○≧≫12≪≦● 【高校2年生の“男子”が深夜0時から始める趣味】
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紡の家から帰ったオレは、母親が作った晩飯を食った後自室に籠もり、しばらくフルトヴェングラーのCDを聞いてゆったりと過ごした。半日も紡に振り回され疲弊し切ったオレの神経を、旧ドイツで録音された交響曲がゆっくりと解きほぐしていく。
「……しっかし、今日は色々(イロイロ)あって疲れたなっと」
わざとらしく一人つぶやき、オレは一回部屋の中のタンスをチラッ…と見る。タンスの中にはオレの『趣味の小道具』が入っている。
こんなストレスのたまった日には、思いっきり『アレ』をやってリフレッシュするに限るのだ…
机の上の置き時計を見ると、深夜0時。
『アレ』を始めるのにいい時間帯だ。
オレは自分の部屋の中なのにキョロキョロと周りを見回したあと、厳重に部屋のドアの戸締まりを確認し、窓に鍵をかけカーテンを二重に閉める。
「……よし。やるか」
一発気合を入れたオレは、小一時間ほど『アレ』に時を費やすことにした。この『趣味の時間』は変な幼なじみを持つオレにとって、唯一の心安らげる時間である。
………小一時間後………
「……ふう。よし!」
『趣味の時間』を終えたオレは、いそいそと『後片付け』を始める。『アレ』に使った『小道具』たちをタンスの一番奥の鍵付きスペースに押し込み、また鍵をかける。
この『オレの趣味』のことは紡にも親にも話していない。むしろ、今後だれにも話すつもりはない。
机の上の置き時計を見ると深夜1時を回っていた。
「そろそろフロ入って、寝るか」
『趣味の時間』を終えてフロに入ったオレは、やがて安らかな気持ちで自室のベッドで眠りについた。
…To Be Continued.⇒13
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