第14話
コラボ当日―――――
「おおお、おはようございます⋯」
「おはようございます!」
「あ、どうぞどうぞ、中にお入りください」
「おじゃましまーす!あっ、四宮さん、玄関に犬のぬいぐるみ飾ってる。かわいい〜」
⋯⋯なんで、なんでコラボの場所が、私の家なんだー!!!!!
時はカフェの帰り道に遡る―――――
「あの、四宮さん!⋯もしよかったらなんですけど、コラボの日、どちらかの家で2人でするの、どうです?」
「え⋯⋯」
⋯え、それってつまりV友の家に行くか、V友が家に来るってこと!?
え、なにそれめちゃくちゃ陽キャじゃん!めっちゃ楽しそう!
よく他のVのコラボ配信とかで「互いの家に行ったことある」みたいなの見ると羨ましい⋯って思ってたんだよな。
え、ほんとに?ほんとにいいの?しかもあれだよ、配信夜にするって話だったよね。それってつまりそのままお泊りってこと!!?
え、やってみたかった!やる!やるよ!ありがとう、青乃さん⋯!!!
「⋯あの、四宮さん?あっ、別に嫌だったら――」
「やります!やりましょう!!ぜひ!!!」
青乃さんの手を握り、上下に振りながら言う。
驚きつつも、満面の笑みで振り返してくれた青乃さんにすこしキュンときた。私の後輩、すごい可愛い〜〜!!!
こんな子の家に泊まりにいけるかもしれないなんて⋯なんて⋯⋯えっ、ちょっ、それって青乃さんの家でコラボするってことだよな?そして食べて寝るってことだよな⋯?
初V友の家に行き、コラボ+お泊りって、そんな、そんなハードル高いことできないよー!!!!!
「あの、それでなんですけど私、四宮さんの家に行き――」
「あの、青乃さん!」
「はっ、はい!?」
「コラボ当日、私の家でしませんか!!」
「えっ!あっ、ありがとうございます!!!」
って、そうじゃん。そうだった。そういや私が言い出したことだったわ。
だってまだV友の家に行くのはハードル高いもん!
⋯にしても今日も一段おしゃれだなぁ。私なんかそこら辺にあったやつの組み合わせだぞ。
あ、玄関のぬいぐるみ撫でてる、可愛い〜!!!
「あのぉ、中入らないんですか?」
「あっ、すいません!少し緊張してて⋯」
「えっ、慣れてそうなのに?」
「いやっ、行ったことはありますよ?けど、四宮さんの家は、初めてなんで⋯⋯」
「?すみません、後半、少し聞き取れなかったんで、もう一度⋯」
「なんでもないです!み、道案内お願いします!」
ふふっ、道案内って。
なんか初めての場所で戸惑ってる小動物みたい。
靴を脱いだ青乃さんの前に立ち、玄関すぐの扉を開ける。
入ってすぐの12帖の部屋にはリビング、キッチン、ダイニングスペースがあり、そこにプラスしてテレビとソファ。それに配信用のパソコンと、回転式の椅子が置かれているため、少し狭く見える。
この部屋の他には、洗面所と風呂、トイレ、防音室、寝室もある。
ほんと、都内の防音室付きマンションって、どれも高くてまじでやばい。
都会に来たての頃に死ぬほどバイトして貯めた金と事務所からの手当でなんとかもっているものの⋯ま、とりま30万人行って、3D化したらグッズとかもたくさん売れるし、なんとかなるか!
そう考えていると、手洗いをしに行った青乃さんが戻ってきたので、ソファに腰掛けるよう言う。
そんな私は、キッチンに向かい、お茶とお菓子を用意した。
「ふんふふふふ〜、青乃さんとお泊り、楽しみだなぁ〜」
配信ではなく、初めてできたV友とのお泊りのほうが大きい四宮 晴だった―――
次回に続く!




