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かくれおにで あそんだ!

 こんにちは、例え純白のジャージを纏っていてもカレーうどんを喰らうことに躊躇が無い系女子、即ち余です。飛び散るよりも疾く――啜れ!(キャッチフレーズ)

 さて、今日も今日とて広大な我が魔王城はちみっこ達の遊び場と化している分けですが、今日の遊びは隠れ鬼らしいです。

 かくれんぼ+鬼ごっこと言うこの遊びは、実は隠れる場所が大事らしい。うまく隠れれば他の三人が必至で走り回るのを高みの見物で笑えるらしいです。


「だからと言って、君は少し油断しすぎじゃないでしょうか、とうくん?」

「うだん?」


 コタツに入る余の膝の上で、不思議そうに小首をカクンと、とうくん。三角形の猫耳が顎を撫でて、少しばかりくすぐったい。舌足らずなのは可愛らしいが――


「違います、油断です。ゆ・だ・ん。はい、言ってみるのだよ、ゆ・だ・ん」

「ゆ・だ・ん!」

「グーッド。それでは繋げて行ってみましょう。はい、『油断』」

「うだん!」

「――」


 凄いどや顔してますよ、このイキモノ! 言えてない癖にぃー!

 ほおずりほおずり、頭をナデナデ。嫌がらないのをいいことに撫で繰り回すこと、数分。ふいにとうくんの耳が、ピンと起きたかと思うとしゅばっ、とコタツ布団に潜り込んだ。そして数秒後――


「まおー、ここ、だれかいる?」


 けーちゃんがやって来た。

 流石は暗がりの住人、盗賊です。その鋭敏な感覚で敵の接近を察知したらしい。

 さて。一方、単純な鬼ごっこならばその身体能力でごり押し勝ちが出来るけーちゃんだが、かくれんぼになると途端に弱くなってしまう。

 とうくんは勿論、せんくん、ゆーちゃんにも良い様にあしらわれ、もう既に結構な時間を鬼として過ごしていた。

 ……盗賊と戦士と勇者に頭脳戦で手玉にとられて良いのか、賢き者よ。

 少し可哀想なので味方をしてあげたい所ですが……余は中立。そう、言うなれば争いごとを嫌うスナフキン。そんな訳で吐き出す言葉は――


「……いえ、誰も居ませんよ」


 そんな定型文。

 流石にこの状況で『とうくんが炬燵に隠れている』と言う訳にも行かないのです。

 その結果、味方をしてくれたのが嬉しかったのか、頭隠して尻も隠したけど、隠し忘れてしまったとうくんの尻尾が嬉しそうにゆらりと揺れてしまった。

 ……詰めが甘いぞ、暗がりの住人、盗賊よ。

 割と大きく動いた結果、余の身体では隠しきれなかった。流石にこれにはけーちゃんも……。


「……ここにも、いない」


 しゅん、と悲しそう。

 気が付かないらしい。「……」。えー……?  ちょっと注意力が散漫過ぎやしませんかね?


「……けーちゃんはその内、誰かに騙されそうだの」


 気を付けないと駄目ですよ? と余。


「? あ! まおー、うそついてる?」

「……」


 おぅ。中々賢いじゃないか、賢き者よ。だがこちとら魔を統べる王。


「まさか。余がけーちゃんに嘘を吐くはずがないじゃないですか。それとも……けーちゃんは余のこと……信じて、くれないのかの……?」


 涙を流しつつ、酷い! と悲し気に余。そんな余を見て「しんじてる! しんじてるよ!」と慌てて、けーちゃん。


「……」


 思わずニヤリ。

 まんまと騙されたな、賢き者よ! 魔が悪で有り、悪徳である以上、それを統べる王として幼子の一人や二人騙してくれるわ、ふははー。


「けー、まおーのこと、しんじてる……よ?」

「……本当ですか?」

「うん! あ、いっしょにあそぼ、まおー?」


 なかなおり! と、手を差し出してくるけーちゃん。


「……そう、ですね」


 仕事も一段落しているのでそれも悪くない。そんな訳でけーちゃんと仲直りの握手を――


「たっち。まおーがおに」

「え?」


 ぺぃ。差し出した手に小さな手が一瞬触れてけーちゃんがUターン。座椅子に座って直ぐに動けない余を置き去りに駆け出し――


「あ! それズルいで――しまっ! とうくんまで!」


 更に膝の上で丸くなり、炬燵に隠れていたとうくんも一瞬で動き出す。

 その尻尾を掴もうと炬燵を覗いた余が見たのは炬燵の反対側から抜け出したとうくんの尻尾だけでしたとさ。


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