脈動
全部だ~い嫌い。
あ~あ、全部ぶっ壊れちゃえば良いのに。
なんて、ちょっと面白すぎかな。
でも本音だから仕方がないよね。
だって世の中おかしいことだらけだもん。
だったら全部ぶっ壊して。
私が嫌いな世界を。
私が嫌いな皆を。
──謝れよ。てめえがぶつかったんだから
──謝ることもできないの
──殴られても文句言えないよね
ああ、やばい。
キモい記憶が勝手に出てくる。
やめろよな。
今最高にいい気分なんだから。
萎えさせんじゃねえよ。
「もう……やめてください……」
四肢を千切られ、痛みで顔を涙でいっぱいにした男の子が目の前にいる。
ああ、本当に気持ちいいな。
でも仕方ないよね。
最初に私を傷つけたのは君なんだから。
見える傷ばかりが全てじゃない。
見えない傷を私はずっと何度も受けてきた。
でもその傷は見えないから、私が仕返しに一度だけ見える傷をつけただけで、私は誰もから責められた。
おかしいよね。
どうして誰も私の痛みに気付かない。
私の傷に気付かない。
ああ、もう、全部おかしいよ。
ふざけるな。
ふっざけるな。
お前らの価値観で私を殺すな。
理不尽な多数で私を殺すな。
おかしいだろ。
どうして正しくない者が多数いれば、それを正当化できるんだよ。
反論するのは私一人。
だからいつだって悪者は私なんだ。
だって私は弱いから。
彼らに抑圧されるんだ。
ねえ、おかしいよね。
私の言いたいこと、分かってるかな。
どうせお前らは分からないさ。
だってお前らの頭は空っぽなんだから。
消えちゃえよ。
私の世界にお前らなんていらない。
「おねがい……しま……す…………。たす……け…………」
加害者の時には知らんぷり。
そのくせ被害者になったら途端に主張するんだ。
どうしてお前らみたいなクズが多数という理由だけでのさばっているんだよ。
もういらない。
全部全部灰塵の中に埋もれてしまえば良いんだ。
ね、そうでしょ。
「全部壊して。バハムート」
私の背後に現れた巨大な龍は、目の前にいる男子を容赦なく喰らった。
まるで断罪。
その罪を丸ごと喰らうように、漆黒の龍が全てを飲み込む。
「さあ始めようか。こんな世界を終わらせるために」




