ifルート ロプス『芳樹ルート』
もしも、ロプスがキュクを産み出し色々と喪失せず、人と敵対しながらも数々の出会いをし、芳樹と手を取り合ったらのifの話です。
本当は昨日出す筈だったのですが遅れてしまった……。
荘厳な雰囲気すら漂うその教会で芳樹達はその人物を前に立っていた。
白い、白い、柱が立ち並び、周囲に神聖を広げる。
「何故こんなことをするんですか!」
「そんなものはあたりまえだ」
最高司祭のバートンは周囲より少し高いそこで芳樹達を睨み付ける。
「認める訳にはいかない、認められるものか!」
芳樹達の周囲を囲むように騎士や司祭が現れた。
「モンスターは敵だ。人類そして、あらゆる生物の敵なのだ!
何故それがわからない!!!」
バートンは怒りを露に叫ぶ。
「違う!彼らは……いや、彼らとだって共に歩くことは出来る!」
芳樹は槍を持った手と反対の手をバートンへ差し出した。
「あなただって、共に歩くことが出来るはずだ!」
「これ以上の話は無駄のようだな……」
バートンが手を上に翳すと光が集まり錫杖を形作った。
「どうしても……分かり合えないんですか……それでも……」
「芳樹」
隣に立った完治が芳樹の肩を叩いた。
「言って分からないならあとは、殴って止める……その後、話をすりゃいいだろ?」
「彼とも分かり合えた……だったらきっとバートンさんともいつか分かり合えるよ……きっと
それに、僕たちは一人じゃない」
完治と大河は親友を励ます。
「……そうだね。
バートンさん僕はモンスターを殺し尽くすという貴方には賛同できない。
だから……殴って止める」
芳樹は決意を手に槍を強く握る。
「バートンさん……それから、話しましょう。沢山、きっと譲れないこともあると思う。
それも含めて、たくさん……話しましょう」
「話すことなど……無い!!」
バートンが錫杖を降り下ろすと同時に周囲の司祭や騎士が飛び出し芳樹達へと殺到する。
皆で背を合わせるようにし、芳樹達はそれを裁いて行く。
ここまで伊達に戦ってきた芳樹達では無かったが、それでも流石に一国の騎士達や司祭は強かった。
神聖魔法を繰り、回復魔術と強化魔術、数々の魔術を使いジリジリと芳樹達を追い詰めて行く。
「クソ……このままじゃヤられる」
完治は司祭の拳を払い、投げ飛ばしながら悪態を吐く。
その時、騎士達の背後にある謁見の間の入り口辺りの騎士が空へと吹き飛ばされる。
「やれやれ、僕たちがいないとダメですねぇ」
「このピンチに颯爽と登場ですぞ……デュフフ!」
「お前ら少しもちつけ」
入り口から、亮太達オタク組が爆煙を纏い部屋へ転がり込み決めポーズを決めた。
「亮太!稔!正太!」
「おせーぞおめーら」
「二人とも油断しないで!」
一瞬の隙を付き飛びかかって来た騎士を大河は手の大剣の背で殴り飛ばす。
「ウザイんだよお前ら!!」
グイナスはアホなポーズを決める亮太達へと切りかかる。
「お前の相手は僕だ」
「貴様!!!キサマアアアアアァァァァ!!!」
孝太はグイナスの剣を受け止めると切り結び始める。
芳樹達の上に無数の光球が生まれレーザーを照射する。
「行きなさい。ここは受け持ちますわ!」
後発隊の麗華や沢見が芳樹達の周囲の騎士や司祭の間へ滑り込んで来る。
「みんな……」
「お前はその為に来たんだろう?
……ならそれを果たしてこい」
芳樹はグッと槍を握るとバートンを見る。
「行ってきます」
芳樹、完治、大河は駆け出す。
「【ホーリークロス】」
バートンの周囲へと陽光のように光輝く十字架が星星のように現れる。
「落ちよ」
十字架は空を舞い、駆ける芳樹達の上へと落ちてくる。
「オラァ」
「ヤアアァァ」
「フンッ」
芳樹達はそれを叩き落としながら駆ける。
「【ホーリーレイ】」
バートンの周囲に浮かんだ十字架から太い、神聖を含んだ光が幾条も放たれた。
「ーーー!」
大河は二人の前へと出ると『挑発』を使いバートンの攻撃を引き受ける。
無数の光線が大河の盾へと叩きつけられる。
だが、大河は止まらない。
「オオオオォォォォ」
「【サンダーレイン】」
芳樹達の頭上から雷が降り注ぐ。
空気を引き裂く轟音の中、完治はダンッと重力へ逆らい飛び上がる。
完治は、自分達へ当たる雷へ闘気を纏った拳を叩きつけ相殺していく。
そして、遂に芳樹の槍はボートンへと…………届いた。
「ぬうううぅぅぅん」
「テアアアァァァアァァァ」
それに対しバートンは錫杖をメイスのように振り降ろし叩きつける。
ーーーゴゥン
と鐘にも似た音を響かせ衝撃が周囲へと抜けた。
「初めは……モンスターを根絶やしにするために神が使わせた……と思ったのですが……ね」
「僕たちは……神様に言われたから来たわけじゃ無い」
芳樹は槍で錫杖をかち上げる。
「ただ、呼ばれた時に……偶々神様と合っただけだ!」
芳樹の槍がバートンの肩へと吸い込まれていく……刹那!
「おいたが過ぎますぜ……光の御子殿?」
「カリオンさん……」
物陰に潜んでいた騎士団長のカリオンに槍を弾かれる。
「チッ……見ねえと思ったら……」
「そりゃ俺は一応、騎士のトップだからな。最高司祭を守るのは当た「フンッ!」り前……だろ?」
大河の大剣をカリオンは流し大河を蹴り飛ばす。
「それにコレで全部なんて言ってないぜ?」
「なっ!?」
カリオンが合図すると周囲に魔法陣が浮かび他よりも強い気配を纏った騎士が現れる。
「芳樹!」
「芳樹さん」
「クッ……邪魔だ!」
背後の仲間達は芳樹の元へ駆けつけようと焦るが、周りの司祭と騎士がそれを許す筈も無い。
「一転して大ピンチですな……光の御子殿?」
カリオンはニヤッと笑った。
しかし、芳樹の目には絶望では無く希望が灯っていた。
「僕たちは一人じゃない」
突如、バートン達がいる辺りの天井が爆発し崩落を起こした。
落下する天井の残骸を弾き飛ばしバートンは上を見た。
「芳樹、手は足りてるか?
沢山あるからな貸してやんよ」
そこには、不適に笑う単眼の少年が立っていた。
「猫の手も借りたいけどあるかい?……ロプス」
「猫は……無いな」
これは、もしもの話、あるいは……そうだったら……あり得たかもしれない世界の可能性。
こんな感じで熱い展開になるといいですねぇ。
本編のロプスさんは馴れ合いとか無いので安心(?)してください。