○≧≫4≪≦● 【なんの気なしに…なんて有り得ない】
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『……よく見ててよ』
そういった後で、紡は右手と左手で作った二匹の『キツネさん』の口に当たる部分を寄せ合い『チュー』をさせた。
その瞬間に、目の前にいたはずの紡は忽然とオレの前から姿を消した。『両手のキツネさんでチュー』した途端に、紡の姿が空間の中に突然かき消えたようにしかオレには見えなかった。
「……?なにこれ」
紡の部屋の中に突然一人きりにされてしまったオレは、腕を組み胡座をかいたまま思わずつぶやく。
オレは非科学的なことは科学が証明するまで信用しない。超常現象やオバケや幽霊など、科学で証明できないものは自分が困らなければあってもなくても興味はない。そんな性格のオレは、目の前で幼なじみが突然消えたのもなんかの『トリック』だと思った。
人間が突然消えるなどあり得ない。しかし、オレの目の前には紡の部屋のベッドしか見えない。部屋の中を見回しても、どこにも紡の姿は見えない。
「……どこいった?」
なんの気なしに、直前まで紡がいた場所にオレは自分の右手を伸ばしてその手をゆっくり左右に振った。するとオレの右の手のひらと手の甲が『サワ…プニ、サワ…プニ』と、表面がサワサワしていてその奥が柔らかく温かく心地よい大福モチのような感触のものに交互にさわった…ような気がする。
でもなにに触ったのかは、オレの目には見えないので分からなかった。
…To Be Continued.⇒5
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