第26話
「おはよう!よろしくね〜黒宮っち!」
「おっ、おおお、おはようございます!」
桜見さんとの電話の後、それはもう、凄い速さでコラボの予定が組まれた。そして私は、まだ少し“もや”が残ったまま、打ち合わせの日を迎えた。
打ち合わせと言ってもオンラインということで、家から一歩も出ることなくダラダラと準備できたのは凄く嬉しい!
…でも、あの日以降青乃さんと話すことが減ってきているのが、少し悲しい。いや、違うな。私の方から避けているんだ。青乃さんと一緒にいるともやもやが大きくなるから。
配信用のパソコンの前に移動する。椅子の背もたれに背中を預け、予定時刻が来るまで少し目を瞑る。
昨日の夜、アクションゲームの配信をしていたから、少し眠い…
にしても、いまだに登録者数が伸びているのが少し怖い。いや、いい事なんだけど、青晴と秋咲さんの存在が大きいから、私一人の配信を見て、飽きたりしないだろうか、と考えてしまうことも、たまに…
でも昨日の配信は、楽しかった。アクションゲームなのでたくさん死んでしまったものの、いつもより多いリスナー、流れが早いコメント……こう、なんか人気Vみたいな感じがした!
これからも、この感じが続けばいいけど…
そう思いながら目を開けると、ちょうど良い時間だったので、体を起こし、リモート画面を開く。
そして今に至る。
「黒宮っちがコラボ許可してくれて嬉しいよ!」
「こっ、こちらこそ、こんな私なんかがコラボさせていただいて…!」
「まぁ、黒宮っちは特別だからね」
「えっ」
「あれ、青ちゃんと私が話したのって見てない?」
それって、あの気絶してた時の話だよね?
にしてもいきなり話ぶっ込むなぁ⋯⋯これが陽キャなのか?
幸い今回の打ち合わせも、前回同様V2人だけだったから、桜見さんに見られてないのはでかい。だってなんか照れるじゃん。
「い、いえ、みっ、見ました、です⋯」
突然聞かれて焦ってしまい、つい変な口調になってしまった。
「なら話は早いね」
「え、」
「私と、付き合ってください」
え!!?!?
⋯⋯ちょちょちょ、待って!一旦、一旦待っ──
「て、いきなり言われても困るよね〜、でも私がそう思ってるってのは、忘れないでね」
「…あっ、分かりました!」
他にも聞きたいことは沢山あるはずなのに、このくらいしか言えなかった。
秋咲さんのあの配信での事は、ウケを狙ったものだったのでは、と少し考えていたところもあったからこそ、突然の告白で頭が真っ白になった。
……この打ち合わせ、本当に続けて大丈夫なのか──!?




