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プロローグ
光を愛した神。
闇を慈しむ神。
思想の違いは、神々にとっても不和の呼び水となった。
神話の時代の終わり。
神々は世界を人に譲り、舞台から去った。
神々の叡智を受け取った人は、皆を束ねる王となり国を作った。
神々の力は魔法となって、王は人を支配した。
時は流れ。
古代王国最後の王。
神の定めた境界を打ち怖さんとした王は、己の娘たちを生贄に捧げる。
最後の娘、勇者を導き王を討つ。
勇者は王を討ち果たし、聖帝となり、帝国が生まれた。
勇者と娘は結ばれ、多くの子をなした。
しかし、子供たちは最後の王の呪いによって互いに憎みあう。
呪いを解かんと、最後の王の遺物を壊した。
しかし、それは一層の悪意を持って国中に不和をばらまいた。
在位十余年。
聖帝は病に倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
世界に一つしか無かった国は割れ、元に戻ることはなかった。
帝国は、わずか一代限りの短い治世で終わりを告げた。
聖帝の死は多くの人が嘆き、悼んだ。
現在、アトナス聖王国に彼の墓がある。
……そこに妻たる娘の墓はない。