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第45話


「あ、ここのマイク結構良いんですよね!」

「あ、四宮さん!向こうセール中ですって!!」


⋯⋯は、はしゃいでる青乃さんかわいい!!来てよかったぁ!!!

私の提案だったから、ちょっと申し訳ない気持ちもあったけど、楽しんでるみたいでホッとしたよぉ〜


にしても、最近はいろんなマイクがあるんだなぁ⋯⋯前に秋咲さん――いや、優さんも、今使ってるマイクは元はお店で直接買ったものって言ってたし。ネットよりもこっちのほうがサイズとか分かるし、即持ち帰りできるから、確かに良いかも。

次来るときも、青乃さんと一緒に来れたらなぁ⋯⋯


「四宮さん!これ!私これに決めました!」


「あっ、それなんか見たことある!どっかの有名配信者が使ってたやつだ!」


「そうなんですか!いやぁ、私ってやっぱ見る目ありますね!」


互いの気持ちが通じ合ったからか、前よりも青乃さんが素を出してくれてる感じがする。

いや、前も十分出てたと思うけど、その、やっぱ子供っぽさがました気がする。

⋯これは、今までよりも、心を許してくれたってことだよな?

⋯⋯やばい、ニヤついてきた。だめだ、抑えろ私〜、今はデート中だぞ⋯!


とりあえずこの顔を見られないために、顔を横に逸らす。

すると、視界に映った一つのマイクが私の目についた。


――これ、なんかシュッとしててかっこいい⋯!!!


そして値段、性能、大きさをひと通り見た私は、そのマイクの箱を持ち、青乃さんのところへと向かった。

しかしまぁ、私が見ていない間に一体何があったのか。彼女の腕の中には、マイク、マウス、マウスパッド⋯⋯もうかごに入れたら良いんじゃないかと思うくらいの荷物がそこには入っていた。

買い過ぎじゃないかという気もしたが、彼女の満足げな顔を見ると、その考えはすぐさまぽいっと、どこかへ投げ捨てられた。




「四宮さん、次。どこ行きます?」


「次!?」


「あったりまえじゃないですか!まだお昼も来てないんですよ!」


大量の荷物が入った袋を持つ彼女が、左に一歩。こちらへ距離を詰めてきた。


「い、一旦荷物置いてからにしようよ」


「それもそうですね!」


ということで、一度私の家へ戻った後、私達は再び外へと足を運んだ。


「でして四宮さん。どこ行きます?」


「⋯じ、実はその、もう一箇所行ってみたいところがあって。でも一人だと中々行かない距離でして⋯⋯」


「どこへでも、お供しますよ!」


右を歩く彼女が前に一歩踏み出し、くるりと振り向いて言う。いつもの優しさが滲んだ笑顔で。靡いた髪もすごくきれいで。

それがちょうど太陽の光と重なって、やけに彼女自身が眩しく見えた。

⋯あぁ、好きだなぁ。




「「――つ、着いたー!!!」」


徒歩で30分。ずっと喋ってたし、相手は青乃さんだったりで体感は5分くらいだったけど。

ということで私達がやってきたのは、ここ!

アニメ、漫画等、様々なグッズが取り揃えられたオタクたちの聖地――そう、コミメイト!!!


いやぁ、ここに来るのも久しぶりだなぁ、普段はオンラインで買ってるし。でもオンラインだと送料かかるからあまり頻繁には買えないし!


「⋯って、あっ!えっと、青乃さんはアニメとか、あまり見ない感じ?」


や、やばい⋯そういえば一回も青乃さんからアニメ・漫画の話を聞いたことがない!!!

私自身はバリバリのオタクで、陰キャの高校時代もアニメが拠り所だったんだけど⋯もしかしたら青乃さんは、ア、アニメを見ない陽キャの方なのかも⋯!!!


「いや、めちゃくちゃ見ますよ!」


「⋯え?」


「えっ、言ってませんでしたっけ?私めちゃくちゃアニメ好きですよ!」


⋯よ、良かったぁぁぁぁぁ!!!!!

ていうかオタクな陽キャって、なんだよそれ、反則じゃんかぁ!!!


「ほら四宮さん!突っ立ってないで早く入りましょ!」


そう言って私の手を掴んで離さない青乃さんは、まるで早くお母さんと遊びたい子供のように思えて、私は再び、何度目かも分からない胸の高鳴りを、体験した。


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