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非日常は敵ですか?  作者: TS
第一部
9/40

第八話 黄昏の君

 早朝のとある道をボクはゆっくりと歩いていた。

雲ひとつなく青く澄みきった空。太陽の陽光が降り注ぎボクの体をポカポカと暖める。

太陽の光は体だけでなく心まで明るく照らしていく。

なんだか鼻歌でも歌いたい気分だ。自然と頬は緩み思わずスキップをしてしまう。

きっと今日はとってもいいことが有るのだろう。そんな予感がする…


そう、そのはずだったのに今は…


「おいくぉるぁ!!こんがきゃぁどこ見て歩いてんだよ!あぁん!!」

「餓鬼だからって容赦すると思ったら大間違いだぞ。ゴラァ!!」

「ウホ!ウホホォウホッホウホォウ!!!」

服がちょっとかすっただけなのに絡まれている。

大体リーゼントに黒の長ランっていつの時代のヤンキーだよ。番長とか居そうな雰囲気だ。

最悪、前二人はスルーしてもいいけど、最後なんだよ、おい。

どう見てもゴリラじゃん。しかもヤンキーやるなら服ぐらい着ろよ。

全裸じゃ変態だっつーの。ゴリラでもそこは弁えとけよ。


「うぉぅうぃ!ぬぅわぬぅぃいスィクァトゥすぃとぇんどぁよぅ!!」

「俺が容赦するのはお年寄りだけじゃぁい!!なめんなよ!!」

「……………」

ヤンキー1の言語が解読不能になって来てる。赤ちゃんからやり直してこいよ。

ヤンキー2優しいよ…お年寄りに座席とか譲っちゃうんだろうな。

おいゴリラ黙ったかと思えば、何バナナ食ってんだよ。よこせよ!


「△△△△×!△△××△!!」

「俺のおじいちゃんはすごいんだぞぉ!!ゴルァ」

「……………」

どうしよう…いっそこのまま帰ったら見逃してくんないかな。

はぁ…ちょっと試してみるか。そぉ〜っと、そぉ〜


「って何逃げようとしてんだ!!ゴルァ」

うわっ、おじいちゃんっ子のヤンキーに捕まってしまった。

あぅ、どんどん力こめられてる。痛くなってきた…

ギュッと腕を折るんじゃないかといった力で握られる。


「い、痛っ!」

本当に痛い。なんでボクがこんな目に合わなくちゃならないんだろう。

ねぇ、誰でもいい。お願い誰か、誰かボクを助けて!


「ぐほぁ!?」

まるでボクの声に呼応するかのように

突然ボクの腕を掴んでいたヤンキーが吹っ飛んだ。

ボクの目の前には拳を握りしめ俯いている少年が立っていた。


「誰だてめぇ!!」


「…いんだよ」


「あぁん!!」


「うざいんだよ!!このゴミどもがぁ!!」

突然現れた少年は恫喝しヤンキーたちに向かっていく。その動きはとても俊敏で

ヤンキー達の拳はかすりもしない。拳をいなしたり、かわして出来た隙を突き、

打撃を加えていく。それは倒すためというよりは、相手を痛めつけることを目的としているようだ。


「くっ…こいつ強ぇえぞ!?」

「……ウホホッ!!」

「!!ア、兄貴!……わかりました、不甲斐無くてすいやせん…」

どうやらゴリラがヤンキー達のボスのようだ。

流石の少年も危ないかもしれない。なぜなら、相手は人を殺すことを厭わない野生生物だからだ。

ボクのせいで少年が死ぬところなんて見たくはない。今ならボクも自由だ。

少年に逃げるよう促して


「ウグホォォォ!?」

そう思っていた矢先、高速で動いた少年はゴリラの膝に足を置き



き、決まったぁぁ!シャイニングウィザードだぁぁぁぁ!!!

ゴリラにシャイニングウィザードをかます少年。

言うなればゴリラニングウィザード、シャイニングゴリラだあぁぁぁぁ!!(混乱中・・・)


ゴリラを連れて逃げるヤンキー達。

残されたのはボクと少年のみ。


「あ、あの…助けてくれてありがとう」

色々と驚くことはあったがボクを助けてくれたのは事実だからお礼を言う。


「…別に。ただゴミが目障りだっただけだ。憂さ晴らしも兼ねていたしな」

そう言ってそっぽを向く少年。確かに滅茶苦茶楽しそうだった。

それでも、照れたような少年の反応を見る限りそれだけでもなさそうだ。

心に余裕が出来たので恩人である少年を観察してみる。

銀色の奇麗な髪。宝石のように淡い光を放つ緑の瞳。

それよりも特徴的なのは男とは思えない中性的なきれいな顔をしている。

今は不機嫌そうに目を細め眉間に皺を寄せているが、もし少年がにっこりと

笑ったらまさしく天使のように美しいのではないだろうか?


「…何をじろじろ見てる」

ま、まずい。ひょっとして少年を怒らしてしまったのだろうか。

ゴリラを倒す少年が相手だったらしんでしまう!!


「そんなに怖がられるとショックなのだが…。勘違いしないでほしいが

今は少し機嫌が悪いだけでお前には一切怒ってないからな」

うっ…この人すごくいい人だ。助けてくれた上、フォローも忘れないなんて…

そんな少年を疑うなんて自分が恥ずかしい…。


「…何で落ち込んでるのか知らないけれど元気出せよ。学校に遅れたくないし

僕はもう行くから。じゃあ」

って、大したお礼もしてないのに少年が行ってしまう!

せめて、名前とか聞いとかないと!


「あのっ!お礼がしたいのでお名前と学校の名前を教えてください!」


「別にお礼はいいんだが…教えてもらわなければ気が済まないって顔だな。

…神王高校二年A組16番 春野 五月だ。じゃあもう行くぞ」

踵を返し歩いていく少年・春野君その背に向けてボクは声を放つ。


「ボクは 斎賀さいが かなめだよっ!

春野君!  またねっ!」


どうやらボクの予感は当たっていたようだ。

これから起こるであろう出来事を考えたボクは胸が高鳴るのを感じずにはいられなかった







今回は視点が主人公ではありません。

ところで、新しい変なヒロインが最近出てないですね。

もっと増やしていきたいです。

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