第7話 ナビ、アップル付き合ってくれ
第7話 ナビ、アップル付き合ってくれ
サトルは三日月達を送り出した後、
土魔法の建物にベットが4台置き、水周り魔導具を設置し土魔法で間仕切りを作る。
隣の場所に土魔法で同じような建物を作る。
Tシャツを拡大コピーして、身丈140cmを2枚、100cmを2枚作りベットの上に置く。
サトルは「よし最低限の準備ができた」と独り言を言う。
「お使い様」と声をかけられた。
振り返ると三日月の部下達が片膝をついた皐月が首部を垂れ、サトルに
「お使い様、私達も仲間と村人に何かできる事は無いでしょう?毒の危険は承知し
ています、このまま何もしないと悔いが残ります」
「分かった、今は三日月が連れてくる4人を助ける努力をしよう」
皐月達は、首部を上げ、力強く「はい」と答える。
サトルは、レインコートの魔導具、ゴーグル、手拭い状の布と鋏を渡す。
「この魔導具は最初に装着した者の専用になる。装着の仕方は、わかるか?」
「はい、三日月様が装着したのを見ていましたから」
「装着して準備をして」
「「はい」」
「隣の建物に三日月達が来たら、転移して、毒に侵され服を脱がして、洗浄の魔法
で毒を洗い流して、自分達も洗浄して、4人をこの部屋のベットに寝かせる」
「「はい」」
・
ナビから念話が届く、
『オーナー新しく作った建物に入れば良いですか?』
『全員、洗浄魔法をかけて、入ってくれ。皐月達を手伝いに行かせる』
「皐月、楓、向日葵、三日月が着いた、隣の建物に転移させる、頼んだよ」
「「はい、お使い様」」
サトルは、皐月達を転移させる。
コトリが袖を引っ張り
「お兄ちゃん、コトリもお手伝いしたいの」
「小さい子供が居るから、看病のお手伝いをしてくれる」
「うん」
「レインコートの魔導具、ゴーグル、布を渡すね」
コトリは魔導具を腕につけ、ゴーグルを首にかける、布はミニバックの中に入れる。
・
暫くして、三日月達がベット側に転移し、三日月、ナビとアップルがこちらに来た。
「三日月、ナビ、アップル、ご苦労様」
三日月が
「お使い様、4人の体を洗浄して毒は洗い流しました、ただ、苦しそうな様子」
「解毒方法を探している、まずは4人の看護をしてくれ」
「後、お水とかコップはありますでしょう?」
サトルは、コップと布を渡しコトリに目で合図する。
「コトリが水周り魔導具の説明をするね、コトリ頼んだよ」
「うん、お兄ちゃん」
コトリと三日月は、4人の看護に向かう。
「ナビ、世界管理者から連絡は?」
「はいオーナー、スマホに先程届きました」
サトルはスマホの画面を見る
【名前】銀龍
全身ミスリルに覆われて、魔法攻撃は無効化される。
(BBの補足)現在、亜空間ゲートから出たショックで狂乱状態にある
【出身地】アルステア星系 惑星ベルヘルト
【ユニークスキル】
[ブレス]ビーム状のミスリル粒子のブレス浴びせることによりブロンズ級
の魔物をミスリルに変える。
シルバー級以上は1部がミスリルなる。
[ミスリル槍]翼に体内から生成された2mのミスリル槍を持ち魔力で飛ばす
ミスリル槍はゴールド級の魔物を貫く
2対の翼に計6本。ミスリル槍の生成には時間かかる。
[ミスリル針]翼に体内から生成された0.3mのミスリル針を魔力で飛す
ミスリル針はシルバー級の魔物を貫く
2対の翼に計36本。生成には時間必要
【名前】不死蝶 (オーロラ蝶、豊穣の蝶)
(BBの補足)銀龍から攻撃を受け自己防御で黒の鱗粉を撒いている
攻撃がなくなり、落ち着けば青色の翅になる。
【出身地】アルステア星系 惑星ベルヘルト
【ユニークスキル】
[金の鱗粉]大地に栄養を与える鱗粉。
[黒の鱗粉]大地を荒らす魔物、害虫を駆除する毒の鱗粉。
[白の鱗粉]黒の鱗粉の解毒。表翅の中心付近にある。
[整地のスキル]荒れ大地を整地する。
[不死のスキル]役目を終えた時、死が訪れた時、全ての魔力を使い卵を残す。
BBからの思念通信が3人に届く。
『挨拶抜きで、対応を連絡する、銀龍の状態異常を正常に戻し、不死蝶から白い
鱗粉を取ること。
状態異常無効化スキルをサトルさんに付与する。
ミスリルの鱗を切り裂き内部にスキルを発動させる必要がある。
世界管理者から伝言を伝える』
ミスリル槍の輝きがサトルの瞳に映る。
『サトルは、勇者ではない、ただの地球人の爺さんだ、やるかやらないかは、
サトル次第だ』
BBが砕けた口調で
『世界管理者はズルいよね、こんな言い方をして、でも、世界管理者の悔しそう
な顔を初めて見たよ。
勇者を召喚する迄ランク外の銀龍が暴れれば、どれぐらいの被害をもたらすか。
今はサトルさん達に頼るしかないんだ。
勇者であれば聖剣など強力な武器や超上級魔法を渡すことができるが、迷い人
にはシステム上できない。
非攻撃魔法の状態異常無効化スキルを渡すのが精一杯なんだ。
サトルさん、ナビ、アップル頼む銀龍を正常に戻してくれ』
サトルの地球での65年間は後悔の連続だった、夜中に叫び声を上げた事もあ
る。
逃げ出せば夜の眠れないぐらい後悔する。いや違うんだ後悔なんかは後の話、
今は、目の前に解毒薬が手に入れるチャンスをから逃げだすのが問題なんだ。
目の前に希望があるのにその希望を掴もうとしない事が問題なんだ。
コトリの悲しむ顔を見たくない。家族同然の仲間がいる。
自分には背中を預けられる仲間がいる、
やる、銀龍を正常に戻す、そして解毒薬を手に入れる。
両頬を叩いて「よし」と声を出す。
ナビとアップルを見る、その先にコトリがいる。
「ナビ、アップル付き合ってくれ」
ナビは、サトルの苦悩を感じて心を軽くする答えを出した。
「オーナーそれはプロポーズですかぁ、もちろんお受けします」
「ばか、お前、余裕があるな」
「えへへ」
「アップルは、どうする」
「もちろん、お受けしますよ」
コトリが走って来て
「コトリもプロポーズをうけるの」
4人は顔を見合わせて笑う。
・
「オーナー、作戦は?」
「アップル、お前が持つ知恵と力で、銀龍と遊べ」
「アップルが囮になって銀龍の気を引き、ナビと自分はスキをつき状態異常無効
化スキルを付与した銀の槍を銀龍に突き刺す。
銀龍を正常に戻した後、不死蝶から白い鱗粉をとる。シンプルだろ」
「お兄ちゃん、コトリは?」
「コトリちゃんは、うまくいくように精霊に祈って待っててね」
「うん、お兄ちゃん達が戻ってくるのを待っている。妻の役目ね」
サトルは苦笑いする。