その守護者は役目を終えました
勇者が魔王を倒し、正しく聖女が選ばれた。
人の世に平和が訪れた。
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「それでは、お役御免と言うことにて失礼つかまつる」
王都から遠く離れた祠の守護者は、一人役目を終える事とした。
聖女着任と同時に祠の機能の大部分は失われ、既に管理者を必要としていない。
楔とされていた各地の守護者も直に本来の歩み取り戻していくだろう。
「まぁ私は手遅れであるがな」
半透明な体を見下ろす。
本来ならば、短期間ないし複数人が交代で一つ所の守護者をするのだが、置き去り同然に取り残され、一人で強い力にさらされ続けた結果、肉体がソレに適応し精霊体と呼ばれる存在になってしまったのである。
半実体であるが精霊体ならば、あらゆる外敵に襲われる事はない。
そして、数年単位は人が来ていない祠の周りには人里につながる道など存在しない。
本来、その役目故に守護者は騎士ほど武にたけてはいない。
役目を終えても護衛もなく一人で帰るのは到底不可能な状況であるが、上官と守護者に、代役を押し付けられた身としては悲観しないでいられようか。
精霊体は相応しい霊装と女性的な特徴が目立つが、元々は15になったばかりの新米兵士。
体力と走り込みには自信があったが、精霊体は疲れを知らないが精霊体を維持する力が切れれば肉体にもどる。
そして、一度精霊体になった者は寝ればまた精霊体になれるようになる。
聖女は耐性により精霊体にならないが、守護者でも普通は精霊体になる前に自我を失う。
彼には希有な素養があったから精霊体になれた。
彼は、生身の肉体より安全な精霊体の間に人里に近づけるよう走り出した。
隠すべき入口を塞が無かったのは、本来の居るべき守護者達への意趣返しである。
彼が生身で王都入りし、問答無用で事務員に退職届を叩きつけた後、実体のない巫女が王都の方向に走り去る噂が遅れて流れた。
とうに本人は新たに冒険者として世間に紛れ込んた後であったが、各地の祠に確認の為に人が送られ、何食わぬ顔で神殿に帰ってきていた元守護者達が更迭された事を知った彼は上機嫌で酒をあおった。
元々たった一人の守護者しか居なかった祠の関係者達に僅かながらの同情を交えながら。
オチが甘い?でも悲劇にはなりません




