


 マリーは当然図書館に来ていた。試験終わりに図書館に勉強しに来る、変人の一人というわけだ。


「試験、どうでした?」


「まあ、いい点取れたんじゃない?そっちはどう」


 マリーは落ち着いた様子だ、これなら頭が真っ白になったとかはないだろう。


「ええ、問題ないと思います。……“初級魔法幾何学”の最後の問題、なんて答えました?」


「アレか。俺は窓から放り込んだ」


「やっぱり。それが一番、素直ですよね。……」


 試験の話題はそれで終わった。

 俺たちにとってはそんなに重要なことでもないからな。いや、マリーには立身出世がかかってるんだから重要か。


 いつものように勉強し、いつものように帰った。俺にとって、中間試験はいつもの日常とそれほど変わりないように思われた。


 明日からもう返却が始まるのか。

 さて、何点取れたかな。気にしない、とは言いつつも、気になるもんは、気になる。

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