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第18話

「うわぁっ!!!!!」


「あっ、黒宮さん、そこ奥に行き過ぎると⋯」


「ぎゃああああああ!!!」


「あ、もう手遅れでしたか」


マウス片手にキャラを動かしながら進めていくも、キャラ操作はムズいし、謎は青晴が解いてくれるし、怖すぎるしでもうやめたい。うん、やめよう…青晴に全部任せよう……ということで、少しの間マウスから手を離し、放置をかましつつ、現実逃避でコメント欄を見る。


〈コメント欄〉

「怜ちゃんビビリすぎw」

「それに対して青晴ビビらなすぎでしょ」

「青黒の温度差よ」


コメントではビビって叫びまくる私と全然驚かない青晴についてのコメントが多い。

ていうか!“怜ちゃん”だと!?いつもは“怜様”なのに!!

くっ、キャラブレしすぎて修正するの大変じゃないか!!でもしょうがないじゃん、ホラーなんだから!!!

もう、ホラー要素があるなんて知らなかったし!ていうか知ってたなら言ってよ青乃さん〜!!!

あー、もう!キャラなんて知るか!今はそれよりこっちに集中――


「…うわあああああ!!!!!」


「ちょ、黒宮さん。今のは可愛い猫ちゃんがただ飛び出してきただけですよ⋯⋯黒宮さん?」


〈コメント欄〉

「大きな音聞こえたけど大丈夫?」

「え、断末魔?」

「怜ちゃん…?」


「えっ、黒宮さんっ!?」


6月初旬。初蝉の声が聞こえ始めた今日この頃。私、黒宮 怜…いや、四宮 晴はこの日、人生で初めて気絶した。理由は、うん、まぁ、度重なる驚き、とかじゃない?私自身もよく分からないが、とりあえず気絶したことは確かなのだ。


床に倒れこむ私を見て、ヘッドホンを勢いよく外し、すぐさま駆け寄ってくれた青乃さんの、心配そうな顔を最後に、私の視界は段々と暗闇になっていった。


「黒宮さん!!!!!」





「…………ん、んん…」


どのくらい時間が経ったのか。

私が床の次に見た景色は、リビングの天井だった。いつの間にかソファに移動していて、掛け布団が掛けられていた。体をゆっくりと起こし、テレビ棚に置かれていたスマホに手を伸ばす。

時刻は21:10。私が気絶してから約1時間半も経っていた。


「あっ、配信っ!!!」


勢いよく後ろを振り向くも、配信場所であるパソコン周辺には誰もいない。パソコンの画面は消えており、配信が終わっていることを知る。

ふと目線を横にずらすと、配信途中にはあった青乃さんのパソコンが無くなっていることに気づいた。


帰っ、た……んだよな、多分。うん、たくさん迷惑もかけちゃったし、怒らせたんだろう……。もう、会ってくれないかも……。

まぁ、そうだよな……青乃さん、1人で大変だったよね……あぁ、なんで私、あんな事で気絶しちゃったんだよ……ごめん、ごめんっ、青乃さん…………。


初めてのV友、ほぼ初めてのコラボ配信、それが、私の気絶で一瞬で終わってしまった。

それが悲しくて悔しくて、段々と込み上げてくる感情を必死に抑えようとしても止まらず、遂には涙が零れ落ちる……そんな時だった。


「あっ!四宮さん、起きたんですね!!良かった!!!」


「……え、あれ…か、帰ったんじゃ……?」


「何言ってるんですか!ほら、荷物もそこに置いてますし」


そう言いながら、青乃さんがソファの背もたれ下を指さす。

そこには大きな白色のリュックが立てて置かれていた。後ろを向いた時にちょうど死角になっていたせいか気づかなかった。


「今は歯磨きしてたんですよ!お風呂は…私今日タオル忘れちゃって、四宮さんが起きたらまた貸してくれるか聞こうと……って、四宮さん!どこか痛いですか!!?」


「え?」


気づくと私の頬に涙がつたっていた。

青乃さんが家にいる。私が起きるのを待ってくれていた。寸前まで込み上げてきていたものが、それらの優しさに触れて安心しきったのか。無意識に私は涙を流していた。


「だっ、大丈夫です!少し、安心して……」


「え?」


「私、青乃さんに迷惑ばっかかけちゃって。それで怒って出ていっちゃったって思ったから……」


私がうつむき加減で、頬をつたう涙を右手で拭いながら言う。

すると、青乃さんが勢いよくこちらに歩いてきて、ソファの背もたれ越しに私の両肩をガシッと掴んで


「怒るわけないじゃないですか!それに出ていくってなんですか!私、言いましたよね!!四宮さんが好きだって!!私は、好きな人を置いて出ていくことはしませんから!!!」


そうはっきりと言った。


キュン―――

……キュン?え、ん?キュンってなんだ?

…まぁいっか。今はこっちだ。


「そっか、ごめん。うん、ごめん。今日は本当に迷惑かけちゃったよね、本当にごめん。」


「四宮さん、謝らないでください!!私全然怒ってませんし!ていうか、謝るのは私の方ですよ!!ホラー要素があることを知ってて黙ってたのは、私なんですから!!」


「でも1人で大変だったでしょ……」


「いや、それが大丈夫だったんです!!コメント欄に助っ人が来てくれて!!」


そう言いながら、青乃さんはポケットにしまっていたスマホを取りだし、今日の配信動画を開いた。そして、その助っ人という人が出てくるところまで、早送りをし、スマホ画面を指さした。


「ほら、ここです!」


「……えっ!!?」


そこには「あれ、怜ちゃんだいじょぶそ?」とコメントする“【レオレイン1期生】秋咲 薫”の姿があった。





なんと大先輩が配信を見ていた事を知った四宮。しかもその人が助っ人だって!?一体気絶している間に何があったのか……!!

次回に続く!!!

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