2人分ぎゅー!
妊娠したことを彼に伝えなくては…でも、なかなか伝えられない…
(ピンポーン)
「はーい、どうぞ。開いてるよー」
「寒かったでしょ?
で、どうしたの?急な話って
なんか…顔色悪いね
まっ、座ろっか」
「今、コーヒー淹れるね。ん?お茶でいいの?わかった。待ってて」
(キッチンへ)
(戻ってくる)
「はい、どうぞ。あっついよー、気をつけてね」
(彼、座る)
「いつもと違う様子だけど
怒ってるの?違う?
もしかして……別れようって?
…違うの?
なんだろ?キミが言えるようになるまで待つよ
……………
ん?何?ごめん、聞こえなかった
もう一回言って」
………………
(コーヒーを飲もうとしてたが噎せる)
「え!!!!!そうなの!!!!!
まだはっきりしないけどって…
(少し落ち着いて)
そっかー ボクが父親かぁ
うわーどーしよー
うれしー!!照れるー!!
どうしたの?涙…」
(彼女、しゃくり上げて泣いている)
「あ〜ぁ、子供みたいに泣いて」
(彼が彼女を抱きしめる)
「1人で悩んでたんだ
苦しかったね
気づかなくてごめんね
…もしかして、ボクが反対するとでも
思った?」
(彼女、頷く)
「馬鹿だな。そんなこと、絶対ないよ」
(抱きしめてた彼女をゆっくり離す)
「ちゃんと話してくれてありがとう
もう病院は行ったの?まだ?
じゃあ、来週初めに一緒に行こ
仕事?休むに決まってるでしょ。
こんなに大切なこと、キミ1人でなんてダメ
それに、もう1人の体じゃないんだよ
体、冷えないようにしないとね」
「なんか…順番逆になっちゃったね
もうそろそろ結婚…って考えてたんだけど、ボクのほうこそ言い出せなくて…
情けない
これからのことは
ゆっくり話し合って決めよ
今はキミの体が一番大事だから
ありがと
また、ぎゅーしていい?
じゃあ、2人分ぎゅーー!!」
結婚を前に、妊娠…となると。なかなか当人もどうして良いかわからなくなります。
この彼は異例…に入るのではないかな?
もう子供じゃないし、かと言って何もできない年齢でもないでしょう。
この2人には、どうか幸せになってほしいな。そんな期待も込めて書きました。