第47話
コミメイトでの支払いを終え、外に出た頃にはちょうどお昼時だったので、私達はコミメイト近くのデパートに入って食事をとることにした。
基本通販で買い物をする私にとって、デパートは子供時代に両親と行ったくらいの記憶しかなくて、こうして来るのも、しかも恋人と、って全然予想できなかったなぁ。
二人で横に並んで、スマホで検索した地図を見ながらフードコートへ向かう途中。
右にいる青乃さんの左手が私の右手の甲に触れ、ぎゅっと握ってきた。その左手は温かい熱を帯びていて、私の右手は早くも包みこまれてしまった。
友達同士だったら、手を繋いでいても友達だからって周りの目を気にしなくてもいいんだろうけど、恋人だから、初めての恋人だから、周りの目が気になる。
どんなふうに見えてるんだろう、女同士だから友達として見られてるのかな、それともこ、恋人⋯?
そんな調子で、結局フードコートに行くまでの間、私は終始、耳を赤くしながらあたりを見回していた。
一方その原因である青乃さんは、その繋いだ手を大げさに振って、常時楽しそうに歩いていた。
まぁ、青乃さんが楽しそうで良かった。
⋯⋯青乃さんは、誰かと来たことあるのかな?
いや、そりゃあるだろうけどさぁ、友達も多いと思うし。
そういや、今まで一回も聞いたこと無かったけど⋯恋人っていたのかな。
いやいや、そりゃいただろうし、別にそれでもいいんだけどさぁ!
でも、それでもやっぱ “初めては全部私がいい” って思ってしまう私は傲慢なんだろうか⋯⋯
「おっ、四宮さん!ベル鳴りましたよ!」
「じゃあ取りに行こっか」
二人席で向かい合う形で座っていた私達は、頼んだものを受け取りに行くため席を立った。
今日は二人してカレーの気分ということで、私は目玉焼きトッピングのビーフカレー、青乃さんはチーズトッピングの野菜カレーを注文。
「野菜カレーにチーズって、合うのそれ⋯?」
「いや、これがいはいとおいひいんですよ!」
(いや、これが意外とおいしいんですよ!)
口をモゴモゴさせながら、一生懸命自身の頼んだカレーの良さをアピールする青乃さんを見て、可愛いのはもちろん、段々と面白くもなってきて、ついつい笑ってしまった。
今度私も頼んでみようかな⋯⋯
そうしてカレーを食べ終えた私達は、しばらくデパートを回ろう、ということで次の行き先を考えていた。
すると青乃さんが、スマホ内の地図を指さして、
「あの、ここの屋上行ってみたいんですけど」
「屋上?」
「はい、ここの屋上花園があるらしくて⋯ほら、特にこの白いアレナリアとか綺麗じゃないですか?ネットでも取り上げられてたんですよ」
「そっか、じゃあ行こっ!」
「あっ、ありがとうございます!」
カレーのトレーを戻し、次は屋上の花園に向かうべく、私達はまた歩き出した。




