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透明探偵物語  作者: アマノヤワラ
9/14

○≧≫9≪≦● 【非常識な事態を科学的に考察】

≈≈≈


≈≈≈


「……今こっち見えてるの?」


 小さなガラスコップに入れた麦茶を飲みながら、オレは消えている状態になっている(つむぐ)に話しかけた。なんとかこの非常識な事態を科学的に考察してみようとオレは(こころ)みる。


 『目でものを見る』ということは『眼球がレンズとして機能しなければならない』ハズだ。


 瞳孔(どうこう)から入った光を光彩(こうさい)で調節し、目の中の水晶体(すいしょうたい)で光を屈折させたあと硝子体(しょうしたい)の中を通過して、目の奥にある網膜(もうまく)焦点(しょうてん)を結び、その光が電気信号として視神経から脳へ伝達され、最終的に脳が物の色と形を認識する。

 それが『目で物を見る』ということだ。

 ……ったと、思う。たしか。


 しかし、目の前にいるはずの(つむぐ)はどこが目でどこが口やらも分からない。

 『瞳孔や光彩』自体が全くの無色透明でなんの凹凸(おうとつ)もないならば『目のレンズ機能』が果たせないし、網膜(もうまく)も透明なので光の屈折を『網膜(もうまく)に投影する』ことができない。  


 つまり完全に無色透明な『()』は、『目で見て物の形を認識することはできない』ハズだ。

 だから、透明状態の(つむぐ)の目にはなにも見えているはずがない!



「……?見えてるわよ。当たり前じゃない」


 なにをいってるのだこいつは、という(つむぐ)の声が目の前の空間から聞こえてきた。どうやらオレの科学的考察は無意味で無駄(むだ)だったらしい。一生懸命(いっしょうけんめい)考えたのに……。


 それに、透明な時の(つむぐ)は『口の中』も透明らしい。目の前のオレに向かって話している時も(くちびる)や口の中の動きが見えない。ただ紡が使っているミント歯磨(はみが)きの息の匂いがするだけだ。

 身に着けている衣服も透明だし、内臓とかも透明なのだろうか。

 だとしたら、その『()()()』も…とオレは連想(れんそう)して、そこで止める。いくら幼なじみとはいえ女の子に対して考えていいことではない。



原理(げんり)はなんだろう?」


 考えても分からないオレは逆に(つむぐ)に質問する。そもそも、これは紡が考えるべき問題である。


「『体質(たいしつ)』じゃないの?こんなの原理もくそもないわよ。使ってて疲れたりとか頭痛くなったりとかもないし多分何回でもできそう」


 そう言って(つむぐ)は、また消えたり出現したりを繰り返す。


 『体質(たいしつ)』。

 両手のキツネさんでチューしたら透明になれるという、『()()』……。

 あるか、そんなもん。



…To Be Continued.⇒10

≈≈≈


≈≈≈

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