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第28話

すすす、好きってあの“好き”!!?!?

え、なに、どういうことだ!?!?


「うん、うちよりも青ちゃんの方が仲いいよねってこと!まぁうちも負けないけど!!」


「あっ、あぁ、なんだ、そういう⋯⋯」


い、一瞬焦ってしまった――

そういう、仲が良い、とかの好きってことか。確かに、秋咲さんよりは仲はいいかも。

⋯⋯⋯好き、好き、好きかぁ⋯。恋愛の好きってのはさ、こう、なんか他の人に嫉妬する〜とか最近会えなくてさみしい〜とか、じゃ⋯⋯⋯⋯⋯


「あ」


「?どうした、黒宮っち?」


「⋯⋯あー、ちょっ、と水取ってくるんでミュートにしますね」


言い訳が下手すぎる。秋咲さんも不審に思っただろう。でも今は、一旦気持ちの整理をしたい。

⋯⋯⋯私は、え、あ、青乃さんが好きなのか⋯?


⋯いや、いや。え、ちょ、待て待て待て!で、でも、確かに、会ったこともない人に嫉妬したり、最近話してなくてさみしいって気持ちも、全部そういう、“好き”、だよな?

え、うわ、まじか。え、いつからだろう。ていうかこれは本当にそっち――恋愛的な“好き”なのか?

まだ分からない。今まで恋愛なんて一切関わってこなかった。

でも、青乃さんから告白されて、秋咲さんからも「好き」って言われて、恋愛に触れた。それでもまだ、今までの経験不足は大きく、これが恋愛の好きなのかがイマイチ分からない。

単に初めてできたV友だから嫉妬してるだけかもしれないし、私のことが好きと言ってくれた人だから、友情的に好きという事かもしれない。


「黒宮っちまだ〜?」


―――とりあえず、この“好き”が分からないうちは、今まで通りに過ごそう。うん、そうしよう⋯!


「はっ、はい!ただ今戻りました!」


「遅い〜、打ち合わせの続きするよ?」


「はっ、はい!お願いします!」


その後、約1時間に渡る話し合いの末、私達は料理ゲームをすることになった。

って、なんで料理ゲー?

まぁそれは、戦うこともなく、ホラー要素もないし、頭もあまり使わないからだ。


「ふぅ、いやぁ、なんとか決まったねぇ〜」


「はい!あ、電話はこっちでしときますね」


「ありがと〜、黒宮っちぃ」


よし、これで後はゲームのURLとプレイ時間諸々を桜見さんに電話で伝えるだけかぁ〜、いやぁ、今日はなんか疲れた。

まぁ、先輩との話し合いだったり、その、さっきの“好き”だったりと、いろいろと頭を使ったからだろう。


「ねぇ、黒宮っち」


そろそろ終わるかな、と椅子に座りながら、大きく伸びをしていると、秋咲さんが口を開く。


「はい?」


「黒宮っちって、私のことどう思う?」


「え⋯えっと、明るくて、元気で、いろんな人と仲が良くて、リスナーとも親しくて、どんなゲームもそつなくこなす人、ですかね。少なくとも私よりは遥かにゲームが上手いです。」


「え〜、それ、Vの方じゃ――」


「それと、私の話に相槌を打ってくれたり、意見を出しても最初に否定せず、まずは説明を聞いてくれる。あと、よく人を見てること。例えば、今日の打ち合わせの始めの頃、私が緊張していたのに気づいて、軽く世間話をしよう、と切り出してくれたじゃないですか。おかげで緊張が少し和らいで⋯って、あの、秋咲さん?」


秋咲さんがどんな人なのか、今日の打ち合わせで気づいた事を言っていると、秋咲さんのマイクがミュートになっていた。

なにかやらかしてしまったのか?そういえば、なんか途中で秋咲さん、なにか言おうとしていたような⋯は、話を遮ってしまったのか!?わ、私のバカ〜!!!

そう思っていると、不意に急に喋るので、思わずビクついてしまう。


「やっぱり、うちの目に狂いはなかったよ」


「はい?」


「うち、黒宮っちのことがやっぱり好きだ!絶対幸せにするから、付き合ってください!」


「えっ!!?⋯えっと、あの、その⋯」


「ってことで、これからうちはバンバン落としに行くから、よろしくね!それじゃ、また!」


「えぇっ!!?」


そう言うと、秋咲さんは光の速さで抜けてしまった。

⋯なんだったんだろう。にしてもほんと、なんで私はこんなにモテてるんだ?


⋯⋯秋咲さん、バンバン落とすっていってたよな?

どうなんだろう。いい人なのは分かるし、絶対幸せにしてくれることも分かってる。

だけど今は、青乃さんの事しか考えられない。

どっちの“好き”なのか。


一日中考えても、答えは出なかった。

結局この日の予定は打ち合わせだけで、後はダラダラ、ゴロゴロしまくり、そして静かに幕を閉じた。


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