ホロの街
ルナイからホロの街へは朝に出て暗くなる前に着いた。
ホロの街を見てみると領主が住む街だけあってルナイよりは大きい、それと海があった。
『おぉ デカい船もあるんだな』
『うん、他の街と貿易をするのには船の方が便利だからね』
『さ、若 早い所 屋敷へ向かいますぞ』
『あぁそうだ、リョーも数日は屋敷に滞在してくれるかな、リョーの屋敷はこれから考える』
『分かった、頼むよ』
屋敷へ入ると小姓が宗運に手紙の様な物を手渡した。
『若、秀実様からの書状です』
『参ったね、今度は何だろう?』
ダイワを素直に長男である秀実に譲り渡せ
弟である秀光はこの国から出て行け
…と書いてあれば素直に従おうと秀光は思って居たが書状を読んでみると予想とは違い
【ダイワの各領主へ、国のこれからを話し合いたい。6月18日にナホの街に来られたし】
ーとだけ書いてあった。
『若、これも罠かも知れませんぞ』
普通に考えたらそうだろう。
つい先日 これと似た様な事に秀光達は嵌められているのだ。
『うーん…でも各領主って書いてるから他の街の領主にも送ってると思うんだよね』
『ところで この国のお偉いさんが集まって話しをしようって事だろ?』
『あぁ そうだよ』
『そういうのって王都に集まるもんでないの?なんで秀実の居るナホの街に集めるんだ?』
『はは…オカシイよねぇ』
素人目に見てもオカシイ。
何か策がある様にしか感じない。
『若、参加するにしてもワシがホロの領主代理として向かうしかないですな』
『それはダメだよ、僕が行かなきゃ』
『しかしですな若…』
『すまん…今日って何日?』
『今日は新暦135年の6月10日だよ』
『ナホの街には2日位の距離だっけ?』
『そうだね』
(となると6日後には出発しなきゃならんのね)
『秀光、ナホの街に行く時は俺も付いて行って良いいかい?』
『うーん…分かった。ただ危ないかも知れないよ?』
『大丈夫さ、それに主君を体張って守るのが家来の仕事なんだろ?』
漠然とだが自分だけは死なないと俺は確信して居た。
根拠のない自信と言われればそれまでなのだが。
『じゃぁ明日はリョーの剣術と魔術の方を僕に見せてよ』
『魔術?あぁ 火とか出す術の事だな、分かった』
剣術に関しては刀など握った事がないので これからだが、魔術は それなりかもと思って居た。
ルナイの宗茂が言うのを真に受ければの話しだが。
『明日が楽しみだよ、神仙丸もあるから気力に関しては遠慮しなくていいから全力の術を見せてくれるかな』
『えーと…神仙丸?』
『あぁ…術を使い過ぎると気力がなくなって身体が重くなるんだ、最悪 死ぬ事もある。その気力を回復させるのが神仙丸だよ』
『そんなのがあるんだ、助かるよ』
戦でも術師には必須アイテムであり、これが無くなると術師部隊は足軽以下の戦力となる。
『うん。んじゃ 今日は解散だ。あぁ、数日間リョーの世話をする者を呼んでおくから 不便があればその者に聞いてくれ』
『分かった、助かる』