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第29話

次の日、打ち合わせで決まった事を桜見さんに伝え終えた私は、今日の配信の準備をしていた。といっても、配信は午後の7時からで、それまでにだいぶ時間がある。

とりあえず朝ごはん兼昼ご飯であるレンチンピザを食べるため、冷蔵庫に向かう。

すると、食器棚にあった一つのコップが目に入った。


あ、これ青乃さんが使ってたコップだ。


一緒に配信をした次の日の朝、青乃さんが使っていたコップ。あの日以降、間接キスやら、恥ずかしいやらと、いまだに使えないでいた。

青乃さん、元気かな⋯

レインはちょくちょくしているものの、実際にあったのはあれが最後だ。

やっぱり最後、感じ悪かったかな?いやでもあの時はあれが最善で⋯!


はぁ、とりあえず「今まで通りに過ごそう」って決めたものの、それができたら苦労しないよぉ。

今までのもやもやは、嫉妬心からって気づいたことで解決できたものの、今度は「恋愛の好き」か「友情の好き」かで悩んでるんだもんなぁ、ほんと最近、私やばいよぉ、、

新たに発掘されたもやもやに頭を悩ませていると、電子レンジの音が鳴った。


「とりあえず、今は食べるかぁ〜」


久しぶりに食べるピザに喉を鳴らしながら、お皿を準備する。

ピザは結構な大きさで、ギリギリお皿に乗せると、私はソファに移動した。

少し行儀が悪いかもしれないけど、ソファに座って、テレビを見ながら食べるピザってのは格別なんだよなぁ〜

そう思いながら、テレビを付ける。


「誰か配信してるかなぁ」


いつも通り、テレビ番組から動画サイトに切り替えた私は、机に置いたピザを、一切れ取る。

それを片手に、もう片方でリモコンを操作し、現在配信中のVTuberを検索する。


――青宮 晴‹配信中›


あ⋯青乃さんも、今配信してるんだ。

同接3万て、ただの雑談配信っぽいけど、それで3万て。いまだに人気なのも凄いし、今昼だぞ!?

それでその人数はやばいだろ、いやまぁ確かに今日は休日だけどさぁ!

何話してるんだろ⋯

最近青乃さんの声を聞いていなかったから、ふと聞きたくなった。

あの明るい声、はきはきとした喋りは私の中にある眠気を覚ましてくれるかもしれない。

そう思い、サムネを押す―――つもりだったのに、私の手が動かない。


「⋯やっぱり別の配信見よ」


気分が乗らなかったのか、はたまた別の理由からか、私は青乃さんの配信を見るのを止め、青乃さんの隣に続々と並ぶサムネを片っ端から見始めた。

そうして、面白そうなサムネの所に入り、ピザを食べ終わるまでの間、私はその配信を見続けた。


「ふぅ、ごちそうさまでしたぁ」


食べ終わった後は、ソファに寝転び、仰向けになってスマホを触ったり、溜まっていた洗濯物を干したりして時間を使い、気づけば辺りが暗くなっていた。

今日の夕食は何にしようか、そんな事を考えながら始めた配信は、全開と引き続き、コラボする前とは比べ物にならない同接数を叩き出し、幕を閉じた。

コメントには、「青晴とどうなの?」「秋咲さんとどういう関係?」「気になる〜」と言った言葉が多数寄せられ、そのようなコメントに対する返答が分からない私は、ただひたすらに「えぇっとぉ、」とか「そうですね、、」と濁した言葉しか言えなかった。


って、どうやって対処すればいいんだ!?だってまだ自分の気持ちも分からないんだし、そんな時に変なこと言っちゃうともしかしたら炎上しちゃうかもしれないし、それが二人の耳に入ることだって⋯!!


と、それらのコメントの返し方について自分なりに模索してみるものの、一向に思いつかない。

結局この日は配達サービスで頼んでおいたハンバーガーに食らいつき、今度する料理ゲームの攻略動画を見て終わった。

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