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真面目に言うと呪いに引き寄せられた、簡単に言うと迷子

やたら長くなってしまった。

 

 大きい街はそうだが、港町も人の出入りが激しい。

 物の出入りも激しい。


 人が多ければ問題も多い。勿論街として対策はしているが、どうしても治安の悪い場所や対策が行き届かない場所もできてしまう。


 結論。

 治安の悪い、いわゆるスラム街に引き寄せられ出られなくなってしまった。


「さて、どうしようかな」


 顎に手を当てムメイは足元を見つめた。


 普通の人には何もないただの道であり、ここから一歩でも進めば元の場所に戻れる。

 しかし何故か呪が発生しておりムメイはここから出られなくなってしまっていた。


 幸い閉じ込められただけで魔力は問題なく使えるが、残念な事に自空間は開けず街の外への転移も不可能。

 辺りから微かに女の啜り泣くような声や殴られているような不穏な音が聞こえてくるのもいただけない。


「近くにいるのか近づいているのか」


 どちらにしろ離れた方がいい気がする。

 できればこの境界線に沿って歩いていきたかったが仕方ない。


「誰が来るのかなぁ。イリス、はルシアとウィルフが止めそう。シスは……来てくれるかな、そもそも気づいていなさそうだし無理かな」


 意図的にトクメは候補から外す。

 時間になっても宿に戻っていないのが知られれば、確実に探しに来る。

 そうなるとまた鬱陶しい事になるので、それを避けたいムメイにとって今のトクメはいわば時限爆弾みたいなもの。


 トクメが来るまでに誰かが迎えに来てほしい。

 既に自力での脱出を諦めているムメイだった。


 脱出自体は諦めているが、留まるのも歩き回るのも危険なので少しでも呪の弱い場所を求めてムメイは歩き出した。


 治安が悪く、ムメイは女で、身なりも悪くなく、トドメの永久奴隷。


 誰に見つかっても終わりである。

 男は勿論女も、子供さえも。


「例外なく敵っていうのは逆に楽だけど……」


 ギュ、とムメイは自分を抱き締めた。

 不安や恐怖からではない、気を強くしていないとあちらに持っていかれる。


「ちょっと貴女! ここにいたら危ないわよ! 早くこちらに来なさい!」

「…………」


 通りの奥から一人の女性がこちらに来るよう手を降っていた。


 辺りを見回すも近くに人はいない。


 ムメイは黙ったまま大人しくそちらへと近づく。


「危なかったわね。ここは貴女みたいに綺麗な人が歩いていたらすぐに襲われるわよ。さ、中へいらっしゃい。ここなら安全よ」


 女性は二十代中頃といったところでムメイと同じ黒い髪に、服は質素だが落ち着いた大人の雰囲気を感じる。

 中へ入るように促している家を軽く覗くと他にも逃げてきたのか呼ばれたのか、十代から二十代の若い女性達が怯えたようにこちらを見ていた。


「……この家に住んでいるの?」

「ええ、そうよ。ここはスラムでも特に危ないからこうして迷い込んだ子達を匿っているの。さあ、貴女も中に入りなさい」


 そう言って女性は中へ入るよう再び促すが、ムメイは何故か動かない。


「どうしたの?」

「うん? そこに必ず入らなきゃいけないわけじゃないんでしょう、なら私は遠慮するわ」

「ダメよ、そんなの。いつ襲われてもおかしくないのよ。せめて一晩でも泊まっていきなさいな、大したものは作れないけれどパンと温かいスープなら出せるわ」


 パンとスープ、という言葉に家の中にいた少女達の顔が輝いた。


「お、お姉ちゃん。この人は大丈夫だよ、ほら、早く入ろう。危ないよ」


 中でも一番若く見える少女がムメイの服の裾を掴み軽く引っ張るが、それでもムメイは動こうとしない。


「うんうん、ご飯は大事よね。でも結構。私は、その中に入りたくないの」


 そう強くはっきり言うと少女はビクッと体を震わせゆっくり離れた。

 少女はそのまま戻るべきか困ってしまいオロオロと視線を泳がせていると、女性が肩に手を置き優しく抱き寄せた。


「どうしてそんなに入りたがらないの? このままここを彷徨っていては酷い目に合うわよ」

「はっきり言っていいのなら、貴女が信用できないから。怪しい相手の家に入るなんて、それこそどんな目に合うか分からないじゃない」


 ムメイの言葉にシン、と空気が冷え沈黙が流れる。


「……折角の好意をそんな風に疑われては流石にいい気はしないわ。だったら好きにしなさいな、何が起きても私は助けないから」

「い、行っちゃうの? お姉ちゃん、危ないよ」

「そんな奴助けなくていいじゃない! 早くこっちに来て扉を閉めて! 男達が来ちゃう!」

「そうよ! そんな恩知らずな奴放っておいて早く!」


 少女は引き止めようとしたが、中にいる女性達は声を荒げムメイを罵った。


「嫌な言い方。まるで私が悪いみたいじゃない」

「人の好意を無下にするのはあまり褒められた事ではないでしょう?」

「失礼ね、私は選んだだけよ。貴女を信じて中に入るか、貴女を信じず外を歩くか。信じる信じないは私の自由じゃない」

「なら私が言うことはもう無いわね。さっさと何処かへ行きなさい」


 ようやく諦めたかとムメイは立ち去ろうとしたが、少女はまだ引き止めようとしたのか後ろから抱きついた。


「イヴ!」

「まだ何かあるの」

「わ、私も選ぶ。お、お姉ちゃんだけ外は危ないから、一緒に行く。一人は、寂しいよ」

「ちょっと」

「……貴女がそう決めたのなら無理強いはしないけれど……何かあったら、またここにいらっしゃい。いつでも受け入れるわよ」

「うん……ありがとう、エルザさん。お姉ちゃん、行こう」

「……私の意思は?」


 流石のムメイもイヴの純粋な笑顔に何も言い返せず、大人しく手を握られトボトボ歩き出した。

 その背中に敗北を漂わせながら。


「着いてくるのはいいけどさあ、私何にもしないわよ」

「うん、あのね、エルザさん……何で家入らなかったの? 怪しいところ、どこ?」

「……あの家に住んでいると言っていたところ」


 はあ、とため息をつきながらもムメイは教えた。


「中を軽く見たけど入り口はあそこ一つだけしかなかったし、その入り口の扉は外からしか鍵がかけられないやつだった。そんな家に本当に住んでいるのか怪しいし、住んでいてもとても安全とは思えないから断ったの」


 多少早口になったが、イヴは聞いた言葉を頭の中で繰り返しているのかウンウンと唸ったり頷いたりしている。

 しばらくすると、納得のいく答えが出たのかパッとムメイを見上げた。


「……本当だ。あの家、鍵なかった。一緒にいた人達、どうなるの?」

「さあ? そのエルザがあの家で年頃の女性を集める理由なんて大体想像はつくけれど、あくまで想像だしね。……一応言っておくけど、あの家にはもう近づかない方がいいんじゃない」

「うん、ありがとう、お姉ちゃん」


 他意のない心からの感謝にムメイの顔が何とも言えない複雑な顔になる。

 人からの純粋な好意は受け入れにくいらしい。


「なにも知らなかったのによく私に着いて来る気になったわね、相手を簡単に信じすぎじゃない?」

「だってお姉ちゃん、いい人に見えたから。エルザさんより、優しそう」

「……どういう目してんの」

「?」

「いや、いい。それより、ここから先は一人で行って。はい、さようなら」


 先程とは違う境界線まで出るとムメイはそこから出そうと背中をグイグイと押すが、イヴは言われた言葉が理解できないのかまだ離れたくないのか必死に抵抗した。


「何で、お姉ちゃん? お姉ちゃんも一緒に行こうっ」

「あ、コラ手ぇ掴まないでっ」


 境界線を一歩踏み越えた時、イヴは咄嗟にムメイの手を掴んだ。


 その瞬間バチンッと大きな音が響き先程まであった筈の壁が消え、その向こう側から見知らぬ男達が現れた。


「え? 何、どうして?」

「だから手を掴むなと言ったのに……」

「おいこっちだ! 女を見つけたぞ!! そっち周れ!!」


 髭面の男がそう叫ぶと、近くにいた男達がニタニタと笑いながらムメイ達の方へと手を伸ばしてきた。


「お姉ちゃん……!」


 イヴが慌ててムメイの元へ戻ると手を掴んだまま必死に走り出した。

 ムメイはそのまま引きずられるように後へと続く。


「何で急に人が……!」

「境界線越しに、私に触ったから……魔力の壁が消えたの。あの家から離れて、すぐに後をつけられて……いたから、誤魔化していたんだけど……」


 元々体力がない上に間接とはいえ呪いに触れてしまいムメイの消耗が激しい。

 魔力の壁を再び作ろうにも姿が見える状態では意味がなく、今の状態では長く保たない。


 一度振り切る為なのかイヴが角を曲がった時だった。


「おおっと、自分から飛び込んでくるなんてな。積極的じゃねえか」

「あっ……!」


 待ち伏せされていたのか違う男が現れ、先を走っていたイヴは勢いのままぶつかってしまい捕まった。


「…………」


 これは、助けないといけないのだろうか。


 既に限界も近く、頭がグラグラして上手く働かない。

 男も近くにいる筈なのに声は遠くに聞こえ、ついでに体も重く目を開けているのも精一杯の状態だった。


「何だっけ……子供? 石と……夢?」

「子供? 子供が欲しいのか、じゃあ頑張らないといけねえなぁ」

「俺たちゃ優しいからな、あんたみたいな美人のお願いは全力で叶えてやりたくなるんだ」


 そう言ってムメイの肩に手を置いた瞬間、男はそのまま真横へ勢いよく吹っ飛んだ。


「え」

「ムメイ! 無事か!?」

「う……シス?」


 重い目蓋をこじ開け何とか相手を確認できたが、それ以上考える事も出来ずズルズルとシスにもたれかかる。


「わ、わわっ、ムメイ!?」

「ちょっと無理……休ませて、動けない……」

「お姉ちゃんっ!」

「いでっ! こいつ!!」


 イヴが男の手に思い切り噛みつきムメイの元へと駆け寄ってきた。

 必死に何か話しかけているが、ムメイは「あー」とか「うー」など会話が成立していない。


 シスが来たことで完全に気が抜けたらしい。


「テメェふざけやがって! 俺らに勝てると思うなよ!!」


 イヴに噛まれた男が仲間達と囲むように距離を縮めてきた。


 男達がいくら集まったところでどうって事ないが、今ムメイが動けない状態で守りながらは少し厳しい。厳しいというか、男達の相手をしている間だけとはいえ汚い地面に寝かしたくない。

 ついでにムメイにくっついている金髪の少女はどうするべきか。


「……逃げるか」


 ムメイの安全が最優先。

 そう判断したシスはムメイを肩に担ぎついでにイヴも小脇に抱えると、目の前に立っていた男の顔面へ飛び蹴りを食らわしそのまま走り出した。


「は? ……この、逃げんのか腰抜けが!!」

「待ちやがれ! 追うぞ!!」


 一瞬呆気に取られた男達だが、獲物を横取りされ仲間も二人倒された怒りでシスを大声で罵りながら後を追いかけた。


「うわ、お兄ちゃん凄い、速い……!」


 ムメイとイヴを抱えているにもかかわらず、シスは男が追いつけない程の速さでドンドン奥へと走っていく。

 オルトロスのシスにとって人型になっていようと誰かを抱えていようと、足の速さも身軽さも然程変わらない。


 変わらないが、ずっと走り続けているわけにもいかず適当な廃屋の前で止まると扉の前で座り、ムメイを負担のかからないよう抱えなおした。


「大丈夫か?」

「さっきよりは……少し。それよりここの解呪、できない?」

「ああ……呪い自体は弱いが、それが無数に集まっているから一つ解呪してもすぐに別の新しいのが出来てキリがない」


 既に試した後だったのかシスが悔しそうに呻いた。


 現状ではムメイをここから出すことも、体調を治すことも出来ない。

 更には遠くから男の声と足音が聞こえこちらに近づいて来ている。


「お姉ちゃん、お兄ちゃん……」


 イヴが泣きそうな顔でムメイの服を掴んできた。

 ムメイはシスの体に頭を預け目を閉じたまま動かず、一応返事はするがほとんど意識はないようで荒い呼吸の音が目立つ。


 この状態のムメイを抱えて出口も無しに走るのはかなり躊躇われる。


「……仕方ないか。子供、絶対叫ぶなよ」

「? うわぁ……!」


 ため息と同時にシスがオルトロスの姿に戻るとイヴは驚きこそしたが叫ぶことはなく、それどころか瞳を輝かせて手を伸ばしてきた。


「ケルベロスっ」

「オルトロスだ。後尻尾を触るな」


 尻尾を掴もうとしたイヴを制しながらシスはムメイを体にもたれさせる。

 座っていた時よりかは圧迫されず楽になったのか、ムメイの呼吸も少し落ち着いてきた。


「し、尻尾以外なら、いい?」

「…………肉球も触るなよ」


 言われた事は守るが、遠慮なくベタベタと頭を触るイヴにシスはため息を吐いた。


 幸い男達はシスの思惑通りオルトロス、と言うよりケルベロスと勘違いして遠巻きに見るだけで近づこうとしてこない。


「(……ウィルフかイリスが来い。出来ればウィルフ)」


 一応ムメイの窮地を助けたと言えなくもないが、ここから脱出できない以上助けたとは言えない。


 ウィルフとイリスに呪いに対する手段があるかはわからないが、とりあえず絶対に来て欲しくない相手が来ない事をシスは必死に願った。


 しかし願うだけで願望が叶う程この世界は甘くない。


「何故役立たずの貴様がここにいる」

「第一声がそれかよ」


 フワリと何処からともなく風が吹いた次の瞬間にいきなりトクメが現れた。

 転移魔法でここに来たらしい。


 そのままトクメはムメイを担ぎ上げると出口へと歩き出した。


「あ、おいっ呪いはもう大丈夫なのか!?」

「呪い? ここのは呪いというより怨念の塊、解呪しても無駄だ。ただの思考ならば散らすだけで充分だ」

「あ、お兄ちゃんっ」

「勝手に乗るな、降りろ」

「丁度いい、お前はその姿のままでいろ。今は一秒でも早くここから出たい」

「……チッ」


 シスが急に立ち上がった為、ずっともたれていたイヴは咄嗟にしがみつきそのまま背中に跨ってきた。

 当然シスは嫌がったが時間の無駄と悟り、渋々トクメの言葉に従った。


 追いかけていた男達はトクメが何かやらかしたのか、手を振ったり頭を壁に打ち付けたりしており追いかけてくる様子はない。


「……う……?」


 無事に呪いの境界線から出るとすぐにムメイが意識を取り戻したのか頭を上げ周りを確認している。


「ムメイ!」

「きゃっ」


 それに気づいたシスが急いで人型になり、イヴは落ちないよう脇に抱えて駆け寄った。


「シス。ああ、助けてくれたんだっけ、ありがとう」

「いや……無事で良かった」

「……ほう」


 ようやくシスも安心して気を抜いた瞬間、トクメの冷たい声にビクッと身体が固まった。


 よく考えなくともトクメはムメイの父親だ。


 その父親を無視して娘が他の男に礼を言えば機嫌も悪くなる。


 しかも相手がシスなら尚更。


「…………」


 トクメは話さず足を進めるがその沈黙が怖い。


 元々シスもトクメを嫌っていたが首を切られてからは恐れて距離を取り、ムメイの父親と知ってからはどう対応すべきか悩んでいた。


「……ゼビウスに」

「っ! ああ」


 いきなりゼビウスの名前が出たのでシスは思わず返事をしたが、トクメは話しかけたつもりはないのか視線は前を真っ直ぐ見たまま動かない。

 何となく気恥ずかしく気まずい空気だがシスは必死に耐えた。


「シスは殺すな、傷つけるなと言われているが……。攻撃するなとは言われていないな、そういえば」


 声色が変わった。

 殺す気はないのだろうが殺気が凄まじい。


「ねえ、そろそろ降ろしてくれない? もう歩けるんだけど」

「宿に戻るまではダメだ」

「な、なあ、この子供はどうするんだ?」


 シスは咄嗟に話題を変えた。

 今話題を変えたところでトクメを誤魔化す事などできないが、 とりあえず少しでも気をそらしたいのもあったがイヴをどうするか気になっていたのも確かだった。


「ふむ……身寄りはいないみだいだな。なら何処かに預けるか。ここならエルザという女の所へ行けば最低限の衣食住なら世話してもらえる」

「あの女怪しくない? 声かけられたけど信用できないから逃げたんだけど」

「……この街の西にある教会が孤児を引き取っている。そこなら人身売買も娼館への斡旋も行っていない」

「お前とんでもない所に渡そうとしたのかよ……」

「娼婦は誇り高い立派な職業だ。本人が選んだのならな」


 トクメが真っ直ぐにイヴの目を見た。


「あ、う……に、西がいい。エルザ、さん、は怖い」

「だそうだ。シス、貴様が送れ」

「何でだよ」

「私は一刻も早くムメイを宿に届けて休ませたい。それとも何だ、まさかこんな子供を治安がいいとは言いきれない場所に一人で歩かせるつもりか?」

「お前がそれを言うか?」


 初っ端から人身売買に手を出しているらしい相手に渡そうとした奴が言うセリフじゃない。

 しかし言ってる事はまともなだけにどうにも反論しにくい。


「……送ってくる」

「オルトロス、なる? 乗っていい?」

「ならないし乗せない。ほら行くぞ」


 それでも律儀にイヴの手を繋ぐとシスは西にある教会へと向かった。

 トクメはしばらく見送ってから再び歩き出すと、ムメイは居心地が悪いのかモゾモゾと動いている。


「ねえ、歩きたいんだけど」

「認めないと言っただろう。それより、私に言うことはないのか?」

「……帰り遅くなって……ごめん」

「違う」

「……呪いについては私のせいじゃないし……」

「近いが違うな。そうそう、あのような場合は道をいじるより相手の頭の中をいじれ。今回みたいに魔力が途切れれば誰の仕業かすぐに分かる」

「(やっぱりこうなった……)じゃあ何」

「ここから脱出できたのは私にしかできずシスにはできなかった事だ。何故何の役にも立たなかったシスに礼を言って私には言わん」

「…………」


 どうもトクメはシスにだけ礼を言い自分には何も言わない事が不満らしいが、礼を言われる事にこだわり過ぎてムメイの謝罪を無視してしまっている事に気付かない。


 ムメイの目に冷たい侮蔑の感情が灯るが、肩に担いでいる為トクメからは全く見えない。


「危ない所を助けてくれたのはシスの方だし、礼を言うのは当然じゃない」

「……(やはり何とかして排除するべきか……)」


 知らず力が入りギュッと強く抱き締める形になったが、ムメイはどこか嬉しそうに目を閉じるとトクメの肩に顎を乗せた。

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