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一人一人に物語を  作者: 総督琉
第一章4『魔法十家と黒い薔薇』編
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物語No.75『事件の終着点/奈落魔宵の答え』

 今回、奈落魔宵救出のために穂琉三ら少年少女は十星騎士団へ逆らった。

 そのため異世界にて、魔法十家や十星騎士団、神妹境娘が集まって会議をしていた。


 十星宮。

 これまでも重要な議事録がなされている場所である。


 無数に並べられた席。

 それらは円卓上に並べられており、遠い席の声でも届く。

 そのため、会議は滞りなく進む。


「今回の一件でシュヴァルが死んだ。彼らの反逆がなければシュヴァルは死んでいなかった」


 そう確信して告げたのは、アルス家第二位クリスタル・アルスだった。


「確かにそうです。しかし、今後魔神零が引き起こす事態に対し、戦力は一人でも多く必要です」


 神妹境娘は冷静に語る。


「そうかもしれねえ。だが黒廻家はもう信用できない。あの一族だけでどれだけの悪を産んでんだよ」


 そう愚痴をこぼしたのは、アイエフ家第一位ラプラス・アイエフ。


「既に黒廻家当主黒廻冥は拘束しています。魔神との協力関係が発覚しましたので」


 アイズ家当主インビジブル・アイズが補足をする。


「少なくとも魔神の協力者である黒廻冥、一国千代は二人とも黒廻家だ。なら奈落も魔神と繋がっている可能性があるんじゃないか」


 疑いの目でラプラスは告げる。


「その可能性は少ないと思われます。話によると、彼女は戦場にて魔神と交戦していたと聞きます。それに彼女は魔神に上手く誘導されていたことが、魔神の証言から分かりました」


 神妹はそう語る。


「じゃあ奈落も、反逆を企てた接続者も全員お咎めなしか」


 クリスタルは神妹へ鋭い眼光を向けて問う。


「私はそのつもりでしたが、何か案があるのでしたら構いませんよ」


「案はある。少なくとも奈落は十星騎士団により常時監視すべきだ」


「まあ致し方ありませんね」


「でだ、彼らの処分については、これまで稼いだポイントの半分を剥奪が良いと思っている」


 クリスタルの意見に神妹は微笑む。


「なるほど。異世界へ繋がる扉を閉じる度に彼らはポイントを得る。それらの半分を剥奪するということですね」


「ああ。ポイントを稼いだ上位十の一族は魔法十家に入り、そして上位十名が異世界へ正式に行くことができる。だから彼らのその可能性を削いでおく」


「まだ五月の終盤ですし、十分挽回は可能ですね」


「問題はないだろ」


「ええ。素晴らしい提案です。では処罰はそれで構いませんね」


「いまいち煮えきらねえが、仕方ない。とりあえずはそれで良いか。だが次に同じような問題行動を起こせば即座に異世界流しで良いな」


 クリスタルと神妹の会話の終着点を聞き、ラプラスがそう言う。


「ええ、問題ありません」


 神妹はスムーズに頷く。


「では、少年少女への処罰は以上の結末で決定です」


 神妹は一呼吸おき、次の議題に入る。


「では次に、ネクロ・ファントムペインについての情報共有、ならびに処罰を決めましょう」



 ♤



 事件の後、穂琉三らはしばらく十星騎士団によって事情聴取を受けたが、その後身柄を拘束されることなく自由の身だった。

 てっきり重い罰が下ると思っていたが、何事もなかったことに全員が驚きを隠せなかった。

 百はしばらく経ってから会議が行われ、後々重い処罰が下されると思っていたが、下されたのはポイントの半分を剥奪という、百にとって重いとは言えない罰だった。


「神妹さん、本当にポイントの半分なんて処罰で良いんですか」


「はい。それが会議で決定した処罰です」


 百はいまいち煮え切らなかった。

 姉である千代は自分より軽い問題で処罰を受けたにも関わらず、なぜ自分はこの程度の罰で済んだのか不思議だった。


「神妹さん、ボクは……」


 不満をぶつけようと口を開いたが、言葉は続かなかった。

 それに意味はないと分かっているから。


「いえ、なんでもないです」


「これからも引き続き異世界との接続は起こりますので、対処をお願いします」


 百はただ頷くことしかできなかった。


 神妹は今回の事件に参加した穂琉三、愛六、二月、夏恋、五蝶のもとへ訪れ、ポイントの剥奪を行った。


 最後に奈落のもとへ訪れる。


「奈落魔宵さん。この先あなたはどうしますか」


 母親代わりをしていた黒廻冥は捕まった。

 この先、奈落は黒廻冥なしで生きていく。


「私は……」


 奈落は言葉につまった。

 だが既に彼女の中に答えはあった。


 しばらくして、彼女は言う。


「私は、日向くんと一緒にいたい。彼のそばで生きていたいと、そう思った。だから……」


 奈落は熱く語った。

 すぐに恥ずかしくなり、口を閉じる。


「分かりました。では彼のもとへ向かいましょう」


「……え!? でも……」


「実は既に彼から相談を受けていたんです。もし彼女が望むなら、一緒に寮で暮らしたいと」


「…………」


 奈落は目を見開いた。


「あなたが望むなら、日向穂琉三はあなたの願いを受け入れる。どうしますか」


「私は日向くんが好き。だから──」


 奈落は答えた。

 だから──



 やがて奈落は穂琉三のもとを訪れた。


 そして告げる。


「ありがとう日向くん。私と生きたいと言ってくれて」


 闇の底から、奈落魔宵は救い出された。

 太陽のような、彼によって。

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