○≧≫3≪≦● 【……オレはなにを見せられている?】
≈≈≈
≈≈≈
「それで事件とはなんだ?」
紡の部屋のカーペットの床の上に胡座をかき、腕を組んだオレは目の前で忙しく動き回っている紡に問うた。
部屋の花柄のカーテンをキッチリと締め、部屋の中をキョロキョロと伺いながら紡は周囲を警戒している。…自分の部屋なのに。
ひとしきり自分の部屋の中を確認し終えた紡はやがて自分のベッドの上に腰かけ、らしくない真剣な表情でオレに向かって語りかけた。
「……事件というのは、わたしの身に起こっているおかしな『現象』のことよ。あんたにはその謎を解明してもらいたい」
紡はオレに対して重々しく、ささやくように言った。…なんで?というオレの疑問の表情を紡は華麗にスルーする。
「……いいわね、よく見てなさいよ」
紡はらしくない真剣な表情でオレに向かって語りかける。そして紡は、自分の顔の横に右手で『キツネさん』を作った。
影絵で使うあの『キツネさん』の指の形だ。
幼なじみの表情は相変わらず真剣そのものである。
「……オレはなにを見せられている?」
思わずオレは目の前の幼なじみに問う。
土曜日の昼下がりに、隣の家の幼なじみに突然部屋に呼び出されて目の前で『キツネさん』を見せられて、他になにを言えばいいのか。
しかし、顔の横で右手を『キツネさん』にした紡は真剣な表情のまま、左手の人差し指を自分の口元につけてオレに向けて「しっ…」と呼気を吐く。どうやら『黙っていろ』と言いたいらしい。
ベッドに腰かけて片手で『キツネさん』を作っていた幼なじみは、もう片方の手でも同じく『キツネさん』を作る。そして真剣な眼差しをオレに向けながら言った。
「……よく見ててよ」
…To Be Continued.⇒4
≈≈≈
≈≈≈