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進化先の選択肢がおかしい件  作者: 紫扇
プロローグ 一つ目とメイド
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02 目玉のナニカ

 目が覚めたとき、自分の体の感じに愕然とした。

 まさに生まれ変わった気分……いや、事実生まれ変わっている。

 とりあえず起きてみようと体を動かすと……。


  ムニ


「…………」


  ムニ


 ok……ok……落ち着いて整理しよう今、起き上がろうとしたら体をくの字に曲げることしかできなかった。

 何を言ってるか……本当に意味がわからないがとりあえず体は動く。しかし腕や足の感覚が無い……。

 というか胴体も顔もなんかおかしい。とりあえず景色が見えているし目はあるみたいだ。

 そういえば目玉のナニカに生まれ変わったんだっけ。


「…………」


 喋ることは出来ないみたいだ。とりあえず移動してみよう。…………転がるか。


  コロコロコロベチン


 体を打ったらしい。ちょっと痛い。

 よく見るとこれは木か……。ほんとによく見える。ズームで見てるみたいだ。

 周りを見渡すとここは森の中のようだ。大きな木々が生い茂っている。いや、俺が小さいのか……。

 音も聞こえないので水がどっちにあるのかもわからない。

 とりあえず移動できそうな木々の隙間を転がって移動する。


  コロコロコロフワリ


 急激な浮遊感を感じる。その先は傾斜だったらしい。声を出す間もなくグルングルンと転がり落ちて行く。


  バシャーン


 流れる水が目を直撃する。

 目が~目が~………喋れたならば確実に叫んでいた。

 グルグルと転がりなんとか川の岸へ着くと目が回復するのを待った。

 しばらくして目の痛みが引くと川を覗きこんでみた。もちろん慎重にだ。


「……!!!」


 川に写っていたのは口の部分が目玉になった蛭のような生き物である。

 全長はおよそ30cmほどだろうか。色は黒くまさに何だこの生き物状態である。

 それがウネウネ動いて自分を確認しているのだからなんとも言えない気持ちになる。


 しばらく放心していたが今後どうするかをまず決めなくてはいけない。

 こういう時の定番はステータスとか言うとなんか出るんだよな。俺喋れないんだけど。


 そう考えていると目の前に文字が浮かび上がってきた。


【名前はまだない

目玉のナニカ

生命力10

魔力10】


 イッツシンプル!!シンプル過ぎてさっぱりわからない。

 あと名前はまだないって猫かよ。

 よしあとはオッサンの言ってたことを思いだそうなんかヒントとかあるかもしれん。


 ……。

 …………。

 ………………。

 だめだオッサンはメイドの話しかしてない。時々話の間に挟まってた情報から推察すると前世の記憶は無いが知識は最低限あるって所か。

 あと出来ることは……。

 そう考えを巡らせ何が出来るかを考えていると対岸の木々が揺れ間から緑色の小鬼のような生き物があらわれた。


「…………」

「……※■△」


 そいつは何かを叫びながら襲いかかってきた。

 俺は全力でコロコロと転がり逃げ出した。しかし体格がまったく違いすぎておいかけっこにすらならねぇ。

 ヤバイこのままじゃすぐに捕まる。

 回転する視界の中草の多く生い茂る辺りへとコロコロと突撃する。

 目を閉じて(まぶたあったんだな)がむしゃらに転がる。

 しばらくすると相手はこちらを見失ったようだ。


「■◆▽?」


 緑の小鬼は諦めたのか去っていった。

 この体は命の危険がありすぎる。

 早く安全を確保しないと次は死にかねない。

 定番はえっと……そう、進化だ。進化すると強くなるのが定番だな。

 スキルとかとったり見たり出来ないのか?

 そうしてしばらく悩んでいるとまたも目の前に文字が浮かび上がってきた。


【経験値130

進化

・腕を生やす(ランダム)

・足を生やす(ランダム)

・胴体を生やす(ランダム)

・頭を生やす(ランダム)

・感覚器官を得る(ランダム)

・メイドを作るLV1】


 オッサンシステム!!!

 選択肢がヒドイ本当にヒドイもはや安定してるレベルでヒドすぎる。

 そもそもこういう時の選択って進化先にベスがついたりリトルがついたりとかじゃ無いのかよ!!

 何で普通に進化してんだよ!!!


 思わず熱くなって体をビタンビタンと跳ねさせた。


経験値130→132


 経験値増えたし!?

 現実だと敵を倒すとかじゃ無く何をしても経験を得るのはある意味正しいのか?

 それはともかく何を進化させるかだが……選択は感覚器官とメイドだな。

 どれぐらい経験値を使うのかわからないとかムズすぎだろ。

 選択を意識すると目の前に文字が浮かび上がった。


【メイドが作成されました。

感覚器官:触手が生えてきました。

感覚器官:聴覚を得ました。

ポイント不足により進化できませんでした】


 いやなんかおかしい。

 触手って感覚器官なのか?

 あ、なんか出た。

 体の背中?からシュルシュルと一本の黒いヌルヌルとした触手が出てきた。

 うわ、キモッ!

 意識すると動かすことができ、体内に引っ込めることもできるようだ。


「…………」


 これ、アレだよ。俺の存在が18禁的な存在じゃないかな。

 き、気のせいだよな。

 改めて進化先を見ると


【経験値2

進化

・腕を生やす(ランダム)

・足を生やす(ランダム)

・胴体を生やす(ランダム)

・頭を生やす(ランダム)

・感覚器官を得る(ランダム)

・メイドを作るLV2】


となっていた。

 というかスキルとか無いんだけど……。今後取れるのだろうか?

 しばらくは経験値を稼ぐか……。そういえばメイドはどうなったんだ?


(始めましてご主人様)


 頭の中に声が!?


(あなたに作られたメイドです)


 あぁそういえばさっき進化で選んだな。


(はい。現在はご主人様の内部に精神のみ存在しています)


 そうか……。お前は何が出来るんだ?


(何もできません)


 ……そうか。頭の中で一人会話とかこれじゃ危ない奴だな。


(問題ありません端から見ればただの目玉です)


 ただの目玉ってなんですかね?

 何もできないとか何のためにあるんだ?


(レベルが上がれば出来ることも増えると思われます)


 経験値がいるな……。跳ねるか!

 とりあえず経験値を稼ぐことにした目玉のナニカは下に石などの無い場所へ転がりビタンビタンと跳ね始めた。


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