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出発して早々の正体バレ

 

 ようやく出発となり森の中を歩き出して数分。


 トクメがバテた。


「嘘だろ……いくら運動系が壊滅的とはあったがどれだけ体力ないんだお前」

「ここから街まで走らせるだけで死ぬんじゃないか」


 膝に手をつき荒い息を吐いているトクメにウィルフは普通に心配し、シスは完全に呆れている。


「何でわざわざ歩いてんの。飛んだら?」

「人に寄せすぎたか……まさか足を動かすのが、こんなに苦労するとは……」


 ゼエハアと荒い息をしていたトクメだが急に真顔になり「……ここが限界か」と言うと同時に姿が変わり二メートル、程ではないが一メートルは余裕で越える巨大な目玉になった。

 全体に巻かれた包帯の中心部からは茶色い瞳が見えている。


「え、えっ?」

「な、魔物!? お姉様!!」


 いきなりの事にイリスは驚き、ルシアはそんなイリスを守るように前に出て両手を広げた。


「そんな警戒しなくても大丈……魔物じゃないという意味で大丈夫だから」

「魔物じゃないの? というよりトクメって精霊じゃなかったのね……」

「種族名はないけれど、あえて呼ぶなら『世界最古の怪物』ね。魔物ではないから間違えないように、後が面倒くさいから」

「うわぁ、うわぁ……」

「…………」


 ルシアは完全に怯えながらもイリスから離れようとせず、シスはドン引きしているのかズリズリと視線はそらさないまま後ずさりしている。


「俺は知っていたが見るのは初めてだな……触っていいか?」

「包帯部分だけなら許可しよう。ただし、引っ張るなよ」


 ウィルフは知っていたらしく、特に怯む事はなく興味深げに包帯に触れたり見たりしている。


 ちなみに最初に会ったあの顔を包帯で巻いていた姿は精霊に化けているのだとムメイは説明した。

 元々手足のないトクメは特に不便と思っていなかったが、手の便利性に気づいてからは常にあの姿でいたらしい。


「わざわざ足を動かして歩く必要はないか」


 再び人間の姿になったトクメは先程と変わった所は特にないように見えるが実際は違うらしく、歩き出しても疲れる様子は見られない。


「目玉だけってのは楽でいいわね、浮いているの隠せて」

「お前もちゃんと歩いているようにしろ。あからさまに浮いていては人間になる意味がないだろう」

「私の場合は誤魔化しようがないのに……」


 余計な事を言ったと舌打ちしながらも渋々地に足を着け歩き始めたあたり、やはりムメイはトクメに逆らえないらしい。


「さて、行くか」

「にしても、イリスは知っていると思っていたわ。色々、知っているでしょう?」

「その知った時からトクメはあの姿だったからずっと精霊だと思っていたのよ。でもそれなら納得出来るわ」

「世界最古の怪物ですか……初めて聞きました」

「説明しようか?」

「いらないわよっ!」


 ふと気づくとシスだけは話に入らず先を歩いていたのでウィルフは横に並び歩き出した。


「お前も知らなかったのか?」

「いや、知ってはいたがあの姿はちょっと……色々あって近づきたくないだけだ」

「……明らかにトクメを嫌っているのによくあいつに旅の同行を求めたな」

「……ムメイに頼もうとしたら先回りされて攻撃されただけだ」


 シスが一方的に嫌っているのではなく、お互い嫌いあっていたのか。


 トクメはともかくシスはそこまで嫌われるような性格なのだろうかと思ったが、よくよく考えるとシスは何処でムメイが旅をする事を聞いたのか、何故ムメイの居場所を知っていたのかなど疑問が湧いてきた。


「…………」


 このメンバーで大丈夫なのだろうか。


 不安しかないメンバーで不安しかない旅が始まってしまった。



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