表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透明探偵物語  作者: アマノヤワラ
8/14

○≧≫8≪≦● 【この状況を受け入れる】

≈≈≈


≈≈≈


 オレたちは、もう一度ベッドと床の上にそれぞれ座り直して、改めて(つむぐ)の身に起こった現象について検証してみることにした。


 ベッドに腰かけ腕を組みスカートのまま半跏趺坐(はんかふざ)の紡に、花柄カーペットに胡座(あぐら)をかき腕を組んだオレが話しかける。


「……『きっかけ』というか、透明になる条件は両手のキツネさんでチュー?」


 オレの口から『チュー』という言葉を聞いて(つむぐ)が露骨にイヤそうな顔をする。


 オレだって、こんな事件に巻き込まれなければ一生言わない言葉だ。『両手のキツネさんでチュー』なんて。


「そうね。もっかいやってみるわね」


 そう言うと、紡は躊躇(ためら)いなく両手で作ったキツネさんをチューさせた。

 オレももうすでに『両手のキツネさんでチュー』を当たり前のひとつの表現として受け入れつつある。


 両手のキツネさんをチューさせた途端(とたん)に、またしても(つむぐ)はオレの目の前から忽然(こつぜん)と姿を消した。


「やっぱり『コレ』がきっかけで間違いないみたいね」


 この現象によって自らに降りかかる『()()()()()()』リスクとか全く考えずに(つむぐ)は、オレの目の前で消えたり出現したりを繰り返す。

 この現象に、オーラとかMPとか魔素とかの消費はないのだろうか?


 どうやら、両手で作った『キツネさん』を『チューさせている間だけ』(つむぐ)は透明になれるらしい。そして、左右の『キツネさん』を離せば透明化が解ける。


 このやり方で透明になる原理はオレにはさっぱりだが、こいつ(紡)の身にならなにが起きても不思議ではない、とオレは思った。なにせ、幼なじみの男の部屋に自分の部屋から屋根伝いで来るような女なのだ。むしろ『こいつ(紡)には、いつか何かが起こるのでは?』とすらオレは考えていた。


「コレって考えようによっては便利(べんり)なのかも」


 と自分の身に降りかかった理不尽な運命を全く悲観せず、(こいつ)は早くも受け入れつつある。ほんとに幼なじみ(紡)のこういうところは歴史上の偉人並だ、とオレは思う。


 オレにこの現象を見せたのも、おそらく『これ見せたら健太郎がビックリするだろうなぁ』くらいの気持ちが大きかったのではなかろうか。


 いや、オレにはこの状況をすでに受け入れてるおまえ(紡)の方がびっくりだわ。



…To Be Continued.⇒9

≈≈≈


≈≈≈


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ