ミートパイとワイン
全話再編集したいので途中ではありますが一旦更新を止めています。
先に祭りへ来ていたムメイ達は既に品評会の会場へと到着していた。
街で一番の祭りというだけあって他の街から来ていると思わしき人も見受けられ、関係者がその人達にパイと飲み物を勧めている。
「ようこそ! こちらのミートパイとワインはいかかですか? お酒が飲めない方には葡萄ジュースも用意しています」
「シス、絶対に食べるな。そのミートパイは玉ねぎが使用されている」
「っ!」
勧められるままに手を伸ばしかけていたシスの手がビタっと止まった。
「あの……?」
「この者は玉ねぎを食べる事が出来ないんだ、葡萄もな。好き嫌いではなくそういう体質だ、だからこの場で出される物は何も口にできん」
「まあ、それは残念ですね。では貴方は如何ですか?」
「そうしたいところだが、体質上一切の飲食が不可能な者を近くにいながらそれらを気にする事なく食する程私の神経は図太くないので遠慮する」
「え、えっと……そうなのですか。では貴女は……あら」
ムメイの方に視線をやると同時に女性は少し動きを止めたが、またすぐ笑顔に戻りパイとワインを勧めてきた。
「奴隷の方ですね。今日は身分関係なく誰でもパイとワインが食べられますよ、さあどうぞ」
「……周りが食べていないのに私だけが食べるのも気が引くからやめておくわ」
「別に飲み食いしなくてはいけないわけではないのだろう? ならば行くぞ」
「ああ、分かった」
「それじゃあね」
全員から断られ何の反応も返せなくなった女性を置いてムメイ達は会場の奥へと進んで行った。
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「……あのパイ、にんにくが使われていたから断るのにシスを使った?」
「まあな、だが実際飲食出来ない者がいると知っていて食事をする気にならんのも事実だ。食事は全員で取るものだ、でないと味も落ちる」
「なあ、それより匂いは大丈夫なのか?」
つい先日にんにくの匂いに当てられ体調を崩していたのを知ってシスは心配しているが、当のヴィルモントはピンピンしている。
「問題ない。あの時は血の匂いで食欲を誘発されていたからであって、供給もある今ならこの程度で体調を崩す事はない」
「それならいいんだが……」
「…………」
そう言っているヴィルモントだが、先程からさり気なくローブで鼻を覆っているのにムメイは気づいた。
ミートパイに使われているにんにくは少しだが、街のいたる所で振る舞われているのでムメイでも気づく程辺りに匂いが漂っている。
「違う場所に移動する?」
「いや、祭りに行くと言ってここに来ている以上移動などすればダルマが確実に近寄ってくる。ならばこのままここに留まっている方がいい」
「にんにくより嫌なんだ……」
「奴がミートパイを食してくれればそれを理由に数日は避けられるが……そこまで上手くはいかんか」
「……なあ」
「シッ、ちょっと弱っているみたいだからそっとしておきましょう」
実はダルマが一定の距離を保ってついてきているのをシスとムメイは気づいていたが、ヴィルモントは気づいていない辺りやはりにんにくの匂いで多少弱っているらしい。
幸いダルマもいつものように大声で話しかけてきたりしてこないので、ヴィルモントの為にもそのまま知らぬふりを通す事に決めた。
一から全て書き直す予定なのでいつになるかは分かりませんが、この話の更新はここで終わります。




