第八章56 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第2試合】16/【転生】対【ジャスト・ブック】6
【ユーリー/殺人教師】&【転生】対【尚三/小学6年女子】&【ジャスト・ブック】の戦いは続いている。
【ユーリー/殺人教師】は63回死亡しているため、後37回死亡したら負けが確定してしまう。
彼は相手が中味が68歳の男性で見た目が小学生の女児だと思って油断していた。
だが今回の事でその油断は無くなった。
しっかり敵と認識した上で確実に始末する。
そう言う気持ちになった。
戦いは始まったばかりだが、【尚三/小学6年女子】の方が僅かに優勢と言った所だろう。
やはり、【小学6年生女子】を中心に【世界観】が作られていると言うのが大きいだろう。
基本的に、【小学6年生女子】の持っている性質にあった【世界観】が形作られているのだ。
つまり、【転生】して【異能】を得ていくと言う【能力】も【小学6年生女子】の持つ世界観に合わせて弱体化されている。
本来の【転生】して【異能】を得ていくと言う【能力】はもっと強大なものである。
それこそ、この【無限学校】そのものを破壊する異能など腐るほど得られるはずだった。
だが、この【無限学校内】で戦うと言うスタイルに合わせるために、得られる異能のレベルを下げられている。
そのため、本来の【レクイエム】で得られる【異能】と異なり違和感が否めないのだ。
だからこの世界においては【尚三/小学6年女子】が主役であり、【ユーリー/殺人教師】は敵役もしくは脇役扱いとなっている。
それは最初の麻雀勝負で先に【尚三】に和了られたので仕方のない事と言えるだろう。
これはそう言う勝負なのだから。
と言うわけで話を戻そう。
【ユーリー/殺人教師】は、新たに手に入れた【触れたドアを10分間開かなくする事が出来る能力】を使って片っ端から教室のドアに触れて行った。
こうする事により如何に広い校舎とは言え、10分もあれば全ての【教室】のドアに触れられる。
それで【教室】にしばらく入れなくなり、逃げられるのは【廊下】のみ。
と言う考えでやったのだが、いくつか見落としがある。
【触れたドアを10分間開かなくする事が出来る能力】とは【ドア】の開閉が出来なくなる能力であり、初めから開いているドアは開いたままとなっている。
そのため、その異能を【指定した時の敵の得た異能を1回だけ知る方法】が書かれた【ジャスト・ブック】を持っていた【尚三/小学6年女子】が【ユーリー/殺人教師】はすぐさま機転を利かせて、逃げながら【教室】のドアを開けまくって逃げていた。
そのため、動かなくする事は出来るが開いたままならば【教室】に入る事が出来る。
また、【無限学校】の敷地にあるのは【教室】だけではない。
【校庭】もあれば、【用具室】、【体育館】、【体育倉庫】、【畑】、【水泳場】など他の施設などもあるのだ。
つまり、隠れられる場所は他にもあると言うことである。
実際にガチンコで戦えば、それぞれ同期している【キャラクター】でも元の存在でも【ユーリー/殺人教師】の方が勝つだろう。
だが、これはそれだけで勝てる戦いではない。
【覇王】となる資質を見るため、色んな事が試される戦いなのである。
喧嘩や死闘などに強いからと言って全ての戦いが勝てると言う勝負では無いのである。
中には知恵比べや技能勝負、趣味の戦い、マニアックなもの、大食い競争、オークション等々、いろんな戦いが考えられる。
単純な殺し合いならば【ユーリー/殺人教師】が勝つだろうが、知恵比べでは長い人生を生きて来た【尚三/小学6年女子】の方が一枚も二枚も上手と言ったところだろう。
そしてこの【無限学校】での勝負は強いから必ず勝てるという勝負ではない。
運なども含めた総合力の戦いなのである。