魔法伝搬とマジックストーン1
2.1 マジックストーンの概要
魔法伝搬は古来より存在している技術であり、主に戦場で遠距離攻撃をする際に用いられてきた。本実験ではマジックオーアを媒体として巨大な魔力網を形成しているが、現実として戦争などで使用される媒体はマジックオーアから掘削して取り出したものであるマジックストーンや、それをさらに砕いて袋等に詰めて道具として使用するものがほとんどである。それだけでも戦争を遂行するには十分な威力を発揮するが、これがマジックオーアクラスのものを所有しているとなると、さらに魔力増幅は大きくなり、その個人が放つ魔法は戦術兵器として作戦に用いられるレベルの魔力を発揮する。それはつまるところ現在の魔車などの大型機械類と実質的に同じ扱いを受けるということになる。マジックストーンが秘める魔力利得の高さはそれほどのものがあるのである。以下にマジックストーンの実物を示す。
図1マジックストーンの実物画像
2.2 マジックストーンの内部構造
マジックストーンの内部を拡大すると、三層に積み重ねられたものを一つの個体として、それが何重にもつみかさなっているといった構造が確認できる。具体的には、各層は二つ、Magic層(M層)とCore層(C層)の二種類に分けられる。MCMの順で積み重なっており、コアの名を関する通り、C層が中心として、C層の表裏にM層が積層しているといった構造をとっている。このMCMの順で堆積したマジックストーンのことをMCMSと呼ぶ。このC層に堆積している魔力とM層に堆積している魔力は互いに性質が異なるものであり、魔力同士互いに引き寄せあう関係にある。また、異なる魔力同士の引き合いは近ければ近いほど強くなる。これは一般的にアンドロヴラーの法則として知られるものである。この関係が、マジックストーンの挙動において重要である。
まずはMCを結合した場合、すなわちMCSの挙動を考える。MCが結合した際に、M層に堆積した魔力とC層に堆積した魔力が互いに打ち消しあい、魔力欠乏域(以下欠乏域とする)が生じることになる。この結合域は有限であり、アンドロヴラーの法則より、比較的に結合部分と近い部分に堆積している魔力が互いに引き寄せられる。以下に図を示す。
図2MC型マジックストーン(MCS)の概略図
図2において、MCSは外部から魔力を供給されていない。その為今度は我々がMCSに魔力を供給した場合について考えていきたい。