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非日常は敵ですか?  作者: TS
第一部
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第二十二話 結の気持ち

 にたりと口を歪め最後の慈悲とばかりに質問する結。


「五月君…もう一度聞くよ?申し開きは…ある?」


ここで選択肢を間違えたら地獄への片道切符を自分の命で支払う事になる。


というか、既に地獄を見たような…


ってそんな筈ないよな。


慎重に答えなければ…



「僕が三月といたのは本当だから、僕には何の弁解も出来ない。


結を心配させたんだ、罰は甘んじて受けるよ」


それは僕の偽らざる本音だった。


どうなるのかは分からないが、それで結の気が済むのなら本望だ。



「…うそ」


「えっ?」



「本当はね…そんなに怒ってないんだ。


でも、ちょっとだけは怒ってたから五月君に意地悪しちゃった。


ごめんね…?」


軽く舌を出しておどける結。


だけど、僕にはそれが無理をしているように思えた。


僕は結の本当の気持ちが知りたい。だから、誤魔化さずにちゃんと結に伝える。



「結、僕に気を使わないでいいよ。僕は結の本当の気持ちが知りたい。


例え、それが僕を傷付ける事でも構わない。何も知らない方が、もっと辛いから」


今までの僕だったらきっと曖昧なままで終わらせていた。

でも、今はそんな中途半端な気持ちで結の傍にいるのは相応しくないと思う。


結には全てを話したいから。僕の過去も想いも全て。



「…そうだね。嘘吐きは閻魔さまに舌を抜かれちゃうもんね…



私ね、本当は凄い怒ってるの。


だって、五月君は何も言ってくれないから。


五月君はいつも苦しそうだけど、何も聞いて欲しくなさそうだったから聞けなかった。


それに聞いたとしても、五月君は多分話さなかったと思うし。


五月君は優しいから、私に迷惑を掛けたくなかったんだよね。


でもね、何も言われない方がずっと不安で怖いんだよ?


私が少し目を離した間にどこかに行って、そのまま帰って来ないんじゃないかって。


…ねぇ、私はそんなに頼りないかなぁ?


私も何か五月君の力になりたい。だって…



私は五月君のことが好きだからっ…!!」


瞳に涙を溜めながら、自分の想いを必死に伝えようとする結。



そんな結の姿に、僕の愚かさをまざまざと見せ付けられた気がした。


どうして、僕は結の気持ちに気付いてあげられなかったのだろう。


心配を掛けまいとした僕の行動が結を不安にさせていたなんて、


僕は結のそんな気持ちを知る事もなく、知ろうともしなかった。


そうだ、僕はいつも結から貰ってばかりで何も返すことが出来ていない。


今からじゃもう遅いのか?


いや…そんな事は無い、まだ間に合う筈だ。



だから、伝えよう。偽りのない僕の本当の想いを。



「結は頼りなくなんて無い。僕はいつも結の優しさに癒されてた。


苦しい時でも結といれば嫌な事を忘れられた。


辛くても結と話してるだけで、僕の気持ちはどんどん軽くなるんだ。


結がいてくれたから、僕は諦めず頑張れた。


それは結にしか出来ない、結だけの力なんだ」


結が僕の支えになったように、僕も結の支えになりたい。

だから、自分をそんな風に卑下して欲しくなかった。


結は僕にとって掛け替えのない存在なのだから。



「結、僕は君に聞いて欲しいことが有る。多分、結がずっと聞きたかった事だと思う。


でも、その話を聞いたら結は僕を嫌いになるかもしれない。


それでも、知りたいと思ってくれるのなら、今日の放課後に教室に残ってくれないか?」


結の想いが本当なのは分かっている。

それでも、本当の僕を知ったら嫌いになる可能性だってある筈だ。

だからこそ、結には本当の事を知ってもらいたい。


…こんな考える方をする自体が駄目なんだろうけど。



結局、ネガティブな考えをしてしまう僕。


でも、結はそんな僕の馬鹿な考えを吹き飛ばす言葉を放ってくれる。



「変わらないよ。私はどんなことを知っても五月君を好きでいる自信があるから。


だって私が好きになったのは五月君の心だから。


表面をどれだけ偽っても心だけは誤魔化せないんだよ。知ってた?」


知りませんでした。


本当に結はすごいな。

さっきまであった、嫌な気持ちが全部無くなってる。

今はただ素直に結を信じようと思える。


なんだか笑い出してしまいそうな僕は、結に言葉を返そうと思って、



「…二人とも、一応ここは教室なのだぞ?


真剣なのは分かるが、そういった話は人のいない所でした方がいい。


…まったく、私も嫉妬で止めてしまいそうだった」


頬を少し膨らませ不機嫌そうに三月が言う。


三月の言葉で周りの視線に気付いたのか、真っ赤な顔をして席に戻る結。


話を中断された挙句、結に置いていかれた僕もようやく今の状況に気付いた。



…そういえば忘れてたけどここ教室だった。







最近、妥協して話を書いている気がします。そのせいで、コメディ部分もシリアス部分もとても中途半端になってます。

なので、とりあえずシリアス部分を完結させようと思います。

完結といっても後日談としてコメディを書いていくと思いますので、宜しければそこまでお付き合い頂ければ嬉しいです。


以上、作者の勝手な都合ですいませんでした。

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