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Ahter the WAR  作者: TOMO
序章
2/5

いつかの話

彼女は鷹夜のことを「鷹夜くん」と呼ぶ。

思い返してみれば、中学1年の夏から、そう呼んでいる。一年前だ。

「あー、ちくしょう。」

自室で公平は胸のモヤモヤとした気持ちを吐き出した。

3人で帰るのは楽しい。

しかし駅までのあの時間。佳奈恵ちゃんは鷹夜と話している時が、1番楽しそうだ。

どうしても、そう思ってしまう。

公平は佳奈恵ちゃんが好きだ。

かなり前からだ。

なぜだろう。公平は考える。毎日考えているような気がする。

彼女の容姿に惹かれたのかもしれない。

肩口まである艶やかな黒髪。小さな鼻。温和な口元。

彼女の歌に魅入ったのかもしれない。

そのすべてのような気がする。

いまとなってはわからない。今はすべてが魅力的に感じる。

手元の教科書に意識を向け直す。公平はいま勉強をしているのだ。

放課後に居残り勉強をしていると言っている以上、恥ずかしい点数は取れない。

それに、公平には夢があった。

米国を中心とする連合軍に入ることだ。

1番儲かるし、1番安全だ。

誰も知らない地下施設に潜って、すべての情報を精査しつつ、身の安全を確保するために敵を駆逐する。

高校も軍事学を学ぶつもりだ。

おそらく東京に行くことになるだろう。

2人は、どうするのだろうか。受験は来年だ。いつまでも一緒ではいられない。

いつからだろう。

鷹夜に嫉妬するようになったのは。




時刻は22時を回っていた。

僕は一心不乱に剣を振っている。

それが僕の日課だ。

現在のスポーツの廃れ方は半端ではない。運動会などもちろんなく、スポーツの大会もない。スポーツ庁等もなくなった。もちろん大会もない。

子供の安全を第一に考える「日本ママの会」というところの強い抗議が、日本を変えた。

そもそも科学的にスポーツは体に悪い影響をもたらす、ということが表に出てきた。一握りの天才しかスポーツはやるべきではない。昔からわかっていたことだが、スポーツをお金に変えようとする人たちが隠してきた。

そもそも戦争になっていつでも戦えるように、スポーツをして身体を鍛える意味がないのが、大きいと僕は思っている。

極論としては、ボタンを押せればミサイルは発射される。それも極めて正確に。

いまの戦争は専ら相手の戦意喪失にある。人死にはほとんどない。公平はそう言っていた。

公平のおかげで少しは現代戦のことは知っている。

現代戦の特徴として、サイバー戦が挙げられるだろう。これは物量がものをいう。中華帝国は何万とも何十万とも言われる人員をここに割いているらしい。

ここからもわかるように、剣など振っても意味がない。

たとえそれが、いま僕が振っている真剣だとしても。




2214年。

いま鷹夜は短刀を腰に下げて、故郷の山の麓にいる。ここはいま中国領だ。

電波塔が何本か立っているのが見える。

どこの電波を傍受しているのだろう……。鷹夜は思った。

鷹夜の故郷は昔から過疎地域だった。そしていまでは日本人は誰もいない。

戦争終結時には岩肌だった山もいまは、杉の木が植えられ緑化が進められている。

中国人の手によって。

日本という国は極めて重要な土地だった。三大国の最前線の一部がここだった。

EU、中華帝国、アメリカ、この参加国のボーダーに日本は存在していた。

現在北海道、東北はロシア系のEU民が。

九州、四国、日本海側の一部が中華帝国のものに。

そして中部、関西、関東が日本領だ。

現在の日本人人口は4000万人。

GDP世界6位。経済はまだ回っている。

かつては1億人を超えた日本人がいたらしいけど、それは多すぎだと鷹夜は考えている。

鷹夜はこことは逆の山の麓にある施設に用があって、いまここにいる。

腕時計型携帯端末で時刻を確認する。

予定では車が鷹夜迎えに来る時間だった。しかし、一本しかない荒れた道に車は見えない。20分くらい前に土地確認のために、いなくなった仲間との連絡手段はない。

見渡すと古いバス停だろうか、古びた木製のベンチがあった。そこはちょうど木の陰だ。

鷹夜はそこに座って待つことにした。

決行は今夜。

鷹夜には、まだ時間があった。









最後まで読んでくださりありがとうございます。

面白くないようでしたら、遠慮なく言ってもらって構いません。

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