第27話
「じゃあぼちぼち打ち合わせ始めますかぁ〜」
その後は先程の告白が夢だったのかと思うほど、淡々と話が進んでいった。
「ホラーは無理でしょ?ならアクションは⋯苦手だよね、配信見たから知ってる」
「はい、そうなんです⋯⋯あっ、配信見てくれたんですか!?」
「そりゃもちろん、好きな人のことだもん。もっと知りたいよ」
「あっ、⋯そっ、そうです、か⋯!」
いきなり口説いてくるものだから、いまだに少し緊張しているものの、だいぶ話せるようにはなってきたと思う。
こんなにたくさん話たのって、家族以外だと青乃さんだけだよな。
青乃さん、今何してるんだろう⋯友達多いから、一緒にご飯とか食べたり、遊んだりしてるのかな⋯?
頭の中で青乃さんの笑う顔が容易に想像できた。あの笑顔を他の人にも見せているんだろうか⋯って、そりゃ当たり前だよね。
でも、なんかそれは悲しい、かもしれない⋯⋯って、私本当にどうしたんだ!?最近やっぱおかしいぞ!!?
「?黒宮っち、急に固まって、どうかした?」
「いっ、いえ、別に何も!あっ、そういえば、ここだと一人称、「私」なんですね」
話を誤魔化すため、ここで、最初に気になっていたことを聞いてみた。
配信だと一人称が「うち」なのに対し、今は「私」。でも、声のトーンとか話し方とか、陽キャって気がする。
姿を見ればだいたい分かるかもしれないけど、私がお願いして互いに画面はつけてないから、髪を染めてるとかは分からない。だって今パジャマだし、見られたくないもん。
まぁVTuberも仕事だもんなぁ、礼儀とかの関係上、一人称が「私」なのかな?
そう思っていると、秋咲さんが口を開いた。
「ん?あぁ、いや、普通に「うち」って言ってるよ」
「えっ、そうなんですか!?」
「あれ、もしかして「うち」の方が良かった?」
「いっ、いえ、その、配信の時と違うので、気になって⋯」
「あぁ、それは青ちゃんが「私」だからかな」
えっ、なんでここで青乃さんが!?
確かに青乃さんは配信でも普段でも「私」だけど、そこになんの関係が⋯!?
「えっと、それはどういう⋯?」
「だって黒宮っち、うちより青ちゃんの方が好きでしょ!で、私と青ちゃんの違うところを考えてみて、最初に思いついたのが一人称だったってわけ!だから真似して「私」にしたけど、似合わないかな?」
いっ、いや、少し気になっただけで、良いと思いますよ!
そう返したかったのに、いつの間にか私は別の事を口走っていた。
「わ、私が青乃さんの事が好き――!?」




