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透明探偵物語  作者: アマノヤワラ
10/14

○≧≫10≪≦● 【常識的見地と感情的反応】

≈≈≈


≈≈≈


 ○≧≫10≪≦●


「結論から言うと、科学的にはありえない、としかオレには言えない」

 常識的見地に基づきつぶやくオレ。


「実際なっとるやろがい!」

 感情的反応に基づき怒鳴り返す(つむぐ)


 オレにそんなこといわれても。


「とにかくあんたに望むのは、一刻も早くこの現象の謎を解くことよ」


 どうやら(つむぐ)は自分の身に起きたことなのに、自分で考えることをすでに放棄(ほうき)したらしい。


「……一回見ただけで分かるわけないだろう。ある程度の経過観察(けいかかんさつ)が必要だ」


 わりとマトモなことをオレは言ったと思う。幼なじみの身の上にこういうことが起きれば、普通もっと動揺するに決まっているのだ。

 役に立たないワトソンね、とシャーロック・ホームズの物語を一度も読んだことのない(つむぐ)はオレのことを(ひょう)した。

 こんな(なぞ)、ホームズにだって解けやしないと思う。


「とにかく、他の人には言うなよ。家族にもな」


 ただでさえ変人なのに、さらに透明になれるなんて。こいつの人生はこれから一体どうなってしまうのか。


「……そうね。実験動物(モルモット)にされてコードに(つな)がれて電流を流されちゃうものね」


 なんでそう思ったのかは知らないが、オレの言葉を聞いた(つむぐ)は、真剣な表情で(うなず)いた。


「自分からバラさなきゃ多分、一生バレないと思うけどね。『わたし両手で作ったキツネさんにチューさせると透明になるんですよ』、なんて」


 オレは、自分で言ってて馬鹿らしくなった。

 ただ、唯一(ゆいいつ)の不安要素は、(つむぐ)本人である。()らなくていいことを()り、言わなくていいことを言ってしまうのは、(つむぐ)の本能のようなものだ。


「……裏切(うらぎ)るなよ。もし他人(ひと)にバラしたら…わかってるな?」


 急に、マフィアのようなセリフと口調で、(つむぐ)はオレに向けて言った。


裏切(うらぎ)らん」


 自信満々でオレは(つむぐ)()()う。


 『オレの幼なじみ両手で作ったキツネさんでチューしたら、消えるんですよ(笑)』

 なんて人に話せるわけないではないか。


 オレの方がおかしいと思われてしまう。



…To Be Continued.⇒11

≈≈≈


≈≈≈

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